火災保険の保険料、どう考えたらいいんだろう

新しく家を建てたり、賃貸を借りたりするとき、「火災保険の保険料ってどれくらいが普通なんだろう」と思うことがあるかもしれません。
提示された金額が高いのか安いのか、判断する基準がないと戸惑いますよね。かといって、周りの人に「火災保険、いくら払ってる?」と聞くのも少し気が引ける。そもそも、自分の家と他の人の家では条件が違うから、単純に比べていいものかどうかもわからない。
「相場を知りたい」と思うのは、高すぎる保険料を払いたくないという気持ちと同時に、「安すぎて必要な補償が足りないのも困る」という両方の気持ちがあるからかもしれません。
こうした疑問を持つのは、あなただけではありません。火災保険の保険料について、どう考えたらいいのか戸惑う人は少なくないのです。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の保険商品の推奨や、個別の契約内容についての助言を行うものではありません。保険料や補償内容は、建物の条件や保険会社によって異なります。実際の契約にあたっては、ご自身の状況に合わせて保険会社や専門家に相談することもできます。
火災保険の保険料は条件によって変わる
火災保険の保険料には、実は「これが相場」と言い切れる金額がありません。
なぜなら、保険料は建物の条件や補償内容によって大きく変わるからです。同じ保険会社でも、建物の構造、所在地、補償範囲、契約年数などによって、保険料は何倍も違うことがあります。
たとえば、木造の一戸建てと鉄筋コンクリートのマンションでは、火災リスクが異なるため保険料も変わります。また、水害リスクが高い地域とそうでない地域でも、同じ補償内容でも保険料に差が出ます。
つまり、「みんなが払っている平均的な金額」を知っても、それがあなたの家に当てはまるとは限らないのです。
保険料を決める主な要素
火災保険の保険料は、以下のような要素で決まります。
- 建物の構造(木造、鉄骨造、コンクリート造など)
- 建物の所在地(都道府県、市区町村)
- 建物の延床面積
- 建物の建築年数
- 補償内容(火災のみ、水災含む、地震保険の有無など)
- 保険金額(建物・家財それぞれの補償額)
- 契約期間(1年、5年など)
これらの条件が一つでも違えば、保険料は変わります。だから、「一般的な相場」という考え方自体が、火災保険にはなじみにくいのです。
それでも参考になる金額の例

とはいえ、まったく目安がないと戸惑いますよね。
ここでは、いくつかの条件での保険料例を示します。ただし、これはあくまで一例であり、保険会社や細かい条件によって変わることを前提に見てください。
戸建て住宅の場合
木造の一戸建て(延床面積100㎡程度、建物保険金額2,000万円、家財保険金額1,000万円)で、水災補償を含む場合:
- 1年契約:年間2万円〜5万円程度
- 5年契約:総額8万円〜20万円程度
鉄骨造やコンクリート造の場合は、これより安くなることが多いです。また、水災補償を外すと、保険料は20〜30%程度下がることもあります。
マンションの場合
コンクリート造のマンション(専有部分の面積70㎡程度、建物保険金額1,500万円、家財保険金額500万円)の場合:
- 1年契約:年間5,000円〜1万5,000円程度
- 5年契約:総額2万円〜6万円程度
マンションの場合、建物の共用部分は管理組合が保険をかけているため、専有部分のみの契約となり、戸建てより保険料は低くなる傾向があります。
賃貸住宅の場合
賃貸物件の家財保険(家財保険金額300万円、借家人賠償責任2,000万円)の場合:
- 1年契約:年間5,000円〜1万円程度
- 2年契約:総額1万円〜2万円程度
賃貸の場合は建物の保険は大家さんが加入しているため、入居者は家財と借家人賠償責任のみを補償する保険に入ります。
上記はあくまで一般的な例です。水害リスクが高い地域や、地震保険を付ける場合は、これより高くなります。逆に、補償内容を限定すれば、より安くなることもあります。
保険料が高いと感じたときに見られる要素
提示された保険料を見て「高い」と感じることがあるかもしれません。
そのとき、「相場より高いかどうか」ではなく、「この保険料で得られる補償が、自分にとってどうか」を見ることもできます。
補償内容を確認する視点
火災保険の保険料が高くなる理由の一つは、補償範囲が広いことです。
たとえば、以下のような補償が含まれているかを確認してみることができます。
-
水災補償:河川の氾濫や土砂災害による損害を補償します。ハザードマップで自宅が浸水想定区域に入っていない場合や、マンションの高層階に住んでいる場合は、必要性を考える余地があるかもしれません。
-
風災・雹災・雪災補償:台風や雪による損害を補償します。地域によってはリスクが低い場合もあります。
-
破損・汚損補償:不測かつ突発的な事故(家具を倒して壁に穴を開けたなど)を補償します。補償範囲は広いですが、保険料も上がります。
必要と感じる補償に絞ることで、保険料を抑えることができます。ただし、外した補償については自己負担になることを理解しておく必要があります。
保険金額を確認する視点
建物や家財の保険金額が、実際の価値とどう関係しているかを確認してみることもできます。
建物の保険金額は、再調達価額(同じ建物を新築する場合の費用)を基準に設定されますが、設定金額によって保険料も変わります。
家財についても、実際に持っている家具や家電の価値を見積もってみると、設定金額が適切かどうかの判断材料になります。
免責金額を設定する
免責金額とは、損害が発生したときに自己負担する金額のことです。
たとえば、免責金額を3万円に設定すると、損害額が10万円の場合、保険金は7万円になります。小さな損害は自分で負担する代わりに、保険料を安くできる仕組みです。
免責金額を設定することで、保険料を10〜20%程度下げられることもあります。
複数の見積もりを取ることもできる

火災保険は、同じ補償内容でも保険会社によって保険料が異なります。
保険会社ごとにリスクの計算方法や割引制度が違うため、2〜3社の見積もりを取ってみると、保険料に差が出ることがあります。
ただし、安いからといってすぐに決める必要はなく、補償内容や特約、事故対応の体制なども含めて見ることができます。
見積もりを取るときは、同じ条件で比較できるように、補償内容や保険金額を揃えておくと判断しやすくなります。
長期契約と短期契約の違い
火災保険は、契約期間によっても保険料が変わります。
現在、火災保険の契約期間は最長5年までとなっています(以前は10年契約も可能でしたが、2022年以降は5年が上限です)。
長期契約の特徴
長期契約にすると、1年あたりの保険料が安くなることが多いです。たとえば、5年契約の場合、1年契約を5回更新するよりも総額で5〜10%程度安くなることがあります。
また、契約期間中は保険料が変わらないため、途中で保険料が値上がりしても影響を受けません。
短期契約の特徴
一方、1年契約にすると、毎年補償内容を見直せるという面があります。
生活環境が変わったり、新しい補償が必要になったりしたときに、柔軟に対応できます。また、一度に支払う金額が少ないため、家計への負担も分散できます。
どちらが合うかは、あなたの状況や考え方によります。
地震保険を付けるかどうか

火災保険とセットで検討することが多いのが地震保険です。
地震保険は火災保険に付帯する形で加入し、地震・噴火・津波による損害を補償します。保険料は建物の構造と所在地によって決まり、どの保険会社でも同じです。
たとえば、木造の戸建て(保険金額1,000万円)で東京都の場合、年間2万5,000円程度、大阪府の場合は年間1万5,000円程度です(2024年時点の目安)。
地震保険を付けると保険料は上がりますが、地震による損害は火災保険だけではカバーされません。地震のリスクをどう考えるかは、個人によって異なります。
保険料だけで決める必要はない
火災保険を選ぶとき、保険料は大切な要素ですが、それだけで決める必要はありません。
保険は「何かあったときに使うもの」です。保険料が安くても、必要な補償が足りなければ困ることがあります。逆に、高い保険料を払っても、使わない補償ばかりでは負担になることもあります。
自分の家の状況、住んでいる地域のリスク、家計の状況を見ながら、「これなら納得できる」と思える内容を選ぶこともできます。
その場で決める必要はありません。
見積もりを取るだけでもいいですし、取らなくてもいいです。
今すぐ判断しなくても大丈夫です。
- 火災保険の保険料は建物の条件や補償内容によって大きく変わるため、「相場」という考え方はなじみにくい
- 保険料が高いと感じたら、補償内容や保険金額、免責金額を確認する視点がある
- 複数の見積もりを取ることで、同じ補償内容でも保険会社によって保険料に差が出ることがある
- 保険料だけでなく、自分にとってどうかを考えることもできる
火災保険について考えるタイミングや方法は、人それぞれです。ご自身のペースで、少しずつ情報を整理していけば大丈夫です。
保険料の目安を知ることは、判断するための一つの材料にはなりますが、それがすべてではありません。あなたが自分のペースで、納得できる形で考えを進められることを願っています。
話を聞くだけでもいいですし、聞かなくてもいいです。