確定申告の時期が近づくと、保険会社から送られてくる控除証明書。「これ、出さなきゃいけないのかな」「でも面倒だし、そんなに変わらないなら別にいいか」と、そのまま引き出しにしまい込んでいる。会社で年末調整はしたけれど、保険料控除の欄は空欄のまま提出してしまった。今さら確定申告するほどのことなのか、それとも放っておいても大丈夫なのか、判断がつかない。
そもそも確定申告をしたことがない人にとって、税務署に行くこと自体がハードルに感じられる。「何を持っていけばいいのか」「どんな手続きをするのか」「間違えたらどうなるのか」。分からないことだらけで、調べるのも億劫になる。
「やった方がいいのは分かるけど、今すぐじゃなくてもいいか」と先延ばしにしているうちに、気づけば申告期限が過ぎている。そんな状態が続いている人は、実は少なくありません。
保険料控除を確定申告で出すのは、こういう人

年末調整で保険料控除を申告できなかった場合、確定申告で申告することができます。ただ、すべての人が確定申告をする必要があるわけではありません。
会社員の場合、通常は年末調整で完結します。勤務先に保険料控除証明書を提出していれば、それで手続きは終わっています。確定申告をする必要はありません。
確定申告が必要になるのは、以下のような状況です。
- 年末調整で保険料控除証明書を提出し忘れた
- 年末調整後に新しい保険に加入した
- 医療費控除やふるさと納税など、他の控除も申告する
- 複数の勤務先から給与を受け取っている
- フリーランスや個人事業主として働いている
つまり、会社で年末調整を済ませていて、他に申告するものがなければ、わざわざ確定申告をする必要はないということです。「やらなきゃいけない」と思い込んでいたけれど、実は自分には関係なかったというケースもあります。
確定申告で戻ってくる金額は、思ったより少ない
「保険料控除を申告すれば税金が戻ってくる」と聞くと、大きな金額を期待してしまうかもしれません。ただ、実際に戻ってくる金額は、控除額そのものではありません。
保険料控除の仕組みは、こうなっています。
支払った保険料に応じて、所得から一定額が控除されます。控除額の上限は、生命保険料控除で最大12万円、地震保険料控除で最大5万円です。この控除額に、あなたの所得税率をかけた金額が、実際に戻ってくる税額になります。
例えば、年間8万円の生命保険料を支払っていて、所得税率が10%の場合。控除額は約4万円(計算式により異なる)となり、戻ってくる税額は約4,000円です。
控除額:所得から差し引かれる金額
還付額:実際に戻ってくる税金(控除額×税率)
所得税率は、年収によって変わります。年収が400万円程度であれば税率は5〜10%、600万円程度であれば20%前後になります。
つまり、「確定申告をすれば数万円戻ってくる」というわけではなく、実際には数千円程度のケースが多いということです。これを知ると、「それなら別にいいか」と思う人もいれば、「それでも申告したい」と思う人もいます。どちらの判断も、間違っていません。
確定申告の手続きは、思ったより複雑ではない

確定申告と聞くと、「難しそう」「時間がかかりそう」と感じるかもしれません。ただ、保険料控除だけを申告する場合、手続き自体はそれほど複雑ではありません。
必要な書類は、以下の3つです。
- 源泉徴収票(勤務先から受け取る)
- 保険料控除証明書(保険会社から送られてくる)
- 本人確認書類(マイナンバーカードなど)
申告方法は、いくつかあります。
税務署に直接行く
確定申告の期間中(2月16日〜3月15日)、税務署に書類を持っていけば、その場で職員が手続きを教えてくれます。混雑していることが多いので、時間に余裕を持って行く必要があります。
e-Taxで申告する
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、自宅からオンラインで申告できます。マイナンバーカードとカードリーダーがあれば、スマートフォンでも手続きが可能です。
郵送で提出する
確定申告書を印刷して、税務署に郵送することもできます。控えが必要な場合は、返信用封筒を同封します。
どの方法を選んでも、保険料控除の申告だけであれば、30分〜1時間程度で終わります。ただ、「それでも面倒」と感じるなら、無理にやる必要はありません。
申告しなかったからといって、罰則があるわけではない
「確定申告をしなかったら、どうなるんだろう」と不安になることがあるかもしれません。ただ、保険料控除を申告しなかったからといって、罰則があるわけではありません。
確定申告は、払いすぎた税金を返してもらうための手続きです。申告しなければ、戻ってくるはずの税金が戻ってこないだけで、追加で税金を取られることはありません。
ただし、確定申告が義務付けられている人(年収2,000万円超、副業所得20万円超など)が申告しなかった場合は、無申告加算税などのペナルティが発生することがあります。
還付申告(税金を返してもらう申告)の場合、申告期限は5年間です。つまり、今年申告し忘れても、来年以降に申告することができます。「今年は忙しくて無理だった」という場合でも、後から申告する選択肢があります。
ただ、「いつでもできる」と思っていると、結局やらないまま5年が過ぎてしまうこともあります。それはそれで、一つの選択です。
自分のペースで判断していい

保険料控除の確定申告は、「やらなければいけないこと」ではなく、「やってもいいこと」です。
年末調整で済んでいるなら、わざわざ確定申告をする必要はありません。申告し忘れていても、罰則はありません。戻ってくる金額が数千円程度なら、「それなら別にいいか」と判断することも、間違いではありません。
一方で、「少しでも戻ってくるなら申告したい」「手続きをきちんとしておきたい」と思うなら、それも一つの選択です。
- 年末調整で済んでいれば、確定申告は不要
- 戻ってくる金額は、控除額×税率(数千円程度のことが多い)
- 申告しなくても罰則はない(還付を受ける権利を放棄するだけ)
- 申告期限は5年間あるので、後から申告することもできる
確定申告をするかどうかは、あなたが決めることです。「やった方がいい」と言われても、今の状況で無理ならやらなくてもいい。「やらなくてもいい」と言われても、やりたいならやればいい。
どちらを選んでも、自分を責める必要はありません。自分のペースで、自分の状況に合わせて判断していけば、それでいいんです。