独身だと生命保険は必要ないのか――入らない選択も、入る選択も、どちらも間違いじゃない

独身だと生命保険は必要ないのか――入らない選択も、入る選択も、どちらも間違いじゃない

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況により最適な判断は異なります。必要に応じて公的情報や専門家へご確認ください。

「独身だから生命保険はいらない」と思っているけれど、それでいいのか時々不安になる。でも、保険に入ったからといって安心できるわけでもない。むしろ、毎月の保険料が負担になって、今の生活を圧迫するのではないかという心配もある。

周りの人が「独身なら保険はいらない」と言う一方で、保険会社の人からは「万が一のために」と勧められる。どちらの言葉も正しく聞こえて、結局どう考えればいいのかわからない。

入らないことを選んでも、入ることを選んでも、後から「あのとき違う判断をしていれば」と思うのではないか。そんな不安が頭の片隅にあって、決められないまま時間だけが過ぎていく。

この記事では、独身の人が生命保険について考えるときに、何を確認すればいいのかを整理していきます。「入るべき」でも「入らなくていい」でもなく、自分の状況を見るための視点をお伝えします。

独身で生命保険に入らない人は、実際どれくらいいるのか

独身で生命保険に入らない人は、実際どれくらいいるのか

生命保険文化センターの調査によると、独身者の生命保険加入率は約60%です。つまり、約40%の人は生命保険に入っていません。

この数字が示しているのは、「独身だから入らない」という判断も、「独身だけど入っている」という判断も、どちらも珍しくないということです。

入っていない人の中には、「今は必要ないと判断している」人もいれば、「考えてはいるけれど決められない」人もいます。入っている人の中にも、「親に勧められて」「会社の団体保険で」など、積極的に選んだわけではない人も含まれています。

つまり、独身で保険に入っていないことは、特別な状態ではありません。同じように考えている人、同じように迷っている人は、少なくないのです。

生命保険が「必要」と言われる理由を分解してみる

生命保険が必要だと言われる理由は、主に3つあります。

理由1:自分が亡くなったときに、残された家族の生活費を残すため

これは、配偶者や子どもがいる場合に最も重視される理由です。独身の場合、この視点での必要性は低くなる傾向があります。

ただし、親や兄弟姉妹に経済的な支援をしている場合や、自分の収入が途絶えると困る人がいる場合は、この視点が当てはまることもあります。

理由2:葬儀費用や整理費用を準備するため

葬儀費用の全国平均は約200万円と言われています。ただし、これは一般的な葬儀を行った場合の金額で、家族葬や直葬を選べば50万円程度で済むこともあります。

貯蓄がある程度あれば、保険で準備する必要がないという考え方もあります。貯蓄が少ない場合でも、親や兄弟に負担をかけたくないという考えがあるかどうかで、判断は変わってきます。

理由3:病気やケガで働けなくなったときの生活費を確保するため

これは生命保険というより、医療保険や就業不能保険の領域です。ただし、生命保険を検討する際に、同時に考える人が多い項目です。

会社員の場合、健康保険の傷病手当金で給与の約3分の2が最長1年6ヶ月支給される仕組みになっています。自営業やフリーランスの場合は、この制度がありません。

独身で生命保険に入っている人は、何を考えて入ったのか

独身で生命保険に入っている人は、何を考えて入ったのか

独身で生命保険に入っている人の理由を聞くと、以下のようなものがあります。

  • 親に迷惑をかけたくない(葬儀費用や借金の整理)
  • 会社の団体保険で保険料が安かったから
  • 若いうちに入ったほうが保険料が安いと聞いて
  • 病気になる前に入っておきたかった
  • 貯蓄型の保険で、将来の資金準備も兼ねて

これらの理由を見てわかるのは、「入らなければいけない」という強い理由があったわけではなく、「このタイミングで入っておいてもいいかな」という判断だったということです。

逆に、入っていない人の理由も聞いてみると、こんな声があります。

  • 今の貯蓄で葬儀費用は賄える
  • 親にも貯蓄があるので、急に負担をかけることはない
  • 保険料を払うなら、その分を貯蓄に回したい
  • まだ若いので、必要になったら考える

どちらの判断も、その人の状況に合わせた選択肢の一つです。「正しい」「間違っている」ではなく、何を優先するかの違いなのです。

自分にとって「必要かどうか」を確認するための3つの視点

生命保険が必要かどうかを考えるとき、以下の3つを確認してみると、自分の状況が整理しやすくなります。

視点1:今、自分が亡くなったら困る人がいるか

  • 親や兄弟に経済的な支援をしているか
  • 借金や奨学金の返済が残っているか(連帯保証人がいる場合)
  • 賃貸住宅の保証人になってもらっているか

これらに当てはまる場合、自分が亡くなったときに誰かに負担がかかる可能性があります。その負担を減らしたいと思うかどうかが、判断の一つの軸になります。

視点2:葬儀費用や整理費用を、貯蓄で賄えるか

現在の貯蓄額が100万円以上あれば、最低限の葬儀費用は準備できている状態と考えられます。200万円以上あれば、一般的な葬儀にも対応できる可能性があります。

貯蓄が少ない場合でも、親や兄弟が対応できる状況であれば、急いで保険に入る必要がないという考え方もあります。

視点3:これから先、保険に入りにくくなる可能性があるか

生命保険は、健康状態によっては加入できないことがあります。持病がある場合や、過去に大きな病気をした場合は、加入できる保険が限られます。

今は健康でも、将来的に病気になる可能性を考えると、「入れるうちに入っておく」という判断も検討の価値がある選択肢です。ただし、これは「必要だから入る」ではなく、「入れるうちに入っておく」という予防的な判断という位置づけです。

保険料の目安

30代独身の場合、死亡保険金500万円の定期保険(10年更新)で、月額1,000円2,000円程度が目安とされています。終身保険の場合は、月額5,000円10,000円程度になる傾向があります。

「入らない」を選んでも、後から変えられる

「入らない」を選んでも、後から変えられる

生命保険は、今入らなければ二度と入れないわけではありません。

結婚したとき、子どもができたとき、親の介護が必要になったとき、自分の健康状態が変わったとき。状況が変われば、そのタイミングで改めて考えることができます。

逆に、今入ったとしても、必要がなくなったら解約できます。定期保険であれば、更新のタイミングで見直すこともできます。

「今決めたことが、ずっと続く」わけではありません。今の状況で判断して、状況が変わったらまた考える。それでいいのです。

「どうしても決められない」なら、決めなくてもいい

ここまで読んで、「やっぱりどうすればいいかわからない」と思うかもしれません。

それは、判断するための材料が足りないのではなく、今はまだ決める必要がないタイミングなのかもしれません。

決められないということは、「入らないと困る」状況でもなく、「入らないと不安でたまらない」状況でもないということです。そうであれば、無理に決める必要はありません。

もし、誰かに相談してみたいと思ったら、保険の相談窓口やFPに話を聞いてみるのも一つの方法です。ただし、話を聞いたからといって、その場で決める必要はありません。「今日は話を聞くだけ」と決めておけば、持ち帰って考えることができます。

この記事のまとめ
  • 独身で生命保険に入っていない人は約40%。入らない判断も、特別ではありません
  • 生命保険が必要かどうかは、「困る人がいるか」「貯蓄で賄えるか」「将来入りにくくなる可能性があるか」の3つの視点で確認できます
  • 今決めたことが、ずっと続くわけではありません。状況が変われば、また考えることができます
  • どうしても決められないなら、今は決めなくてもいいタイミングかもしれません

独身だから生命保険が必要ないわけではなく、独身だから必要なわけでもありません。必要かどうかは、あなたの状況と、あなたが何を優先したいかで決まります

入らないことを選んでも、入ることを選んでも、どちらも間違いではありません。ご自身のペースで、自分の状況を確認しながら、考えていくことをお勧めします。