収入保障保険という名前を見かけて、「これって自分に必要なんだろうか」と考えているところかもしれません。必要と言われる気もするけれど、本当に自分の場合はどうなんだろう、と。
保険の話になると「万が一のために」という言葉がよく出てきますが、その「万が一」が自分にどれくらい関係するのか、実感が持ちにくいこともあります。必要と言われても、今の生活で精一杯なのに保険料を払い続けられるのか、という現実的な心配もあるかもしれません。
こういった迷いは、保険を考えるときに多くの人が感じているものです。「必要性」という言葉だけでは、自分の状況に当てはまるのかどうか判断しにくいものです。
収入保障保険とは、どういう仕組みなのか

収入保障保険は、契約者が亡くなった場合や高度障害状態になった場合に、遺族が毎月一定額を受け取れる保険です。
たとえば月額15万円で契約していた場合、万が一のことがあったとき、遺された家族は毎月15万円を受け取り続けることができます。これが保険期間の満了まで続きます。
一般的な死亡保険(定期保険や終身保険)が「一度にまとまった金額」を受け取る形なのに対し、収入保障保険は「毎月の給料のように」受け取る形になっています。
保険料は、同じような保障内容の定期保険と比べると、月々30〜40%程度安くなることが多いとされています。これは、保障額が時間とともに減っていく仕組みになっているためです。
契約当初は長期間にわたって給付が続くため保障総額が大きくなりますが、年数が経つにつれて残りの給付期間が短くなり、保障総額も小さくなっていきます。
「必要性」を考える前に、まず状況を整理してみる
収入保障保険の必要性について考えるとき、いくつかの視点から自分の状況を見てみることができます。
自分が働けなくなったとき、誰が困るか
収入保障保険を考える際の一つの視点は、「自分の収入がなくなったとき、経済的に困る人がいるかどうか」です。
配偶者や子どもがいて、自分の収入で生活が成り立っている場合、その収入が途絶えたときの影響は大きくなる可能性があります。配偶者も働いていて、お互いの収入で生活している場合は、状況がまた違ってきます。
独身で扶養している家族がいない場合は、自分の収入がなくなっても他の人の生活に直接的な影響は出ません。この場合、収入保障保険よりも自分自身の医療保障や就業不能保障を優先する考え方もあります。
今ある貯蓄と、将来必要になるお金
もう一つの視点は、今の貯蓄額と将来必要になる金額の関係です。
たとえば子どもが小さい家庭の場合、教育費として大学卒業までに一人あたり1,000万円前後かかるとされることがあります。これに加えて、日々の生活費も必要になります。
現在の貯蓄が十分にあり、万が一のことがあっても遺族が経済的に困らない状態であれば、収入保障保険の必要性が低い可能性があります。一方、貯蓄が少ない状態で大きな支出が今後控えている場合は、状況が変わってきます。
住宅ローンを組んでいる場合、多くは団体信用生命保険に加入しているため、契約者が亡くなればローンは完済されます。この場合、住居費の心配は減ります。
公的保障でカバーされる部分
忘れがちなのが、公的な保障制度です。
会社員や公務員の場合、遺族厚生年金という制度があります。配偶者と子どもがいる場合、子どもが18歳になるまで、月額10万円前後(収入によって変動)を受け取れることがあります。
自営業の場合は遺族基礎年金のみになり、支給額は遺族厚生年金より少なくなる傾向があります。子どもが2人いる場合で月額10万円程度とされています。
ねんきん定期便や、日本年金機構のウェブサイト「ねんきんネット」で、自分の場合の遺族年金額の目安を確認することができます。
これらの公的保障と、配偶者の収入、貯蓄額を合わせて考えると、実際に不足する金額が見えてきます。
「必要性」は変化していくもの

収入保障保険の必要性は、ずっと同じではありません。
子どもが生まれたばかりの時期は、教育費も生活費も長期間必要になるため、必要保障額は大きくなる傾向があります。しかし子どもが独立すれば、必要な金額は減っていきます。
収入保障保険は、「時間とともに必要額が減っていく」という状況に合った仕組みになっているという考え方もあります。子どもが小さいときは長期間の給付が受けられ、年数が経つと給付期間が短くなっていきます。
住宅ローンを完済したり、貯蓄が増えたりすることでも、必要性は変わってきます。
「必要」と「払える」のバランス
収入保障保険を考えるとき、もう一つ大切なのが保険料の負担です。
たとえば30歳男性が、月額15万円を60歳まで保障する契約をした場合、保険料は月々3,000円台から4,000円台程度になることが多いとされています(保険会社や健康状態によって異なります)。
必要だと思っても、毎月の保険料が家計を圧迫してしまっては、続けることが難しくなる可能性があります。貯蓄ができなくなったり、日々の生活が苦しくなったりするのであれば、保障額を見直すことも一つの選択肢です。
保険料は長期間払い続けるものです。今は払えても、将来の収入変動や支出増加を考えると、無理のない金額設定が大切です。
自分のペースで考えていい

収入保障保険の必要性について、いくつかの視点を見てきました。
- 自分の収入がなくなったとき、経済的に困る人がいるか
- 今の貯蓄と将来必要な金額の関係
- 公的保障でカバーされる部分はどれくらいか
- 必要性は時間とともに変化していく
- 保険料の負担が家計に無理のない範囲か
これらの視点は、「必要」か「不要」かを判断するためのものではなく、自分の状況を整理するための材料です。
人によって家族構成も収入も貯蓄も違います。同じ状況でも、どう考えるかは人それぞれです。誰かにとっての「必要」が、自分にとっても必要とは限りません。
急いで結論を出す必要はありません。自分の状況を確認しながら、ご自身のペースで考えていけば大丈夫です。今すぐ決めなくても、情報を整理しておくだけでも、いつか判断が必要になったときの助けになります。