- 後期高齢者医療制度の保険料負担について迷う方が多い理由
- 後期高齢者医療制度の保険料支払いに関する基本的な仕組み
- 保険料軽減措置を活用するかどうかの判断軸
後期高齢者医療制度の保険料負担について迷う方が多い理由

75歳になると加入する後期高齢者医療制度について、「保険料はいつまで払うのか」「負担を軽くする方法はないか」と迷う方は少なくありません。制度の仕組みがわかりにくく、将来の家計への影響を心配する声も多く聞かれます。
この記事では、後期高齢者医療制度の保険料負担に関する判断軸を整理し、軽減措置の活用や民間保険との組み合わせなど、複数の選択肢について比較検討の観点を提供します。
後期高齢者医療制度の保険料支払いに関する基本的な仕組み
保険料の支払い期間と終了条件
後期高齢者医療制度の保険料は、75歳で加入してから生涯にわたって支払い続ける仕組みになっています[1]。一般的な民間保険のように「○歳で払込満了」という概念はありません。
支払いが終了するのは以下の場合のみです[1]:
- 被保険者が亡くなった場合
- 他の都道府県に転居した場合(転居先で新たに加入)
- 生活保護を受給するようになった場合
保険料の算定方法
保険料は「所得割」と「均等割」の2つの要素で構成されます:
| 項目 | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 所得割 | 前年の所得に応じて計算 | 所得が多いほど高くなる |
| 均等割 | 被保険者全員が負担する定額部分 | 所得に関係なく一定額 |
年間保険料の上限額は66万円(2023年度)となっています。具体的な保険料額は都道府県によって異なり、全国平均では年間約6万円程度の負担となっています。
保険料軽減措置を活用するかどうかの判断軸

所得に応じた軽減措置の選択肢
後期高齢者医療制度には、所得水準に応じた軽減措置が設けられています。この制度を理解して活用するかどうかで、保険料負担は大きく変わります。
| 軽減割合 | 対象となる所得水準 | 軽減される部分 |
|---|---|---|
| 7割軽減 | 基礎控除額(43万円)以下の世帯 | 均等割のみ |
| 5割軽減 | 基礎控除額+29万円×被保険者数以下 | 均等割のみ |
| 2割軽減 | 基礎控除額+53万円×被保険者数以下 | 均等割のみ |
軽減措置を受けられる場合:自動的に適用されるため、特別な手続きは不要と考える人もいます。ただし、所得の申告を適切に行うことが前提となります。
軽減措置の対象外の場合:保険料負担が重くなる可能性があるため、民間の医療保険や貯蓄での備えを検討する余地があります。
徴収方法の選択:特別徴収と普通徴収
保険料の支払い方法には2つの選択肢があります[1]:
| 徴収方法 | 対象者 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 特別徴収 | 年金年額18万円以上の方 | 支払い忘れがない | 年金から自動的に差し引かれる |
| 普通徴収 | 年金年額18万円未満の方、または口座振替を選択した方 | 支払いタイミングを調整できる | 支払い忘れのリスクがある |
口座振替を選択した場合は口座振替割引が適用される場合があるため、わずかながら保険料負担を軽減できる可能性があります。
民間の医療保険との組み合わせを検討する場合の判断軸
- 後期高齢者医療制度だけで十分かどうかの考え方
- 医療費の自己負担は原則1割(現役並み所得者は3割)
- 高額療養費制度により月の上限額を超えた分は払い戻し
- 入院時の食事代の一部は自己負担
- 差額ベッド代(個室料金など)
当てはまるほど、必要性が高くなる可能性があります。
後期高齢者医療制度だけで十分かどうかの考え方
後期高齢者医療制度は公的な医療保障として充実していますが、以下のような場合には民間保険との組み合わせを検討する方もいます:
公的制度でカバーされる範囲:
- 医療費の自己負担は原則1割(現役並み所得者は3割)
- 高額療養費制度により月の上限額を超えた分は払い戻し
- 入院時の食事代の一部は自己負担
公的制度でカバーされない範囲:
- 差額ベッド代(個室料金など)
- 先進医療の技術料
- 入院時の日用品や家族の交通費
- 介護が必要になった場合の費用
民間保険を検討する場合の選択肢
75歳以降も加入できる民間保険には限りがありますが、以下のような選択肢があります:
| 保険の種類 | 特徴 | 検討すべき人 |
|---|---|---|
| 終身医療保険(払込済み) | 若い頃に保険料を払い終えている | 既に加入済みで保障を継続したい方 |
| 少額短期保険 | 高齢者向けの医療保障 | 新たに医療保障を上乗せしたい方 |
| 貯蓄での備え | 保険料負担なし、自由度が高い | 保険料を払うより貯蓄を重視したい方 |
ただし、75歳以降に新たに医療保険に加入する場合、保険料は高額になる傾向があり、健康状態によっては加入自体が困難な場合もあります。
ケース別の考え方:どのような選択肢があるか

所得水準別の検討パターン
低所得で軽減措置の対象となる場合:
- 後期高齢者医療制度の保険料負担は比較的軽い
- 民間保険の保険料負担の方が重くなる可能性がある
- 公的制度を中心とした備えを検討する選択肢がある
中程度の所得で軽減措置の対象外の場合:
- 後期高齢者医療制度の保険料負担がある程度発生する
- 民間保険との組み合わせを比較検討する余地がある
- 貯蓄での備えとのバランスを考える選択肢がある
高所得で保険料上限に近い場合:
- 後期高齢者医療制度の保険料負担が最大となる
- 民間保険や貯蓄での上乗せ保障を検討する選択肢がある
- 相続対策も含めた総合的な検討が必要な場合がある
健康状態別の検討パターン
現在健康で医療費がかかっていない場合:
- 将来の医療費増加に備える観点から選択肢を比較できる
- 民間保険の保険料負担と貯蓄での備えを比較検討できる
既に持病があり定期的に医療費がかかる場合:
- 後期高齢者医療制度の恩恵を実感しやすい
- 新たな民間保険加入は困難な可能性がある
- 公的制度を中心とした備えを検討する選択肢がある
- 必要性は家計・家族状況・価値観で変わります。
- 制度や税制は変更される可能性があります。
- 具体的な判断は公的情報や契約条件の確認が前提です。
まとめ:保険料負担に関する選択肢の整理
後期高齢者医療制度の保険料は生涯支払い続ける仕組みですが、軽減措置の活用や民間保険との組み合わせなど、複数の選択肢があります。
重要なポイントは以下の通りです:
- 軽減措置の対象となるかどうかで保険料負担は大きく変わる
- 民間保険との組み合わせは、年齢と健康状態により選択肢が限られる
- 貯蓄での備えも含めて総合的に検討することが可能
今すぐ結論を出す必要はありません。まずは現在の所得状況や健康状態を整理し、焦らずに、ご自身のペースで検討してください。
より詳しい情報が必要な場合は、お住まいの市区町村の後期高齢者医療担当窓口や、ファイナンシャルプランナーへの相談も選択肢の一つです。FPへの相談は情報収集であり、その場で決める必要はありません。相談してみて、「違うな」と感じたら断って構いません。複数の相談窓口を利用して比較することで、より納得した選択ができます。
※個別の状況により判断は異なります。詳細は各制度の窓口にご確認ください。