住宅ローンを組むとき、不動産会社や銀行から勧められる保険。「団信があれば十分では?」「追加の保険は必要ないのでは?」と感じながらも、断っていいのか、それとも何か見落としているのか、はっきりしないまま時間だけが過ぎていく。
そんな状態のまま、契約日が近づいてくる。
「保険は不要」という意見もあれば、「万が一を考えると必要」という意見もあります。どちらも一定の根拠があるからこそ、自分の場合はどうなのか、判断がつかない。
この記事では、その「判断がつかない状態」をそのまま置いておきながら、住宅ローンと保険の関係を少しずつ整理していきます。
住宅ローンに付随する保険、何が「不要」と言われているのか

住宅ローンを組む際に関わってくる保険には、いくつかの種類があります。
まず、ほとんどの金融機関で加入が必須となる団体信用生命保険(団信)。これは、契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、残りの住宅ローンが保険で完済される仕組みです。金利に含まれていることが多く、別途保険料を支払う必要がないケースがほとんどです。
一方で、「不要かもしれない」と迷うのは、団信とは別に勧められる保険です。
- 火災保険・地震保険(建物・家財)
- 就業不能保険
- がん保険・三大疾病保障特約
- 収入保障保険
これらは任意加入のものが多く、「団信があるなら不要では?」と感じる理由になっています。
「不要」と言われる背景にある考え方
「住宅ローンの保険は不要」という意見の多くは、団信だけで十分なケースがあるという考え方に立っています。
たとえば、独身で扶養家族がいない、貯蓄が一定額ある、すでに生命保険に加入しているといった状況では、追加の保障を重ねる必要性が低いと判断される場合があります。
実際、住宅ローン契約者の約30%は、団信以外の保険に加入していないというデータもあります。つまり、団信だけで住宅ローンを組んでいる人は少なくないという傾向が見られます。
ただし、これは「全員にとって不要」という意味ではありません。
「不要かどうか」は状況によって変わる

保険が不要かどうかは、契約者の状況によって大きく変わる可能性があります。
たとえば以下のようなケースでは、団信だけでは不足する可能性があるという考え方もあります。
家族構成によるケース
配偶者や子どもがいる場合、住宅ローンが完済されても、生活費や教育費は残ります。団信は住宅ローンをゼロにする保険であって、生活費を補填する保険ではないためです。
就業不能リスクがあるケース
団信の多くは「死亡・高度障害」を対象としており、病気やケガで長期間働けなくなった場合には適用されないケースがあります。住宅ローンは残ったまま、収入が途絶えるリスクが考えられます。
火災・地震リスクがあるケース
火災保険は住宅ローン契約時にほぼ必須ですが、地震保険は任意です。ただし、地震で建物が損壊しても、住宅ローンは残り続けるため、地域によっては検討の価値があります。
団信は「死亡・高度障害」に限定されるため、働けなくなった場合や建物が損壊した場合には適用されないケースがあります。このギャップをどう埋めるかが、保険を検討する際のポイントになります。
保険を「不要」と判断する前に確認しておきたいこと
保険が不要かどうかを判断する前に、以下の点を確認しておくと、後から「やっぱり必要だったかも」と感じる可能性を減らせるという考え方もあります。
団信の保障内容
団信には、死亡・高度障害のみを対象とする基本型と、がんや三大疾病も対象とする特約付き型があります。特約を付けると金利が0.1〜0.3%上乗せされることが多く、その分、保障範囲が広がります。
現在加入している保険の内容
すでに生命保険や医療保険に加入している場合、住宅ローン用の保険と保障が重複している可能性があります。重複部分を整理すれば、新たに保険を追加する必要がないケースもあります。
貯蓄と収入のバランス
万が一のときに使える貯蓄がどれくらいあるか、収入が途絶えた場合に何ヶ月分の生活費をカバーできるかを確認しておくと、保険の必要性を検討する際の参考になります。
保険の見直しや追加加入は、住宅ローン契約後でも可能な場合があります。ただし、健康状態によっては加入できない場合もあるため、タイミングには注意が必要です。
「不要」と判断することと、「何もしない」ことは違う

保険が不要だと判断すること自体は、一つの選択肢です。
ただ、「不要かどうかわからないまま何もしない」のと、「確認した上で不要と判断する」のは、結果が同じでも意味が異なります。
後者の場合、もし何かあったときに「確認した上での判断だった」と思えるかどうかが、精神的な負担を左右します。
逆に、「よくわからないまま何もしなかった」という状態だと、何かあったときに「あのとき確認しておけば」という後悔が残る可能性があります。
だからといって、今すぐすべてを決める必要はありません。
確認することと、決断することは別です。
自分のペースで整理していい
住宅ローンの契約は、人生の中でも大きな決断のひとつです。
その過程で「保険が必要かどうか」という判断まで同時に迫られると、すべてを一度に処理しなければいけないように感じてしまいます。
でも、保険の判断は、住宅ローンの契約と同時でなくてもかまいません。
まずは自分の状況を整理して、何が足りていて、何が不足しているのかを確認するだけでも、判断の材料は増えていきます。
- 「住宅ローンの保険は不要」という意見は、団信だけで十分なケースを指している場合があります
- 団信でカバーされないリスク(就業不能、火災・地震など)は別途検討が必要な場合があります
- 保険が不要かどうかは、家族構成・貯蓄・既存の保険内容によって変わる可能性があります
- 確認することと決断することは別。ご自身のペースで整理していい
保険が不要かどうかは、誰かが決めることではなく、あなた自身が納得できるかどうかです。
焦る必要はありません。ご自身のペースでご検討ください。