保険料控除、夫婦でどちらが申告すればいいのか分からない

保険料控除、夫婦でどちらが申告すればいいのか分からない

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況により最適な判断は異なります。必要に応じて公的情報や専門家へご確認ください。

年末調整や確定申告の時期になると、生命保険料控除の書類を前にして「これ、夫婦どっちで出せばいいんだろう」と手が止まることがあります。

保険の契約者が自分で、保険料も自分の口座から引き落とされている。でも配偶者のほうが収入が多いから、そっちで申告したほうが得なのかもしれない。あるいは、契約者は夫だけど、妻の口座から保険料を払っている場合はどうなるのか。

ネットで調べても「契約者が申告する」「実際に保険料を払った人が申告できる」「収入が多い方で申告すると有利」といった情報が混在していて、結局どうすればいいのか判断がつかない。

間違った申告をして税務署から指摘されたら面倒だし、かといって損をするのも避けたい。でも、正確なルールを理解するのも難しそうで、つい後回しにしてしまう。

こうした迷いを抱えながら、毎年なんとなく「去年と同じように」処理している人は少なくありません。

保険料控除を申告できるのは「実際に保険料を払った人」

保険料控除を申告できるのは「実際に保険料を払った人」

生命保険料控除の基本的なルールとして、控除を受けられるのは「実際にその保険料を負担した人」です。

契約者が誰であるかは、実は申告できるかどうかの判断には直接関係ありません。重要なのは「誰の財布から保険料が出ているか」という点です。

たとえば、夫名義の生命保険でも、実際に保険料を支払っているのが妻であれば、妻が控除を受けることができます。逆に、妻名義の保険でも、夫が保険料を負担していれば夫が申告できます。

確認のポイント

保険料の引き落とし口座が誰の名義になっているかで判断します。夫の口座から引き落とされていれば夫、妻の口座なら妻が「実際に払った人」となります。

ただし、ここで注意が必要なのは、保険金や給付金の受取人が「申告する人本人」または「その配偶者や親族」である必要があるという点です。

つまり、保険料を払っているのが夫でも、保険金の受取人が全く関係のない第三者である場合は、控除の対象にはなりません。

実務上、夫婦の保険であれば受取人も配偶者や家族になっているケースがほとんどなので、この条件で問題になることは少ないのですが、念のため保険証券で確認しておくと安心です。

夫婦それぞれで申告するか、どちらか一方にまとめるか

保険料控除は、夫婦それぞれが自分の払った保険料について申告することもできますし、どちらか一方にまとめて申告することもできます。

それぞれが申告する場合

夫が自分の生命保険料を払い、妻も自分の医療保険料を払っている。このように、それぞれが別々に保険料を負担しているなら、それぞれが自分の年末調整や確定申告で控除を受けるのが自然な形です。

この場合、手続きも単純で、それぞれが自分の保険料控除証明書を使って申告すればよいだけです。

どちらか一方にまとめる場合

一方で、家計管理の都合上、すべての保険料を夫(または妻)の口座から引き落としているケースもあります。

この場合、名義上は妻の保険であっても、実際に保険料を払っているのが夫であれば、夫の控除として申告することができます。

ただし、税務上は「実質的に誰が負担しているか」が問われるため、形式的に口座を合わせただけで、実態として妻の収入から保険料が出ているような場合は、妻が申告すべきと判断される可能性もあります。

実際には、夫婦の家計が一体化している場合、どちらが「実質的に負担しているか」を厳密に区別することは難しく、多くの場合は引き落とし口座で判断されています。

収入が多い方で申告すると節税効果が大きいのか

収入が多い方で申告すると節税効果が大きいのか

「収入が多い人のほうが税率が高いから、そっちで控除を受けたほうが得」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。

これは、所得税の仕組みを考えると理屈としては正しい面があります。

所得税は累進課税なので、課税所得が高い人ほど税率も高くなります。たとえば、課税所得が400万円の人の税率は20%800万円の人は23%です(所得税の速算表による)。

同じ4万円の控除でも、税率20%の人なら8,000円の減税、23%の人なら9,200円の減税になります。

ただし、ここで注意したいのは、保険料控除には上限があるという点です。

生命保険料控除の上限は、新制度の場合で所得税12万円(一般・介護医療・個人年金の合計)、住民税7万円です。

もし夫婦それぞれが十分な保険料を払っていて、それぞれが上限近くまで控除を使えるのであれば、無理にどちらか一方にまとめる必要はありません。

逆に、保険料の合計額がそれほど多くなく、どちらか一方で申告しても上限に達しない場合は、収入(税率)が高い方で申告したほうが、わずかながら節税効果が大きくなる可能性はあります。

注意点

ただし、これはあくまで「実際に保険料を払った人」が申告できるという前提を満たしている場合に限られます。税率だけを理由に、実際には払っていない人が控除を受けることはできません。

共働きで家計が別々の場合はどう考えるか

共働きで、それぞれが自分の収入を管理しているケースもあります。

この場合、「誰が実際に保険料を払っているか」は比較的はっきりしています。自分の口座から引き落とされていれば、自分が申告する。相手の口座から引き落とされていれば、相手が申告する。

ただ、実際には「家族の保険料をまとめて夫の口座から引き落としているけれど、妻も働いているから実質的には共同負担」といった状況もあります。

税務上の原則は「実際に払った人」ですが、夫婦の家計が実質的に一体化している場合、どちらが申告しても大きな問題になることは少ないのが実情です。

重要なのは、毎年一貫した処理をすることです。ある年は夫、次の年は妻、というように申告者を頻繁に変えると、税務署から問い合わせを受ける可能性があります。

迷ったときに確認しておきたいこと

迷ったときに確認しておきたいこと

保険料控除の申告で迷ったときに、確認しておくとよい点をまとめます。

  • 保険料の引き落とし口座は誰の名義か
  • 保険金・給付金の受取人は誰になっているか
  • 夫婦それぞれの年間保険料の合計額はいくらか
  • それぞれの課税所得(税率)はどのくらいか
  • 過去の申告ではどちらが申告していたか

これらを整理すると、自分たちの状況に合った申告方法が見えてきます。

また、保険会社から送られてくる「保険料控除証明書」には、契約者名と保険料の金額が記載されています。この証明書を見ながら、どの保険をどちらが申告するかを整理するのも一つの方法です。

もし判断に迷う場合は、勤務先の経理担当者や税務署に確認することもできます。税務署は相談窓口を設けており、年末調整の時期には電話での問い合わせにも対応しています。

まとめ

保険料控除を夫婦のどちらで申告するかは、「実際に保険料を払った人」が申告するというのが基本的なルールです。

契約者名義よりも、引き落とし口座が誰の名義かで判断します。夫婦それぞれが自分の保険料を払っているなら、それぞれが申告する。どちらか一方の口座からまとめて引き落とされているなら、その人が申告する。

収入が多い方で申告したほうが節税効果が大きい場合もありますが、それはあくまで「実際に払った人」であることが前提です。

迷ったときは、引き落とし口座、受取人、過去の申告状況を確認して、自分たちの家計の実態に合った形で申告すれば問題ありません。

この記事のまとめ
  • 控除を受けられるのは「実際に保険料を払った人」
  • 契約者名義よりも、引き落とし口座で判断する
  • 保険金の受取人が本人または配偶者・親族であることが条件
  • 夫婦それぞれで申告するか、一方にまとめるかは家計の実態で判断
  • 収入が多い方で申告すると節税効果が大きい場合もあるが、上限がある
  • 迷ったときは過去の申告を参考に、一貫した処理を続けるとよい

どちらで申告するかは、正解が一つに決まっているわけではありません。自分たちの家計の状況を見ながら、無理のない形で判断していけば大丈夫です。