フリーランスになって、就業不能保険という言葉を耳にしたとき、「これって入るべきなんだろうか」と考えたことはありませんか。
会社員のときは傷病手当金があったけれど、フリーランスにはそれがない。だから何か備えておいた方がいいのかもしれない。でも、毎月の保険料もかかるし、本当に必要なのかどうか、判断がつかない。
「働けなくなったときのことを考えると不安だけど、保険に入ったからといって安心できるわけでもない」
「そもそも自分が働けなくなる確率ってどれくらいなんだろう」
「保険料を払い続けるなら、その分を貯金した方がいいんじゃないか」
こうした迷いを抱えたまま、結局何も決められずにいる。そんな状態で今日まで来ている方も少なくないと思います。
この記事では、フリーランスが就業不能保険について考えるときに知っておきたい情報を整理しています。判断するための材料として、ご自身のペースでご参考いただければと思います。
フリーランスが働けなくなったときの収入の話

会社員の場合、病気やケガで働けなくなったとき、健康保険から傷病手当金が支給されます。これは標準報酬月額の約3分の2が、最長1年6ヶ月支給される制度です。
一方、フリーランスが加入する国民健康保険には、この傷病手当金の制度がありません。働けなくなった瞬間から、収入が途絶える可能性があります。
会社員:病気やケガで休んでも、有給休暇や傷病手当金でカバーされる期間がある
フリーランス:仕事ができなくなった時点で、原則として収入が発生しなくなる
ただし、これはあくまで「制度上の話」です。実際には、フリーランスでも取引先との関係性によっては、多少の猶予期間があったり、復帰後に仕事を再開できたりすることもあります。
また、貯蓄がある程度あれば、数ヶ月程度の収入減には対応できるという考え方もあります。配偶者に収入がある場合も、状況は変わってきます。
「働けなくなる=即座に生活が破綻する」というわけではない場合もあります。ただし、制度的な保障がないことは事実として知っておく必要があります。
就業不能保険とはどういう保険なのか
就業不能保険は、病気やケガで長期間働けなくなったときに、毎月一定額の給付金を受け取れる保険です。
一般的な保障内容は以下のようなものです。
- 入院または医師の指示による在宅療養が一定期間続いたとき
- 所定の就業不能状態が60日または180日継続したとき
- 給付金は月額10万円~50万円程度で設定できる
- 支払い期間は1年、2年、60歳までなど選択可能
保険料は、年齢・性別・給付金額・支払い条件によって変わります。30代で月額15万円の給付金を設定した場合、保険料は月2,000円~4,000円程度が目安とされています。
ここで注意したいのは、「就業不能状態」の定義が保険会社によって異なる点です。
- 入院のみを対象とするもの
- 在宅療養も含むもの
- 精神疾患を含むもの・含まないもの
- 支払い開始までの待機期間が異なるもの
同じ「就業不能保険」という名前でも、実際の保障内容には違いがあります。
フリーランスが考えておきたいリスクの種類

働けなくなるリスクには、いくつかのパターンが考えられます。
短期的な休業(数日~数週間)
風邪や軽いケガなど、比較的短期間で復帰できるケース。この場合、就業不能保険の支払い対象にはなりません(多くの保険では60日以上の就業不能が条件)。
短期的な休業に対しては、貯蓄で対応するか、あるいは仕事の進め方を工夫することで影響を最小限にすることが一つの方法です。
中期的な休業(数ヶ月)
手術や治療で数ヶ月単位で働けなくなるケース。この期間は、就業不能保険の支払い対象になる可能性があります。
ただし、支払い開始までに60日または180日の待機期間がある保険が多いため、その間の収入減には自己資金で対応する必要があります。
長期的な休業(半年以上)
重い病気や障害で、長期間にわたって働けなくなるケース。このリスクに対しては、就業不能保険が機能する可能性が考えられます。
一方で、障害の程度によっては、障害年金の受給対象になることもあります。障害年金は、障害等級1級または2級に該当すれば、国民年金から支給されます(令和6年度の金額で、1級は年額約102万円、2級は約82万円)。
就業不能保険は「すべての働けない状態」をカバーするわけではありません。どの程度の期間、どんな状態をカバーしたいのか、自分なりに整理しておくことが大切です。
保険以外の選択肢も含めて考える
就業不能のリスクに備える方法は、保険だけではありません。
貯蓄で備える
毎月の保険料を支払う代わりに、その分を貯蓄に回すという考え方もあります。例えば、月3,000円の保険料を10年間支払うと、総額36万円になります。
使い道が限定されないこと。働けなくなったとき以外にも使えますし、何もなければそのまま資産として残ります。
一方で、貯蓄が十分に貯まる前に働けなくなった場合、対応できる金額は限られます。保険は加入した時点から保障が始まるため、この点では保険の方が早期のリスクに対応できるという考え方もあります。
仕事の仕組みを変える
フリーランスの働き方を工夫することで、リスクを減らすことも可能です。
- 複数の取引先を持つ(一つの取引先に依存しない)
- ストック型の収入源を作る(継続的に収入が入る仕組み)
- 業務の一部を外注できる体制を作る
- パートナーと協力できる関係を築く
こうした工夫は、働けなくなったときだけでなく、日常的なリスク分散にもつながります。
家族の状況を確認する
配偶者に安定した収入がある場合、自分が働けなくなっても、生活費の一部はカバーされる可能性があります。この場合、必要な保障額は少なくなる傾向があります。
逆に、家族を養っている立場であれば、自分が働けなくなったときの影響は大きくなる傾向があります。
就業不能保険を検討するときに確認しておきたいこと

もし就業不能保険について具体的に考えてみようと思ったとき、以下のような点を確認しておくと、判断しやすくなる可能性があります。
- 現在の貯蓄で、何ヶ月分の生活費をカバーできるか
- 毎月の固定費(家賃、ローン、光熱費など)はいくらか
- 配偶者の収入や、家族からのサポートはあるか
- 障害年金の受給条件を満たす可能性はあるか
- 保険料として毎月いくらまでなら払い続けられるか
これらを整理することで、「自分にとって保険が必要なのか」「必要だとしたらどの程度の保障が必要なのか」が見えてくる可能性があります。
また、就業不能保険を検討する場合、以下の点も確認しておくとよいでしょう。
- 支払い対象となる「就業不能状態」の定義
- 支払い開始までの待機期間
- 精神疾患が対象に含まれるか
- 保険料の払込免除の条件
- 更新型か終身型か
保険会社によって内容が異なるため、複数の商品を比較する際の視点として、自分の状況に合ったものを探すことが検討の価値があります。
決めなくてもいい、という選択肢
ここまで読んで、「やっぱりどうすればいいのかわからない」と感じている方もいるかもしれません。
それは、おかしなことではありません。
就業不能保険は、「入らなければいけないもの」でも「入ってはいけないもの」でもありません。自分の状況や考え方によって、必要性は変わります。
今すぐ決める必要はありません。
まずは自分の状況を整理してみる。貯蓄がどれくらいあるのか、毎月の固定費はいくらなのか、家族の状況はどうなのか。そうした情報を並べてみるだけでも、判断するための材料が揃ってきます。
その上で、「今は保険に入らない」という選択も、一つの答えです。貯蓄を優先する、仕事の仕組みを変える、そうした方法で備えることも可能です。
あるいは、「とりあえず最低限の保障だけ入っておく」という選択肢もあります。月10万円の給付金、支払い期間1年など、保