「50代になって、医療保険って本当に必要なんだろうか」
そう考えているのは、あなただけではありません。若い頃に入った保険をそのまま続けているけれど、保険料が家計の負担になってきた。でも、この年齢で解約するのも不安。かといって、新しく入り直すのも保険料が高そうで踏み切れない。
「今さら見直すのも面倒だし、このままでいいかな」と思いながらも、毎月の保険料の引き落としを見るたびに、ふと「本当にこのままでいいのか」という思いがよぎる。そんな状態が続いているかもしれません。
医療保険について考えることは、自分の健康や将来について向き合うことでもあります。だからこそ、簡単には答えが出せない。それは当たり前のことです。
この記事では、50代の医療保険について、判断を急がずに考えるための視点を整理していきます。
50代の医療保険、みんなはどうしているのか

まず知っておきたいのは、50代で医療保険について悩んでいる人は決して少なくないということです。
生命保険文化センターの調査によると、50代の医療保険加入率は約88%。多くの人が何らかの医療保険に入っています。ただし、その内容が今の自分に合っているかどうかは別の話です。
50代は、保険の見直しについて考える人が増える年代でもあります。子どもの教育費が一段落するケースもあれば、老後資金について具体的に考え始める時期でもあります。保険料の負担を軽くしたいという思いと、病気のリスクが気になり始める時期が重なることもあります。
50代で医療保険を見直す人の理由
50代で保険を見直す人の主な理由は、以下のようなものです:
- 保険料の負担が重く感じるようになった
- 加入時と比べて生活状況が変わった
- 保険の内容が古く、今の医療に合っていない気がする
- 複数の保険に入っていて、重複している部分がある
- 老後資金を考えると、保険にかけるお金を減らしたい
これらはどれも、特別なことではありません。年齢を重ねれば、優先順位は変わります。
50代の医療費、実際のところどうなのか
「50代になると病気のリスクが上がる」とよく言われます。それは統計上の傾向の一つです。
厚生労働省の「医療給付実態調査」によると、50代の1人あたり年間医療費は約25万円。これは40代の約1.5倍です。ただし、この金額は窓口で支払う金額ではなく、保険適用前の総額です。
実際に窓口で支払うのは、健康保険の自己負担割合である3割。つまり年間約7.5万円、月平均で約6,000円程度です。
高額療養費制度があることも知っておく
もし大きな病気で入院することになっても、健康保険には「高額療養費制度」があります。
例えば、年収が約370万円から770万円の場合、1ヶ月の医療費の自己負担上限額は約9万円です(70歳未満の場合)。手術や入院で医療費が高額になっても、この金額を超えた分は払い戻されます。
この制度を知らずに、「入院したら何百万もかかる」と考えている人も多いです。公的な制度でカバーされる部分は、思っているより大きいという考え方もあります。
年収約370万〜770万円の場合:約9万円+α(月額)
年収約770万〜1,160万円の場合:約17万円+α(月額)
医療保険があることで得られるもの、ないことで得られるもの

医療保険に入っていることで得られるのは、金銭的な補償だけではありません。
「もし病気になっても、保険があるから大丈夫」という安心感は、数字では測れない価値があります。不安を感じやすい人にとって、この安心感は月々の保険料以上の意味を持つこともあります。
一方で、医療保険に入らない、または解約することで得られるものもあります。
保険料を他の用途に回すという選択
例えば、月8,000円の医療保険に入っているとします。これを解約して貯蓄に回した場合、10年間で96万円になります。
この金額があれば、高額療養費制度を利用しても自己負担が発生する入院・手術に、複数回対応できる可能性があります。また、保険でカバーされない差額ベッド代や、通院時の交通費なども賄える選択肢の一つです。
「保険料を払い続けるのと、その分を貯蓄するのと、どちらが自分に合っているか」という視点が大切です。
安心感を優先するか、資金の自由度を優先するか。それは、その人の価値観によります。
今の保険を続けるか、見直すか、解約するか
50代で医療保険について考えるとき、選択肢は主に3つあります。
1. 今の保険をそのまま続ける
加入時から時間が経っていても、保障内容が今の自分に合っているなら、そのまま続けるのも一つの選択です。
特に、若い頃に入った保険は保険料が安いことが多いです。同じ保障内容で新しく入り直すと、年齢が上がった分、保険料は高くなります。
ただし、古い保険の場合、入院日数の制限が厳しかったり、先進医療特約がついていなかったりすることもあります。内容を一度確認してみる価値があります。
2. 保障内容を見直す
今の保険を全部やめるのではなく、必要な部分だけ残して、不要な特約を外すという方法もあります。
例えば:
- 死亡保障は減らして、医療保障は残す
- 入院日額を下げて、保険料を抑える
- がん保険だけは残して、他の医療保険は解約する
保険会社によっては、契約内容の変更ができる場合があります。
3. 解約して、貯蓄で備える
医療保険を解約して、その分を貯蓄や資産運用に回すという選択もあります。
この選択が向いている可能性がある人は:
- ある程度の貯蓄がすでにある
- 公的制度で対応できる範囲を理解している
- 不安よりも、資金の自由度を優先したい
という方です。
解約返戻金がある場合、その金額を確認しましょう。また、解約後に再加入したくなった場合、年齢が上がっているため保険料は高くなります。健康状態によっては加入できないこともあります。
判断するために確認しておきたいこと

医療保険について考えるとき、以下の点を確認しておくと、自分なりの判断がしやすくなります。
今の貯蓄額と月々の収支
- 今、手元にある貯蓄はいくらか
- 月々の収入と支出のバランスはどうか
- 急な出費があっても対応できる余裕はあるか
健康保険の内容
- 会社員か、自営業か(加入している健康保険の種類)
- 高額療養費制度の自己負担上限額はいくらか
- 会社の健康保険組合に付加給付はあるか
今の保険の内容
- 月々の保険料はいくらか
- どんな時にいくら出るのか
- 特約は何がついているか
- 解約返戻金はあるか
これらを整理すると、「今の自分にとって医療保険が必要かどうか」が見えてくることがあります。
まとめ|自分のペースで考えていい
50代で医療保険について考えることは、決して遅くありません。むしろ、これまでの経験があるからこそ、自分に必要なものと不要なものが見えてくる年代です。
- 50代で医療保険について悩むのは、特別なことではない
- 公的な制度(高額療養費制度)でカバーされる範囲は大きいという考え方がある
- 保険料を貯蓄に回すという選択肢もある
- 今の保険を続ける、見直す、解約する、それぞれに意味がある
- 判断するための情報を、まずは整理してみる
「医療保険は必要」と決めつける必要もありませんし、「保険は無駄」と決めつける必要もありません。
大切なのは、自分の状況を確認して、自分なりの答えを見つけることです。それは今日でなくてもいいですし、誰かに相談しながら考えてもいいことです。
焦らず、ご自身のペースで考えていく。それで十分です。