がん保険を検討していて、通院保障のオプションを見たとき、「これって本当に必要なんだろうか」と立ち止まった方もいるかもしれません。
入院保障だけでは足りないのか、通院保障をつけると保険料はどれくらい上がるのか、そもそも通院でどれくらいお金がかかるのか――。調べれば調べるほど情報が出てきて、結局どう考えればいいのか分からなくなってしまう。
「つけておいたほうが安心」という声もあれば、「保険料がもったいない」という意見もある。どちらが正しいのか、自分の場合はどうなのか、判断する材料がほしいと思いながら、結論を出せずにいる。
そんな状態で保険の資料を眺めている方に向けて、この記事では通院保障について整理していきます。
がん治療における「通院」の実態

がん治療といえば、以前は長期入院のイメージが強かったかもしれません。しかし現在の医療現場では、状況が大きく変わっているとされています。
厚生労働省の患者調査によると、がんの平均入院日数は19.9日(2017年)となっており、20年前と比べて約40%短縮されています。一方で、通院による治療は増加傾向にあるとされています。
通院治療が増えている背景
医療技術の進歩により、以前は入院が必要だった治療が、通院でできるようになってきたと考えられています。
- 抗がん剤治療の副作用管理技術の向上
- 分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など、新しいタイプの薬剤の登場
- 外来化学療法室の整備
- 在宅医療の体制充実
こうした変化により、仕事や日常生活を続けながら治療を受けられるケースが増えているとされています。
実際の通院頻度と期間
がんの種類や治療方針によって異なりますが、抗がん剤治療を受ける場合、一般的には以下のような通院パターンがあるとされています。
- 初期の集中治療期:週1回〜2回の通院を数ヶ月継続
- 維持療法期:2週間〜4週間に1回の通院を半年〜数年継続
- 経過観察期:1ヶ月〜3ヶ月に1回の定期検査
治療が長期化すると、通院回数は数十回に及ぶこともあるとされています。
通院でかかる費用の内訳
通院治療にかかる費用は、治療内容によって大きく異なります。
薬剤費と治療費
抗がん剤治療の費用は、使用する薬剤によって幅があるとされています。
標準的な化学療法の場合、1回の通院で数万円から、高額な分子標的薬を使う場合は数十万円かかることもあります。ただし、高額療養費制度により、実際の自己負担額は所得に応じて上限が設定されています。
一般的な所得の方(年収約370万円〜770万円)の場合、月の自己負担上限額は約8万円とされています。
高額療養費制度でカバーされない費用
医療費の多くは高額療養費制度でカバーされますが、以下のような費用は対象外です。
- 差額ベッド代(個室を希望した場合など)
- 食事代の一部
- 先進医療の技術料
- 保険適用外の治療費
- 通院のための交通費
- ウィッグなどの補助具
通院回数が多くなると、これらの積み重ねも無視できない金額になる可能性があります。
収入減少という見えないコスト
通院治療を続けながら働く場合、以下のような状況が生じることもあります。
- 治療日に有給休暇を使う
- 体調に合わせて勤務時間を調整する
- 副作用で仕事のパフォーマンスが一時的に落ちる
- 場合によっては休職や退職を選択する
医療費だけでなく、収入面への影響も考慮する視点があります。
通院保障の仕組みと特徴

がん保険の通院保障は、保険会社や商品によって設計が異なります。
給付の条件
多くの通院保障には、以下のような条件が設定されています。
- 入院前後の通院に限定されているか:入院を伴わない通院のみの治療は対象外になる商品もあります
- 通院の対象期間:退院後120日間、180日間など期限が設定されている
- 給付日数の上限:年間30日、60日、通算1,000日などの制限
- 待機期間:契約後90日間など、保障が始まるまでの期間
給付金額の設定
通院給付金は、1日あたり5,000円、10,000円といった定額で設定されることが一般的です。
入院給付金日額と同額に設定する商品もあれば、入院給付金の半額や70%といった設定の商品もあります。
保険料への影響
通院保障を付加すると、保険料は上がる傾向にあります。
年齢や保険会社によって異なりますが、一般的には月々数百円から2,000円程度の上乗せになることが多いようです。30年間継続すると、累計で数十万円の差になる可能性があります。
通院保障について考える視点
通院保障が必要かどうかは、一律に答えが出るものではありません。いくつかの視点から、自分の状況を整理してみることができます。
現在の貯蓄状況
治療が長期化した場合、自己負担分を貯蓄でカバーできるかという視点があります。
高額療養費制度により月の負担上限は決まっていますが、それでも年間で100万円近い自己負担が発生する可能性があります。通院交通費や収入減少も含めて考えると、さらに余裕が必要になるかもしれません。
一方で、ある程度の貯蓄があり、治療費を捻出できる見込みがあれば、保険料を払い続けるより貯蓄を優先するという考え方もあります。
現在の収入と雇用形態
会社員の場合、傷病手当金という制度があり、病気で働けなくなった場合に給与の約67%が最長1年6ヶ月支給されます。
自営業やフリーランスの方には、この制度がありません。収入が途絶えるリスクをどう考えるかは、雇用形態によって異なる可能性があります。
家族構成と生活費
扶養家族がいる場合、自分が治療を受けている間も生活費は継続的に必要です。教育費や住宅ローンなどの固定費がある場合、治療費と生活費の両立をどう考えるかという視点もあります。
既に加入している保障
医療保険やがん保険に既に加入している場合、その内容を確認してみることも一つの方法です。
- 入院給付金の日額と日数
- 診断給付金(一時金)の有無と金額
- 先進医療特約の有無
- 他の通院保障の有無
既存の保障内容によっては、追加で通院保障をつける必要性が変わってくるかもしれません。
保険料と保障のバランス
月々の保険料負担が家計に与える影響も、考慮する要素の一つです。
保障を手厚くすれば安心感は増しますが、保険料負担が大きくなると、日常の生活費や貯蓄に回せるお金が減ります。保険ですべてをカバーしようとするのか、一定のリスクは自己負担として受け入れるのか、そのバランスをどう考えるかは、人それぞれです。
判断を保留してもいい

ここまで、通院保障について様々な角度から見てきました。
情報を整理しても、すぐに結論が出ないこともあります。「まだ決められない」「もう少し考えたい」という状態は、決しておかしなことではありません。
保険は一度加入すると長く続けることになります。納得しないまま契約するより、自分の状況や考えを整理する時間を持つことも、一つの選択です。
- がん治療は通院中心にシフトしており、治療期間が長期化することもあるとされている
- 通院でかかる費用は、医療費だけでなく交通費や収入減少も含めて考える視点がある
- 通院保障の内容は商品によって異なり、給付条件や上限を確認することが大切
- 必要性は、貯蓄状況、収入形態、家族構成、既存の保障など、個々の状況によって変わる
- ご自身のペースで判断していい
通院保障をつけるかどうかは、ご自身の状況や考え方によって答えが変わってきます。この記事が、判断のための材料の一つになれば幸いです。
最終判断はご自身の状況に合わせて行い、不安がある場合