がんと診断されたら、まず必要になるのは治療費だけじゃない

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の保険商品の推奨や、個別の状況に対する判断を示すものではありません。保険の選択や加入については、ご自身の状況に合わせてご検討ください。
がん保険のパンフレットを見ていると、「診断給付金」という言葉が目に入ります。でも、これが具体的に何を意味するのか、本当に必要なのか、よくわからないまま読み進めている方も少なくないかもしれません。
「がんになったら治療費がかかる」ということは何となくわかる。だけど、診断されただけでお金が出るって、それは一体何のため?他の給付金と何が違うの?そもそも自分に必要なのかどうか、判断する材料が足りない――そんなふうに感じることは、特別なことではありません。
保険の説明を読んでいると、「備えておくべき」という雰囲気は伝わってくるけれど、自分の生活や状況に当てはめて考えるのは難しいものです。この記事では、診断給付金がどういうものなのか、どんな場面で役立つ可能性があるのかを、できるだけ具体的に整理していきます。
診断給付金とは――がんと診断されたときに受け取れるお金
診断給付金は、がんと診断された時点で受け取れる一時金です。多くの場合、50万円、100万円、200万円といった単位で設定されています。
この給付金の特徴は、使い道が決まっていないということです。入院給付金や手術給付金は、入院日数や手術の種類によって金額が決まり、医療費に充てることを前提としています。一方、診断給付金は「がんと診断された」という事実に対して支払われるため、何に使うかは契約者の自由です。
診断給付金が支払われるタイミング
一般的には、医師によって「がん」と診断され、診断書などの必要書類を提出した後、保険会社の審査を経て支払われます。診断確定から実際の入金までは、通常1〜2週間程度かかることが多いようです。
保険商品によっては、診断給付金が複数回支払われるタイプもあります。たとえば、初回のがん診断時に加えて、再発や転移が確認された場合にも給付金が出る設計になっているものもあります。ただし、2回目以降の支払いには「前回の診断から2年以上経過している」などの条件が設けられていることが一般的です。
診断給付金は何に使われているのか

診断給付金の使い道は人によってさまざまですが、実際にがんと診断された方々がどのように使っているのかを知ることで、自分にとっての必要性を考える材料になるかもしれません。
治療費以外の出費に充てる
がんの治療が始まると、医療費だけでなく、さまざまな出費が発生することがあります。
たとえば、通院のための交通費。抗がん剤治療や放射線治療は、数週間から数カ月にわたって定期的に通う必要が出てくる場合があります。自宅から病院が遠い場合、電車代やガソリン代、駐車場代などが積み重なっていくこともあります。
また、治療中の体調によっては、家事や育児のサポートが必要になることもあります。家族だけでは対応しきれず、家事代行サービスやベビーシッターを利用するケースも見られます。
食事の内容を変える必要が出てくることもあります。体力を維持するために栄養価の高い食材を選んだり、食欲が落ちているときでも食べやすいものを用意したり。こうした日常的な出費は、医療費とは別に家計に影響を与える可能性があります。
診断給付金は治療費以外の多くの出費をカバーできる場合があるため、生活を維持するための資金源として考える方もいます。
収入減少への備え
がんの治療中は、仕事を休んだり、勤務時間を減らしたりする必要が出てくることがあります。会社員であれば傷病手当金などの制度を利用できる場合もありますが、それでも収入は通常の60〜70%程度に減少することが一般的です。
自営業やフリーランスの方の場合、働けない期間はそのまま収入がゼロになる可能性もあります。治療が長期化すれば、その分だけ収入の減少期間も延びていくことがあります。
診断給付金は、こうした収入減少を補う資金として使われることもあります。生活費や住宅ローン、子どもの教育費など、治療中も変わらず必要な支出をカバーするために、まとまった金額を手元に置いておけることを重視する方もいます。
治療の選択肢を広げる
がん治療には、公的医療保険が適用される標準治療と、適用外の自由診療があります。自由診療を選ぶかどうかは個人の判断ですが、選択肢を持つこと自体に意味を感じる方もいます。
たとえば、先進医療と呼ばれる治療法の中には、技術料が全額自己負担となるものがあります。重粒子線治療や陽子線治療などは、300万円前後の費用がかかることもあります。
また、セカンドオピニオンを受けるための費用や、がん専門病院への転院費用なども、診断給付金でカバーできる範囲です。治療方針を決めるまでの間に、複数の医師の意見を聞きたいと考える方は少なくありません。
診断給付金があれば、治療の選択肢を広げることができ、自分にとって納得のいく治療法を検討する余裕が生まれると考える方もいます。
診断給付金の金額設定をどう考えるか
診断給付金の金額は、契約時に自分で選ぶことができます。ただ、「いくらに設定すればいいのか」という判断は簡単ではありません。
貯蓄とのバランス
もし、手元に100万円以上の貯蓄があり、急な出費にも対応できる状態であれば、診断給付金の必要性は相対的に低くなるかもしれません。逆に、貯蓄に余裕がなく、まとまった出費が発生すると生活が厳しくなる場合は、診断給付金が大きな支えになる可能性があります。
ただし、貯蓄があっても、それを崩したくないという考え方もあります。教育資金や老後資金として確保している貯蓄を、病気の治療費に充てることに抵抗を感じる方もいるでしょう。
家族構成や働き方による違い
家族がいる場合、自分が働けなくなったときの影響は大きくなることがあります。配偶者や子どもの生活費、教育費などを考えると、ある程度まとまった金額の診断給付金を設定しておく意味があると考える方もいます。
一方、単身で生活している場合は、自分の生活費だけを考えればよいため、必要な金額は変わってくるかもしれません。また、会社員か自営業かによっても、収入減少のリスクや公的保障の内容が異なるため、それに応じた設計を検討する余地があります。
保険料との兼ね合い
診断給付金の金額を大きくすれば、当然ながら保険料も高くなります。たとえば、診断給付金を100万円から200万円に増やすと、月々の保険料が1,000〜2,000円程度上がることがあります。
この差額を10年、20年と払い続けたときの総額を考えると、自分にとって適切な金額設定がどこにあるのか、見えてくることもあります。
診断給付金がない、または少額の場合に何が起こるか

診断給付金を設定していない、または少額にしている場合、がんと診断されたときに手元にまとまったお金がない状態になります。
その場合、治療費や生活費は貯蓄や収入から賄うことになります。貯蓄が十分にあれば問題ないかもしれませんが、予想以上に治療が長引いたり、働けない期間が延びたりすると、家計が圧迫される可能性はあります。
また、治療の選択肢を考える際に、費用面での制約が大きくなることもあります。公的医療保険の範囲内で治療を受けることは十分可能ですが、もし自由診療や先進医療を検討したいと思ったときに、資金面で諦めざるを得ないこともあるかもしれません。
ただし、これは「診断給付金がないと困る」という意味ではありません。貯蓄や家族のサポート、公的な制度などで対応できる方もたくさんいます。診断給付金はあくまで選択肢のひとつです。
診断給付金を選ぶときに確認しておきたいこと
がん保険を検討する際、診断給付金の有無や金額だけでなく、いくつか確認しておきたいポイントがあります。
支払い条件の違い
診断給付金には、「上皮内新生物」が含まれるかどうかという違いがあります。上皮内新生物は、がんの初期段階で、転移のリスクが低い状態を指します。
保険商品によっては、上皮内新生物の場合は診断給付金が減額されたり、支払われなかったりすることがあります。この違いは保険料にも影響するため、どちらを選ぶかはご自身の考え方次第です。
複数回支払いの条件
診断給付金が複数回支払われるタイプの場合、2回目以降の支払い条件を確認しておくことが大切です。
「前回の診断から2年以上経過していること」「再発または転移が確認されたこと」など、保険会社や商品によって条件が異なります。また、支払い回数に上限があるかどうかも確認しておくとよいでしょう。
免責期間の有無
がん保険には、契約から90日間(または3カ月)の免責期間が設けられていることが一般的です。この期間中にがんと診断されても、診断給付金は支払われません。
免責期間中にがんと診断されても給付金は支払われないため、契約前からがんに罹患していた可能性を排除するための仕組みです。保険を検討する際には、この免責期間についても理解しておく必要があります。
まとめ

- 診断給付金は、がんと診断された時点で受け取れる一時金で、使い道は自由
- 治療費以外の出費や収入減少への備え、治療の選択肢を広げる資金として使われることがある
- 金額設定は、貯蓄状況、家族構成、働き方、保険料とのバランスで考える視点がある
- 支払い条件や複数回支払いの有無など、商品によって内容が異なる
- 免責期間や上皮内新生物の扱いなど、契約前に確認すべき重要なポイントがある
診断給付金が自分にとって必要かどうかは、今の生活状況や将来の見通し、お金に対する考え方によって変わってきます。「これという考え方もあります」という答えがあるわけではありません。
保険について考えるタイミングや方法は、人それぞれです。ご自身のペースで考えを整理していくことができますし、一度決めたことを後から見直すこともできます。
あなたが自分のペースで考えを進めるきっかけになれば幸いです。気になることがあれば、またいつでもこのページに戻ってきてください。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況に対する判断を示すものではありません。保険の選択や加入については、ご自身の状況やライフプランに合わせて、慎重にご検討ください。