保険に入ろうとしたときや、見直しを考えたときに「特約」という言葉が出てきて、「これって付けるべきなのかな」と立ち止まることがあるかもしれません。
保険の説明を聞いていると、「この特約も考え方の一例です」「こちらの特約も付けておくと安心という考え方もあります」と次々に提案されて、どこまで必要なのか、どこから不要なのか、判断がつきにくくなることがあります。
特約を付けると保険料が上がるのは分かるけれど、付けないと何かあったときに後悔するのではないか。でも全部付けると月々の負担が大きくなりすぎる。そんなふうに、どう考えればいいのか迷っている状態かもしれません。
この記事では、保険の特約とは何なのか、基本契約とどう違うのか、そして自分にとって必要かどうかをどう考えればいいのかについて、整理していきます。
特約とは何か──基本契約に追加する保障

保険の「特約」とは、基本となる契約(主契約)に追加で付ける保障のことです。
たとえば生命保険であれば、「死亡保険」が主契約で、それに「がん特約」「入院特約」「三大疾病特約」などを追加するイメージです。主契約だけでも保険として成立しますが、特約を付けることで保障の範囲を広げることができます。
主契約と特約の関係
主契約と特約の関係は、よく「家と家具」に例えられます。
- 主契約:家そのもの(これがないと成立しない)
- 特約:家具や設備(必要に応じて追加する)
主契約を解約すると、それに付いている特約もすべて消えます。逆に、特約だけを後から外すことは可能な場合が多いです。
- 主契約に付随する形でしか存在できない
- 主契約を解約すると特約も消える
- 特約だけを単独で契約することはできない
- 後から追加できる場合と、契約時のみの場合がある
特約の種類──どんなものがあるのか
保険の特約には、さまざまな種類があります。すべてを網羅する必要はありませんが、よく見かけるものを知っておくと、提案されたときに「これは何の保障だろう」と迷わずに済みます。
医療関連の特約
- 入院特約:入院したときに日額でお金が出る
- 手術特約:手術を受けたときに給付金が出る
- 先進医療特約:公的保険が効かない先進医療を受けたときの費用を保障
- 通院特約:退院後の通院に対して給付金が出る
病気・ケガに関する特約
- がん特約:がんと診断されたときに一時金や治療費が出る
- 三大疾病特約:がん・心疾患・脳血管疾患で所定の状態になったときに保障
- 七大生活習慣病特約:特定の生活習慣病で入院が長引いたときの保障
死亡・障害に関する特約
- 災害割増特約:事故で亡くなったときに死亡保険金が上乗せされる
- 障害特約:事故で障害が残ったときに給付金が出る
- リビングニーズ特約:余命が短いと判断されたときに死亡保険金の一部を生前に受け取れる
保険料に関する特約
- 保険料払込免除特約:所定の状態(がん・三大疾病など)になったとき、以後の保険料が免除される
- 保険料据置特約:保険料の支払いを一定期間据え置ける
保険会社によって名称や内容が異なるため、同じような名前でも保障内容が違うことがあります。
特約を付けるかどうか──考える視点

特約を付けるかどうかを考えるとき、「付けた方が安心」という気持ちと「保険料が上がる」という現実の間で揺れることがあります。
ここで大切なのは、「何が起きたときに、自分で対応できないか」を考えることという視点もあります。
視点1:その保障がないと、経済的に対応できないか
たとえば、先進医療は治療費が数百万円かかることがあります。これを貯蓄から出すのが難しい場合、先進医療特約は検討の価値があるかもしれません。
一方で、入院日額5,000円の保障があっても、貯蓄である程度カバーできるなら、特約を付けずに保険料を抑える選択もあります。
視点2:その保障は主契約でカバーされていないか
特約を検討する前に、主契約で何が保障されているかを確認することが大切という考え方があります。
たとえば、医療保険に入っている場合、入院・手術の保障はすでに主契約に含まれていることが多いです。その上で「がんに特化した保障が欲しい」と思ったときに、がん特約を検討する、という順序です。
視点3:保障が重複していないか
複数の保険に入っている場合、特約の内容が重複していることがあります。
たとえば、すでに医療保険で入院保障があるのに、生命保険にも入院特約を付けると、保障が重なります。それが必要な場合もありますが、「気づかずに二重で払っていた」ということもあります。
- 保障内容が重複していないか確認する
- 保険料の総額が家計に無理のない範囲か考える
- 「とりあえず全部付ける」ではなく、優先順位をつけるという考え方もあります
特約の付け方・外し方──契約後の変更について
特約は、契約時に付けるだけでなく、後から追加したり外したりできる場合があります。
後から特約を追加する場合
保険会社や特約の種類によっては、契約後に特約を追加できることがあります。ただし、追加時に改めて健康状態の告知が必要になることが多く、その時点で健康状態に問題があると追加できない場合もあります。
また、追加時の年齢で保険料が再計算されるため、契約時より保険料が上がることがあります。
特約を外す場合
特約を外すことは、多くの場合可能です。保険会社に連絡して手続きをすれば、その特約の保障が終了し、保険料も下がります。
ただし、一度外した特約を再び付けたいと思っても、その時点での健康状態や年齢によっては再加入できないことがあります。
- 結婚・出産など家族構成が変わったとき
- 住宅ローンを組んだとき(団信でカバーされる部分が増える)
- 子どもが独立したとき
- 貯蓄が増えて自己負担できる範囲が広がったとき
「安心のために全部付ける」と「必要最小限にする」のバランス

特約について考えるとき、「万が一のために全部付けておきたい」という気持ちと、「保険料を抑えたい」という気持ちの両方があるのは、ごく自然なことです。
どちらが正しいということはありません。
保険料を払い続けられる範囲で、自分が「これだけは備えておきたい」と思う部分に絞ることが、現実的な考え方の一つです。
保険料の目安
一般的に、保険料は手取り収入の5〜10%程度が目安とされることがあります。ただしこれは絶対的な基準ではなく、家族構成や貯蓄状況、住宅ローンの有無などによって変わります。
特約を付けるかどうかを考えるとき、「この特約を付けたら月々いくら増えるのか」「年間でいくらになるのか」を具体的に確認することで、判断しやすくなることがあります。
「付けない」という選択も一つの判断
特約を付けないことは、「保障を諦めた」ということではありません。
自分で対応できる範囲を広げておく、貯蓄を増やす、公的制度(高額療養費制度など)を活用するといった方法でリスクに備えることもできます。
保険はあくまで「自分では対応しきれない部分を補うもの」という位置づけで考えると、特約の必要性も見えやすくなるという考え方があります。
まとめ
- 特約とは、主契約に追加で付ける保障のこと
- 主契約がなければ特約だけで契約することはできない
- 特約を付けるかどうかは、「自分で対応できない部分」を基準に考えるという視点があります
- 保障が重複していないか、保険料が無理のない範囲かを確認する
- 後から追加・削除できる場合もあるが、健康状態によっては難しいこともある
特約について考えることは、「どこまで備えるべきか」という問いに向き合うことでもあります。
すぐに答えを出す必要はありません。今の自分の状況、家族の状況、これからのライフプランを考えながら、ご自身のペースで整理していくことができます。
「これで完璧」という保険の形はありません。状況が変われば、必要な保障も変わります。今の時点で自分が納得できる形を選ぶこと、そしてそれを定期的に見直していくことが、保険との付き合い方の一つです。