「契約したときは将来のためと思っていたけれど、今の生活が苦しい」「毎月の保険料が負担になってきた」「解約したら損をするんじゃないか」——個人年金保険の途中解約を考えているとき、こんな思いが頭の中をぐるぐると回っていませんか。
解約したい気持ちはあるのに、本当に解約していいのか、解約したらどうなるのか、はっきりしないまま保険料だけが引き落とされていく。そんな状態が続いている方も少なくありません。
この記事では、個人年金保険を途中解約するとどうなるのか、どんな選択肢があるのかを整理していきます。すぐに決める必要はありません。まずは状況を確認するための材料として、読んでみてください。
途中解約すると何が起こるのか

個人年金保険を途中解約した場合、契約は終了し、解約返戻金が支払われます。ただし、この解約返戻金は、これまで支払った保険料の合計額よりも少なくなることが多いとされています。
解約返戻金の仕組み
個人年金保険の保険料には、将来の年金の積立部分だけでなく、保険会社の運営費用や手数料が含まれています。特に契約初期は、この費用の割合が大きいため、解約返戻金が支払った保険料を下回る傾向があります。
契約から5年以内に解約した場合、解約返戻金が支払保険料の50〜70%程度になることも考えられます。10年経過すると80〜90%程度まで回復する傾向がありますが、元本割れの状態になる可能性があります。
契約期間が短いほど、解約返戻金の割合は低くなる傾向があります。契約後の経過年数によって、返戻率は大きく変わります。
税金の扱い
解約返戻金を受け取った場合、受け取った金額が支払った保険料を上回っていれば、その差額が一時所得として課税対象になる可能性があります。
ただし、一時所得には50万円の特別控除があり、さらに課税されるのはその1/2の金額です。多くの場合、途中解約では元本割れするため、実際に課税されるケースは限られています。
解約以外の選択肢も存在する
「解約するかしないか」という二択だけではなく、個人年金保険には他の選択肢も用意されていることが多いです。今の状況と照らし合わせながら、確認してみてください。
払済保険への変更
払済保険とは、保険料の支払いを止めて、それまでに積み立てた金額をもとに保険を継続する方法です。
将来受け取れる年金額は当初の予定より少なくなりますが、解約するよりも多くの金額を確保できる可能性があります。保険料の負担がなくなるため、家計への圧迫を軽減しながら、将来の備えを完全にゼロにしない選択肢として検討の価値があります。
減額
保険金額を減らすことで、毎月の保険料を下げる方法です。たとえば、月々3万円の保険料を1万円に減額するといった調整ができます。
減額した部分については解約扱いとなり、その分の解約返戻金が支払われます。全額解約するよりも損失を抑えながら、保険料の負担を軽くできる方法として考えられます。
契約者貸付
契約者貸付は、解約返戻金の一定範囲内で保険会社からお金を借りられる制度です。保険契約は継続したまま、一時的な資金を確保できます。
ただし、借りたお金には利息がかかります。返済しないまま放置すると、利息が膨らんで解約返戻金を上回り、保険が失効する可能性があります。あくまで一時的な資金繰りの手段として検討されることをお勧めします。
契約者貸付を利用する場合は、返済計画を立てておくことが大切です。利息の負担を確認した上で判断してください。
解約を考える前に確認しておきたいこと

解約という選択肢を検討するとき、いくつか確認しておいたほうがよい点があります。これは「解約という選択肢もあります」という意味であり、後から「知らなかった」とならないための確認です。
現在の解約返戻金額
保険会社に問い合わせるか、契約者向けのウェブサイトで、現時点での解約返戻金額を確認できます。「だいたいこれくらいだろう」という推測ではなく、実際の金額を知っておくと、判断の材料になります。
契約時の予定利率
個人年金保険には、契約時に決められた予定利率があります。古い契約ほど予定利率が高い傾向があり、特に1990年代に契約した保険は5%を超えるものもあります。
現在の低金利環境では、同じ条件の保険に入り直すことが難しくなっている傾向があります。解約後に「やっぱり保険が必要」と思っても、以前と同じ条件では契約できない可能性があります。
他の保険との重複
生命保険や医療保険など、他の保険に加入している場合、個人年金保険を解約しても老後資金以外の保障には影響しません。ただし、保険料控除の面では変化があります。
個人年金保険料控除を受けていた場合、解約するとその控除がなくなり、税金の負担が若干増える可能性があります。金額としては年間で数千円程度のことが多いですが、念のため確認しておくとよいでしょう。
同じように迷っている人は少なくない
個人年金保険の途中解約を考えるのは、決して特別なことではありません。生命保険文化センターの調査によると、生命保険全体で年間に約5%の契約が解約されています。
解約を考える理由は人それぞれです。収入が減った、他に優先という考え方もあります支出ができた、保険の内容が自分に合わなくなった——どの理由も、その人の生活の中では正当なものとして考えられます。
「契約したのだから続けなければ」と自分を責める必要はありません。状況が変われば、選択も変わります。それは自然なことです。
「解約したら損をする」という思いと「今の生活が苦しい」という現実の間で揺れるのは、当然のことです。どちらかが間違っているわけではありません。
判断のための情報を整理する

解約するかどうかを決めるのは、あなた自身です。ただ、判断するための材料は整理しておいたほうが、後で「あのとき確認しておけば」と思わずに済みます。
確認しておきたい項目
- 現在の解約返戻金額はいくらか
- これまでに支払った保険料の総額はいくらか
- 契約時の予定利率は何パーセントか
- 払済保険や減額という選択肢が使えるか
- 解約した場合の税金はどうなるか
これらは保険会社に問い合わせれば教えてもらえます。電話でもウェブサイトでも、契約者本人であれば確認できます。
保険会社への問い合わせ方
「解約を考えている」と正直に伝えても問題ありません。保険会社の担当者は、解約返戻金の金額や、他の選択肢について説明してくれます。
引き止められるのではないかと心配する方もいますが、情報を聞くだけなら、その場で決める必要はありません。「一度考えます」と言って電話を切っても構いません。
まとめ
個人年金保険の途中解約を考えるとき、頭の中にあるのは「損をするかもしれない」という不安と、「今の生活をどうにかしたい」という現実の両方だと思います。
- 途中解約すると解約返戻金が支払われるが、多くの場合は元本割れする可能性がある
- 解約以外にも、払済保険・減額・契約者貸付という選択肢がある
- 現在の解約返戻金額や予定利率は、保険会社に問い合わせれば確認できる
- 同じように迷っている人は少なくなく、状況に応じて選択が変わるのは自然なこと
解約するかどうかは、すぐに決めなくても大丈夫です。まずは現在の契約内容を確認して、どんな選択肢があるのかを知ることから始めてみてください。
情報を整理した上で、ご自身の状況に合わせて判断していけば、後から「あのとき確認しておけばよかった」と思うことは減らせます。ご自身のペースで、焦らず考えていってください。