新車を買うとき、自動車保険の見積もりを何社か取ってみたものの、結局どうすればいいのか分からなくなっていませんか。
「年間8万円」と言われても高いのか安いのか判断がつかない。「車両保険は付けるべき」と言われても、本当に必要なのか確信が持てない。ネットで調べれば調べるほど、「相場」という言葉の意味が曖昧に感じられてくる。
新車だから慎重になりたい。でも何を基準に考えればいいのか、その「基準」そのものが見えない。
この状態は、決して珍しいものではありません。
「相場」という言葉が持つ曖昧さ

自動車保険の相場を調べると、さまざまな数字が出てきます。
「新車なら年間7万円から12万円」「30代で5万円前後」「軽自動車は4万円台」。こうした数字は、確かに「誰かにとっての相場」ではあります。
ただ、それがあなたにとっての相場かどうかは別の話です。
保険料は、年齢・等級・車種・補償内容・免許の色・使用目的によって大きく変わります。同じ新車でも、20代の6等級と40代の20等級では、保険料が2倍以上違うこともあります。
つまり「相場」は、あくまで「ある条件下での平均的な金額」であって、あなたの状況に当てはまるとは限らない。
この前提が共有されないまま「相場より高い」「相場より安い」と判断しようとすると、混乱するのは当然のことです。
新車だから車両保険を付けるべき、という言葉の重さ
新車を購入すると、ディーラーや保険会社から「車両保険は付けておいた方がいい」と勧められることが多くあります。
この言葉自体は間違っていません。新車であれば、修理費用や買い替え費用が高額になるため、車両保険があれば金銭的な負担を軽減できます。
ただ、車両保険を付けると保険料は大きく上がります。年間5万円だった保険料が、車両保険を付けることで9万円になることもあります。
「付けた方がいい」と言われても、その4万円の差額を毎年払い続けることが、自分にとって妥当なのかどうか。この判断は、誰かに代わってもらえるものではありません。
30代・15等級・普通車の場合
- 車両保険なし:年間約45,000円
- 車両保険あり(一般型):年間約90,000円
※保険会社や補償内容により異なります
「新車だから」という理由だけで車両保険を付けるかどうかを決めようとすると、判断の軸が見えなくなります。
見積もりを比較する際の視点しても決められない理由

複数の保険会社から見積もりを取ると、金額も補償内容も微妙に違います。
A社は年間8万円で弁護士費用特約が付いている。B社は7万5千円だけど、ロードサービスの内容が少し違う。C社は8万2千円だけど、対応が丁寧だと口コミに書いてあった。
どれも「間違い」ではありません。どれを選んでも、基本的な補償は受けられます。
それでも決められないのは、「何を優先すればいいのか」という基準が、自分の中で定まっていないからです。
- とにかく保険料を抑えたいのか
- 補償内容を充実させたいのか
- 事故対応の評判を重視したいのか
- ロードサービスの範囲を広くしたいのか
この優先順位は、誰かに教えてもらえるものではありません。
「今決めなければ」というプレッシャー
新車の納車日が近づいてくると、保険を決めなければならないという焦りが出てきます。
ディーラーからは「納車までに保険証券が必要です」と言われる。家族からは「早く決めた方がいい」と言われる。自分でも「いつまでも迷っているわけにはいかない」と思う。
ただ、この「決めなければ」という気持ちが強くなると、判断の軸がさらに見えなくなります。
保険は、納車の前日でも加入できます。極端に言えば、納車当日の朝でも間に合います。物理的な締め切りは、思っているほど迫っていません。
「早く決めなければ」と焦ることで、自分が本当に必要としている補償が何なのか、考える余裕を失ってしまうことがあります。
誰かの「正解」は、あなたの正解ではない

インターネットで検索すると、「新車ならこの補償は必須」「この特約は不要」といった情報がたくさん出てきます。
それらの情報は、誰かにとっての経験や考え方であって、あなたの状況にそのまま当てはまるとは限りません。
毎日50km運転する人と、週末だけ10km運転する人では、事故のリスクも必要な補償も違います。貯蓄が十分にある人と、急な出費が難しい人では、車両保険の必要性も変わります。
誰かの「これで十分だった」という話は、参考にはなります。でも、それがあなたにとっても十分かどうかは、別の話です。
情報を整理するだけでも、少し楽になる
今、あなたの頭の中には、たくさんの情報が混ざっています。
保険料の金額、補償内容、特約の種類、保険会社の評判、家族の意見、ディーラーの勧め、ネットで見た記事。それらがすべて同じ重さで存在していて、どこから考えればいいのか分からなくなっている。
この状態で「決めよう」とすると、余計に混乱します。
まず必要なのは、情報を整理することです。何が確定していて、何が未定なのか。何を優先したいのか、何は後回しでもいいのか。
それを一度、外に出してみる。紙に書いてもいいし、誰かに話してもいい。頭の中だけで考えようとすると、同じところをぐるぐる回ってしまいます。
「とりあえず入る」という選択肢もある

新車の保険を決めるとき、完璧な選択をしようとする必要はありません。
自動車保険は、1年ごとに見直すことができます。今回選んだ補償内容が、ずっと続くわけではありません。
「とりあえず今は車両保険を付けておいて、来年外すかどうか考える」でもいい。「今回はこの保険会社にして、次回は別の会社を試してみる」でもいい。
保険は、一度決めたら変えられないものではありません。
むしろ、完璧を目指して決められないまま時間が過ぎるよりも、「今の自分にとって、これでいいと思える選択」をして、必要があれば後で調整する方が、結果的に納得できることもあります。
相場を気にしすぎなくてもいい
「自分の保険料が相場より高いのではないか」と気になるとき、その「相場」が何を指しているのかを一度確認してみてください。
年齢は同じか。等級は同じか。車種は同じか。補償内容は同じか。
これらの条件が違えば、保険料が違うのは当然のことです。
相場より高いかどうかではなく、「この補償内容で、この金額を払うことに、自分が納得できるかどうか」。判断の軸は、そこにあります。
他の人がいくら払っているかは、参考にはなります。でも、それを基準にして自分を責める必要はありません。
- 「相場」は条件によって大きく変わるため、一概に比較できない
- 車両保険の有無で保険料は2倍近く変わることもある
- 見積もりを比較する際に決められないのは、優先順位が定まっていないから
- 保険は1年ごとに見直せるため、完璧を目指さなくてもいい
- 他人の「正解」ではなく、自分の状況に合った選択を考える
決める基準も、あなた自身が決めていい

新車の保険を決めることは、ご自身のペースで進めて構いません。
納車までに間に合えばいい。それまでの間に、自分の中で優先順位を整理できればいい。
誰かに「これがいい」と言われても、自分がそう思えなければ、それは「いい」選択ではありません。逆に、誰かに「それは高い」と言われても、自分が納得していれば、それは「高すぎる」わけではありません。
保険は、誰かのためではなく、あなた自身のために入るものです。
だから、決めるタイミングも、選ぶ基準も、あなた自身が決めていい。
情報を整理して、ご自身のペースで考えてください。