加入した時の書類を見返しながら、「今の保険のままでいいのかな」と考えることがあるかもしれません。でも同時に、「見直すって言われても、今困ってるわけじゃないし」「変えて逆に損したらどうしよう」という気持ちも浮かんでくる。
保険の見直しについて調べると、「定期的な見直しが大切」と書いてあるサイトが多い。でも、そもそも何のために見直すのか、見直さないとどうなるのか、はっきりしないまま「やらなきゃいけないのかな」という気持ちだけが残ってしまう。
今の保険を変えないことが間違いなのか。変えることが正解なのか。そんな二択で考えようとすると、どちらを選んでも不安が残ります。
「見直し」という言葉が持つ2つの意味

医療保険の見直しと聞いて、多くの人が思い浮かべるのは「保険を乗り換える」ことかもしれません。でも実際には、見直しにはもう一つの意味があります。
一つは保険の内容を変更すること。新しい保険に入り直したり、特約を追加・削除したりする行為です。もう一つは今の保険の内容を確認すること。証券を見て、自分が何に入っているのかを把握するだけでも、それは見直しです。
生命保険文化センターの調査によると、自分の加入している保険の保障内容を「よく理解している」と答えた人は約30%。残りの70%の人は「なんとなく理解している」「あまり理解していない」と答えています。
つまり、多くの人にとって必要と考えられるのは「保険を変えること」ではなく、まず「自分が何に入っているかを知ること」という選択肢の一つかもしれません。
見直しが必要になる3つのタイミング
保険を変えるかどうかは別として、内容を確認することを検討したほうがいいタイミングはいくつかあります。それは生活が変わった時です。
家族構成が変わった時
結婚、出産、離婚。家族の人数や関係性が変わると、必要な保障の内容も変わる可能性があります。
例えば独身の時は入院日額5,000円で十分だったかもしれません。でも子どもが生まれると、自分が入院した時の家族の生活費も考える必要が出てきます。逆に、子どもが独立したら、それまでほど手厚い保障は必要なくなるという考え方もあります。
ただしこれは「すぐに変えなければいけない」という意味ではありません。変わったのは状況であって、今の保険が使えなくなったわけではないからです。
医療制度が変わった時
健康保険の自己負担割合や高額療養費制度は、時代とともに変わります。10年前と今では、実際に支払う医療費の額が異なることもあります。
たとえば先進医療特約。以前は対象となる治療が多かったのですが、年々保険適用になる治療が増えて、先進医療として扱われる治療は減ってきています。月々100円程度の特約なので、つけたままでも負担は小さいですが、「何のためについているのか」を知っておくことは大切という考え方があります。
保険料が家計を圧迫してきた時
加入当初は気にならなかった保険料でも、収入が変わったり、他の支出が増えたりすると、負担に感じることがあります。
「保険料を払うために節約している」という状態になっているなら、それは一度立ち止まって考えることを検討したほうがいいタイミングかもしれません。保険は将来のリスクに備えるものですが、今の生活を圧迫してまで維持するものではないという考え方もあるからです。
「〇年ごとに見直す」という決まりはありません。生活や気持ちが変わった時が、確認のタイミングという考え方があります。
見直さないことのリスク、見直すことのリスク

保険の見直しについて考える時、「見直さないとどうなるか」だけでなく、「見直すとどうなるか」も同時に考えることが大切という視点があります。
見直さない場合に起こりうること
今の保険が自分の状況に合っていない可能性があります。
例えば、医療の進歩で入院日数は年々短くなっています。厚生労働省の調査では、平均入院日数は20年前と比べて約10日短くなっています。もし「入院5日目から給付」という古い保険に入っていたら、短期入院では給付金が出ないという可能性があります。
また、保険料が割高になっている可能性もあります。同じ保障内容でも、医療技術の進歩や保険会社の競争によって、新しい商品のほうが保険料が安いことがあります。
見直す場合に起こりうること
一方で、保険を変えることにもリスクはあります。
まず、年齢が上がっているので、新しい保険の保険料は今より高くなることが多いです。保障内容が同じでも、10歳年を取っていれば、保険料は1.5倍から2倍になることもあります。
次に、健康状態によっては新しい保険に入れないことがあります。今の保険を解約してから「入れませんでした」となると、無保険の状態になってしまう可能性があります。
そして、新しい保険には「免責期間」や「待機期間」が設定されていることがあります。加入後すぐには保障が始まらない期間があるということです。
保険を切り替える場合は、新しい保険の契約が成立してから、古い保険を解約することが基本という考え方があります。
「必要性」を自分で判断するための視点
見直しが必要かどうかは、誰かが決めることではありません。自分の状況と気持ちで判断するものです。
今の保険の内容を言葉で説明できるか
まず確認したいのは、自分が何に入っているかを把握しているかどうかです。
- 入院したら1日いくら出るのか
- 手術をしたらいくら出るのか
- がんと診断されたらどうなるのか
- 先進医療特約はついているのか
これらを保険証券を見ずに答えられるなら、少なくとも内容は理解できています。答えられないなら、まず確認することから始めることを検討したほうがいいかもしれません。
保険料の負担をどう感じているか
月々の保険料が5,000円でも、10,000円でも、その金額を「適切」と感じるかどうかは人それぞれです。
「この金額なら、安心を買っていると思える」と感じるなら、それは適切な保険料という考え方もあります。「正直、高いと思うけど、やめるのも不安」と感じているなら、一度内容を確認してみる価値があるかもしれません。
保険に対して「モヤモヤ」があるか
「このままでいいのかな」という気持ちが定期的に浮かんでくるなら、それは何かしらの違和感のサインかもしれません。
その違和感の正体は、保険料かもしれないし、保障内容かもしれないし、「よくわかっていない」という状態そのものかもしれません。モヤモヤを抱えたまま保険料を払い続けるのは、精神的にも負担になる可能性があります。
- 保険証券の内容を理解しているか
- 保険料を「適切」と感じているか
- 保険について考えると不安になるか
見直しは「変える」ことではなく「知る」こと

保険の見直しと聞くと、「何かを決めなければいけない」と感じるかもしれません。でも、見直しの本質は決断ではなく、確認という考え方があります。
今の保険の内容を知る。自分の生活と照らし合わせる。そこにズレがあるかどうかを見る。それだけでも、十分に意味があります。
結果として「このままでいい」と思えるなら、それは見直した結果としての判断です。「変えたほうがいいかも」と思うなら、その時に初めて具体的な選択肢を考えればいい。
見直しは、変えることを前提にするものではありません。自分が何を持っているかを知り、それが今の自分に合っているかを確認する作業という考え方があります。
自分のペースで考えていい
医療保険の見直しに「締め切り」はありません。
今日考えても、来月考えても、来年考えても、それはあなたのタイミングです。保険証券を引っ張り出して眺めるだけでもいいし、何もしなくてもいい。
「見直さなきゃ」と焦る必要はありません。でも、「このままでいいのかな」というモヤモヤを抱えたままでいる必要もありません。
- 見直しには「変更する」と「確認する」の2つの意味がある
- 生活が変わった時、制度が変わった時、負担を感じた時が確認のタイミングという考え方がある
- 見直さないリスクと見直すリスクの両方がある
- 必要性は自分の状況と気持ちで判断するもの
- 見直しは決断ではなく、まず「知る」ことから始められる
保険について考えることは、将来について考えることでもあります。それは大切なことですが、急ぐ必要はありません。ご自身のペースで、ご自身が納得できる形で、向き合っていくことをお勧めします。