「今の医療保険より保険料が安くなるなら乗り換えたい。でも、何か落とし穴があるんじゃないか」「新しい保険に入り直すことで、かえって損をするんじゃないか」
医療保険の見直しを考えたとき、こういった迷いが頭をよぎることは少なくありません。保険会社のパンフレットには「保障が充実」「保険料がお得」といった言葉が並んでいても、実際に乗り換えるとなると、今まで積み上げてきたものを手放す不安が出てくるものです。
この記事では、医療保険の乗り換えで実際に起こりうるデメリットについて、具体的な内容を整理していきます。「乗り換えはやめたほうがいい」という話ではなく、判断する前に確認しておきたい視点をまとめたものです。
医療保険の乗り換えで起こる主なデメリット

医療保険を乗り換えるということは、今の契約を解約して新しい契約を結ぶことを意味します。このとき、いくつかの変化が生じます。
保険料が年齢とともに上がる
医療保険の保険料は、契約時の年齢で決まります。たとえば30歳で加入した保険と40歳で加入した保険では、同じ保障内容でも月々の保険料が異なります。
年齢が上がるほど、保険料が高くなるという仕組みが一般的です。
現在の保険に加入したときより年齢を重ねている場合、新しい保険の保険料が今より高くなることがあります。「新商品のほうが安い」と思っていても、年齢による保険料の上昇分が上回ってしまうケースも存在する可能性があります。
告知内容によっては加入できないことがある
医療保険に新たに加入する際は、健康状態についての告知が必要です。過去の病歴や現在の健康状態によっては、以下のような結果になることがあります。
- 特定の病気について保障の対象外となる(部位不担保)
- 保険料が割増になる
- 加入そのものができない
若い頃に加入した保険では問題なく入れたとしても、その後に病気を経験していたり、健康診断で指摘事項があったりすると、乗り換え時に条件が変わることがあります。
多くの医療保険では、過去5年以内の入院・手術歴、過去2年以内の健康診断での指摘事項などを告知する必要があります。保険会社によって基準は異なります。
新しい保険の免責期間・待機期間
保険によっては、契約後すぐには保障が始まらないものがあります。
がん保険の場合、契約日から90日間程度の待機期間が設けられていることが一般的です。この期間中にがんと診断されても、保障の対象にならないことが多いです。
医療保険本体では待機期間がないことが多いものの、特約によっては一定期間の免責が設定されていることもあります。
旧契約を解約してから新契約が成立するまでの間に空白期間が生じると、その間は無保険状態になる可能性があります。
解約返戻金がほとんどない場合が多い
「長年払ってきたんだから、解約したらお金が戻ってくるのでは」と考えることもあるかもしれません。
しかし、現在主流の医療保険は掛け捨て型が多く、解約返戻金がない、あるいはあってもごくわずかというケースがほとんどです。
月3,000円の保険料を10年間支払っていたとしても、解約時に戻ってくる金額は数千円程度、または0円ということも珍しくありません。
積み立て型の医療保険であれば解約返戻金がある程度ありますが、それでも払込保険料の総額を下回ることが一般的です。
保障内容の変化で起こること
乗り換えによって保障内容が変わることも、確認しておきたい点です。
保障の対象外となる病気が出てくる可能性
古い医療保険と新しい医療保険では、保障の範囲が異なることがあります。
たとえば、以前の保険では対象だった特定の治療法が、新しい保険では対象外になっているケースもあります。医療技術の進歩に伴って保険商品も変化しており、「新しいほうが良い」とは限らないという視点もあります。
特に、入院給付金の支払い条件(日帰り入院の扱いなど)や、手術給付金の対象となる手術の範囲は、契約によって異なります。
古い契約特有の条件が失われる
長年加入している保険には、現在では提供されていない条件が含まれていることがあります。
- 終身払いではなく、60歳や65歳で払込が終わる設計
- 更新がなく、保険料が一生変わらない設計
- 予定利率が高かった時代の貯蓄性
こうした条件は、乗り換えによって失われる可能性があります。新しい保険で同じ条件を得ようとすると、保険料が大幅に高くなることもあります。
先進医療特約の保障期間
先進医療特約は、多くの場合10年更新などの定期型になっています。
乗り換えによって新たに先進医療特約を付けた場合、その更新時期がリセットされます。また、将来的に先進医療特約の保険料が値上がりしたり、更新できなくなったりする可能性も考えられます。
乗り換えのタイミングで考えておきたいこと

医療保険の乗り換えを検討するとき、以下のような状況が背景にあることが多いようです。
保険料を抑えたいとき
「保険料が家計の負担になっている」という理由で乗り換えを考えることは、自然なことです。
ただ、保険料を下げる方法は乗り換えだけではありません。
- 入院給付金の日額を下げる
- 不要な特約を外す
- 保障期間を見直す
現在の契約内容の変更で対応できる場合もあります。
保障内容を充実させたいとき
「新しい保険のほうが保障が手厚い」という理由で乗り換えを検討することもあります。
この場合、今の保険に特約を追加する、または新しい保険を上乗せするという選択肢も検討の価値があります。乗り換えではなく、複数の保険を組み合わせることで、リスクを分散できることもあります。
ライフステージの変化
結婚、出産、住宅購入など、生活が変わるタイミングで保険を見直すことは、ごく一般的です。
このとき、「全部を乗り換える」のではなく、「必要な保障だけを追加する」「不要な部分を削る」といった部分的な調整で対応できることもあります。
一度にすべてを変えるのではなく、まず現在の契約内容を確認し、本当に乗り換えが必要かどうかを整理する時間を持つことも選択肢の一つです。
デメリットを踏まえて確認しておきたいこと
医療保険の乗り換えを検討する際、以下のような視点で情報を整理しておくと、判断材料になります。
今の保険の契約内容
- 保障内容(入院日額、手術給付金、特約など)
- 保険料の払込期間
- 更新の有無と更新時の保険料
- 特約の更新条件
これらは、保険証券や契約のしおりで確認できます。
新しい保険の条件
- 保険料(現在の年齢での金額)
- 保障内容の違い
- 告知の内容と基準
- 免責期間や待機期間の有無
新しい保険のパンフレットだけでなく、「契約概要」「注意喚起情報」といった書類にも目を通しておくと、細かい条件が分かります。
乗り換えのタイミング
- 今の保険を解約するタイミング
- 新しい保険の契約が成立するタイミング
- 空白期間が生じないようにする手順
多くの場合、新しい保険の契約が成立してから古い保険を解約するという順序が検討の価値があります。
まとめ

医療保険の乗り換えには、保険料の変化、告知による制限、保障内容の変化など、いくつかのデメリットがあります。
これらは「乗り換えをやめるべき理由」ではなく、「判断する前に確認しておきたい情報」です。
- 年齢が上がると保険料も上がる仕組みがある
- 健康状態によっては新しい保険に入れないことがある
- 古い契約特有の条件が失われることがある
- 解約返戻金はほとんど期待できないことが多い
- 乗り換え以外の方法(特約の追加・削除など)も選択肢になる
乗り換えが必要かどうかは、今の状況と将来の見通しによって変わります。急いで結論を出す必要はありません。情報を整理して、ご自身のペースで検討していける状態を作ることが、まず大切なことです。