「厚生年金と国民年金って、何が違うんだろう」と思いながらも、日常生活で困ることがないため、そのままにしている方は少なくありません。
年金の話題が出るたびに「自分はどっちなんだっけ」と頭をよぎるものの、調べるほどでもない気がして、後回しにしてしまう。会社員だから厚生年金だと思うけれど、具体的に何が違うのかはよく分からない。国民年金との関係もあいまいで、どちらか一方だけに入っているのか、両方に入っているのかもはっきりしない。
こうした状態は、決して珍しいことではありません。年金制度は複雑で、自分がどの立場にいるのか、どんな仕組みになっているのかを正確に把握している人の方が少ないくらいです。
厚生年金と国民年金の基本的な関係

まず前提として知っておきたいのは、厚生年金に加入している人は、同時に国民年金にも加入しているという点です。
これは「二重に払っている」という意味ではなく、年金制度が二階建ての構造になっているためです。
1階部分:国民年金(基礎年金)
日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入
2階部分:厚生年金
会社員や公務員など、雇用されて働く人が上乗せで加入
つまり、厚生年金に入っている人は、国民年金(1階)と厚生年金(2階)の両方に加入している状態です。一方、自営業者やフリーランスの方は、国民年金(1階)のみに加入しています。
保険料の違い|支払い方と金額
国民年金のみの場合
国民年金のみに加入している方(自営業者、フリーランス、学生など)の保険料は、月額16,520円(2024年度)です。
この金額は収入に関係なく一律で、自分で納付書を使って支払うか、口座振替やクレジットカードで支払います。納付期限は翌月末日で、自分で管理して支払う必要があります。
厚生年金の場合
厚生年金に加入している方(会社員、公務員など)の保険料は、給与の金額によって変わります。
2024年現在、保険料率は18.3%です。ただし、この金額を全額自分で払うわけではなく、会社と折半します。つまり、実際に給与から引かれるのは9.15%です。
例えば、月給が30万円の場合:
– 保険料総額:54,900円(30万円×18.3%)
– 本人負担:27,450円(会社も同額を負担)
この金額には国民年金の保険料も含まれているため、別途国民年金を支払う必要はありません。また、給与から自動的に天引きされるため、自分で納付手続きをする必要もありません。
将来もらえる年金額の違い

国民年金のみの場合
国民年金を40年間(480か月)満額納付した場合、65歳から受け取れる年金額は年額約81万6000円(2024年度)です。月額に換算すると約6万8000円です。
これは納付期間が40年に満たない場合、その分減額されます。例えば30年しか納付していない場合は、約61万2000円(月額約5万1000円)になります。
厚生年金の場合
厚生年金の場合は、国民年金部分(約81万6000円)に加えて、厚生年金部分が上乗せされます。
厚生年金部分の金額は、以下の要素で決まります:
– 加入期間の長さ
– 加入期間中の平均給与額
平均月収30万円で40年間厚生年金に加入した場合:
- 国民年金部分:約81万6000円
- 厚生年金部分:約78万円
- 合計:約159万6000円(月額約13万3000円)
同じ期間保険料を納めても、厚生年金の方が受け取れる金額が多くなります。ただし、保険料自体も給与に応じて高くなるため、それぞれの状況によって受け止め方は異なります。
加入条件と切り替わるタイミング
厚生年金に加入する条件
以下の条件を満たす場合、厚生年金に加入します:
- 従業員数5人以上の会社に勤めている
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 雇用期間が2か月を超える見込み
- 学生でないこと(一部例外あり)
パートやアルバイトでも、これらの条件を満たせば厚生年金に加入することになります。
切り替わるタイミング
人生の中で、厚生年金と国民年金を行き来することは珍しくありません。
- 就職したとき:国民年金 → 厚生年金
- 退職したとき:厚生年金 → 国民年金
- 転職の空白期間:一時的に国民年金
- 起業・独立したとき:厚生年金 → 国民年金
退職して厚生年金から外れた場合、自動的に国民年金に切り替わるわけではありません。退職後14日以内に、自分で市区町村の窓口に届け出る必要があります。
この手続きを忘れると、年金の未納期間が発生する可能性があります。
自分がどちらに加入しているか確認する方法

会社員・公務員の場合
給与明細を見れば、すぐに分かります。「厚生年金保険料」という項目で天引きされていれば、厚生年金に加入しています。
また、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」にも、加入している年金の種別が記載されています。
自営業・フリーランスの場合
市区町村から国民年金の納付書が届いている場合は、国民年金のみの加入です。
どちらか分からない場合
最も確実な方法は、年金事務所に問い合わせることです。基礎年金番号(年金手帳やねんきん定期便に記載)があれば、現在の加入状況を教えてもらえます。
また、「ねんきんネット」に登録すれば、オンラインで自分の年金記録を確認できます。
配偶者の扶養に入っている場合
会社員や公務員の配偶者で、年収が130万円未満の場合、「第3号被保険者」という扱いになります。
この場合、自分で保険料を支払う必要はありませんが、国民年金には加入している状態です。将来、約81万6000円(満額の場合)の基礎年金を受け取ることができます。
ただし、配偶者が自営業者やフリーランスの場合は、第3号被保険者にはなれません。自分で国民年金の保険料を支払う必要があります。
まとめ|制度を知ることで見えてくるもの

- 厚生年金は国民年金の上に乗る「二階建て」の構造
- 厚生年金の保険料は会社と折半、国民年金は全額自己負担
- 将来もらえる年金額は、厚生年金の方が多くなる
- 就職・退職・転職のタイミングで切り替わる
- 自分の加入状況は給与明細やねんきん定期便で確認できる
年金制度は複雑で、すべてを完璧に理解する必要はありません。ただ、自分が今どの立場にいて、将来どのくらいの年金が見込めるのかを大まかに知っておくことは、今後のライフプランを考える上での選択肢の一つになります。
今すぐ何かする必要はありません。ご自身のペースで、必要だと感じたときに必要な情報を確認していくことができます。今この記事を読んだことで、年金についての理解が少しでも整理できたなら、それだけで十分です。