マイホームを購入するとき、火災保険の見積もりを見て「思ったより高い」と感じた方は少なくないと思います。
ローンの支払いに加えて、毎年何万円もの保険料。「本当にこの金額が妥当なのか」「もっと安くできないのか」と考えるのは自然なことです。
でも、相場を調べようとすると「建物の構造による」「地域による」「補償内容による」という説明ばかりで、結局自分の場合はどうなのかがよくわかりません。
安くしたいけれど、必要な補償まで削ってしまうのは怖い。かといって、言われるがまま高い保険料を払い続けるのも納得がいかない。
そんなふうに、どこから考えればいいのか整理できないまま、とりあえず提案された内容で契約してしまった、という方も多いのではないでしょうか。
火災保険の相場は「幅がある」のが普通

火災保険の相場を調べると、年間1万円から10万円以上まで、かなり幅があることに気づきます。
これは「相場がバラバラ」なのではなく、火災保険の保険料が複数の要素で決まるためです。
- 建物の構造(木造か鉄骨か、耐火構造か)
- 建物の所在地(災害リスクの高さ)
- 建物の築年数や評価額
- 補償内容(火災だけか、水災や地震も含むか)
- 免責金額の設定
- 契約期間(1年か5年か10年か)
つまり、「一般的な相場」というものは存在しにくく、自分の状況に応じた金額が「その人にとっての相場」になると考えられます。
同じ地域、同じ構造の建物でも、補償内容を変えれば保険料は大きく変わります。逆に言えば、自分にとって必要な補償を見極めることで、保険料は調整できる可能性があるということです。
保険料を決める主な要素
建物の構造による違い
火災保険の保険料は、建物の燃えにくさによって大きく変わります。
同じ条件でも、木造住宅と鉄骨造では保険料が30〜50%程度異なることがあります。耐火構造であればさらに安くなる傾向があります。
構造区分は「M構造(マンション等)」「T構造(耐火建築物)」「H構造(非耐火建築物)」に分かれ、H構造が最も保険料が高くなります。
自分の建物がどの区分に該当するかは、建築確認申請書や設計図書で確認できます。ハウスメーカーや不動産会社に聞けば教えてもらえることが多いです。
地域による違い
火災保険は、建物の所在地によっても保険料が変わります。
過去の災害データをもとに、地域ごとのリスクが算出されているためです。特に水災(洪水・土砂災害)のリスクが高い地域では、水災補償を含めた場合の保険料が高くなります。
ハザードマップで自分の地域のリスクを確認すると、その保険料の理由が見えてくることがあります。
補償内容による違い
火災保険の保険料を最も左右するのが、どこまでの補償を含めるかです。
基本的な火災・落雷・破裂・爆発だけなら保険料は抑えられますが、風災・雹災・雪災、水災、盗難、破損・汚損などを加えていくと保険料は上がります。
特に水災補償の有無は保険料に大きく影響します。水災リスクが低い地域であれば、この補償を外すことで保険料を20〜30%程度抑えられることもあります。
保険料を抑えるために補償を削ることは可能ですが、削った部分は自己負担になります。ハザードマップや過去の災害履歴を確認したうえで、本当に不要かどうかを検討する必要があります。
「高い」と感じたときに確認したいポイント

見積もりを見て「高い」と感じたとき、まず確認したいのは以下の点です。
建物の評価額は適切か
火災保険の保険金額は、建物の評価額(再調達価額)をもとに設定されます。
この評価額が実際の建物価値より高く設定されていると、保険料も高くなります。逆に低すぎると、万が一のときに十分な補償が受けられない可能性があります。
評価額の算出方法は保険会社によって異なりますが、建築費や面積、構造などから計算されます。明らかに高すぎる、または低すぎると感じた場合は、算出根拠を確認することができます。
不要な特約がついていないか
火災保険には、基本補償のほかにさまざまな特約を付けることができます。
個人賠償責任特約、弁護士費用特約、類焼損害特約など、必要に応じて選べますが、すでに他の保険でカバーされている内容が重複していることもあります。
個人賠償責任特約は、自動車保険やクレジットカードの付帯保険で既に加入している場合があります。重複していれば、どちらかを外すことで保険料を抑えられる可能性があります。
免責金額の設定
免責金額とは、損害が発生したときに自己負担する金額のことです。
免責金額を高く設定すると、保険料は安くなります。たとえば免責3万円と設定すれば、3万円以下の損害は自己負担になりますが、その分保険料は抑えられます。
小さな損害は自分で対応できる、という場合は、免責金額を設定することで保険料を下げることを検討できます。
契約期間の選び方
火災保険は、1年契約のほかに5年、10年といった長期契約も選べます。
長期契約にすると、1年あたりの保険料が割安になることが多いです。ただし、途中で補償内容を変更したくなった場合や、引っ越しの可能性がある場合は、柔軟性が下がります。
長期契約の場合、保険料を一括で支払うか分割にするかも選べます。一括払いのほうが総額は安くなりますが、まとまった支払いが必要になります。
「安ければいい」わけではない理由
保険料を抑えたいと考えるのは自然なことですが、安さだけを基準にすると、必要な補償まで削ってしまうリスクがあります。
火災保険は、万が一のときに住まいを再建するための備えです。保険料を年間1万円抑えたとしても、災害で数百万円の損害が出たときに補償が足りなければ、結果的に大きな負担になる可能性があります。
「この補償は本当に不要か」を考えるときは、以下の視点で整理してみることができます。
- その災害が起きる可能性は、自分の地域でどの程度あるか
- もし起きたとき、自己資金で対応できる範囲か
- その補償を外すことで、どれくらい保険料が変わるか
すべてのリスクに備えようとすると保険料は高くなりますが、すべてを削ってしまうと不安が残ります。自分にとって「ここだけは外せない」という部分を見極めることが、納得できる保険選びにつながると考えられます。
相場を知ることより、自分の状況を整理すること

火災保険の相場を調べることは、ひとつの参考にはなります。
ただ、相場と比べて高いか安いかよりも、自分の建物や地域、生活状況に合った補償内容になっているかのほうが大切です。
保険料が相場より安くても、必要な補償が抜けていれば意味がありません。逆に、相場より高くても、それが自分にとって必要な内容であれば、それは適正な金額と言えるでしょう。
火災保険は、契約後も見直すことができます。生活状況が変わったとき、災害リスクの見直しがあったとき、改めて補償内容を確認することもできます。
「今すぐ決めなければいけない」と焦る必要はありません。わからないことがあれば、保険会社に質問することもできますし、複数の見積もりを取って比較する際の視点にすることもできます。
- 火災保険の相場は、建物の構造・地域・補償内容によって大きく変わる
- 保険料を左右する要素を理解すれば、調整できる部分が見えてくる
- 「安ければいい」ではなく、必要な補償を見極めることが大切
- 相場と比べるより、自分の状況に合っているかを確認する
- 契約後も見直しは可能なので、ご自身のペースでご検討ください
保険料の金額だけを見て判断するのではなく、その金額がどういう内容で構成されているのかを確認すること。そして、自分にとって本当に必要な補償は何かを、焦らずに整理していくこと。
それができれば、「高い」「安い」という印象だけでなく、納得できる判断ができるようになると考えられます。