がん保険の通院保障について、判断に迷っている方へ

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の保険商品の推奨や、個別の加入判断を行うものではありません。保険の選択は、ご自身の状況や価値観に基づいて行っていただくものです。
がん保険を検討していると、「通院保障」という項目が出てきて、これが必要なのかどうか判断に困っている。入院保障だけではダメなのか、通院保障をつけると保険料が上がるけど、それだけの価値があるのか。そもそも通院ってどれくらいするものなのか、実際のところがよくわかりません。
こうした疑問を抱えながら、保険の資料を見比べている方は少なくありません。「つけておいた方がいいのかな」と思いつつ、「でも本当に使うのかな」という迷いが消えない。その状態で決めきれずにいるのは、何もおかしなことではありません。
この記事では、がん治療における通院の実態と、通院保障がどのような場面で役立つ可能性があるのかを整理していきます。
がん治療における「通院」の実態
入院日数は年々短くなっている
がん治療における入院期間は、医療技術の進歩とともに大きく変化しています。厚生労働省の患者調査によると、がんの平均入院日数は19.6日(2017年)となっており、20年前と比べて約半分になっています。
これは、手術の低侵襲化や抗がん剤治療の外来シフトが進んだことが主な理由です。以前は入院して行っていた治療の多くが、現在では通院で対応できるようになっています。
通院治療が中心になるケース
特に以下のような治療では、通院が中心となることが一般的です。
- 抗がん剤治療(化学療法)
- 分子標的薬による治療
- ホルモン療法
- 放射線治療
- 術後の経過観察
たとえば乳がんの場合、手術後にホルモン療法や抗がん剤治療を数年にわたって続けるケースがあります。この期間、定期的に通院して薬を処方してもらったり、点滴治療を受けたりすることになります。
国立がん研究センターのデータでは、がん患者の約60%が外来で化学療法を受けているという報告もあります。
通院保障がカバーする範囲

保障の対象となる通院
多くのがん保険における通院保障は、以下のような条件で給付される場合があります。
入院前後の通院
退院後の通院だけでなく、入院前の検査や治療のための通院も対象になることが一般的です。給付期間は「退院日の翌日から180日以内」「入院日の前60日以内」といった形で設定されています。
1日あたりの給付額
通院1日につき5,000円から10,000円程度の給付が一般的です。通院日数の上限は年間30日から60日程度に設定されていることが多いです。
保障されないケース
一方で、以下のようなケースは保障の対象外となることがあります。
- 入院を伴わない通院のみの治療(商品によって異なる)
- 健康診断や人間ドックでの通院
- 薬の処方のみで治療行為がない通院
特に「入院を伴わない通院」については、保険商品によって扱いが大きく異なります。近年は入院なしでも通院治療を保障する商品も増えていますが、従来型の商品では対象外となることもあります。
通院にかかる実際の費用
通院1回あたりの自己負担
がん治療での通院にかかる費用は、治療内容によって大きく異なります。
抗がん剤治療の場合
外来での点滴治療では、1回あたり数千円から数万円の自己負担が発生することがあります。これは使用する薬剤の種類や治療のサイクルによって変わります。
放射線治療の場合
1回あたりの自己負担は2,000円から3,000円程度ですが、週に数回、数週間にわたって通う必要がある場合もあり、累積すると負担が大きくなることがあります。
診察・検査のみの場合
経過観察のための診察や血液検査であれば、1回数千円程度の負担で済むことが多いです。
高額療養費制度との関係
医療費が高額になった場合、高額療養費制度によって自己負担額に上限が設けられます。一般的な所得の方であれば、月の自己負担上限は約80,000円程度です。
ただし、この制度は医療費のみが対象で、以下のような費用は別途かかります。
- 通院のための交通費
- 差額ベッド代(入院時)
- 食事代
- 保険適用外の治療費
通院保障をつけるかどうかの考え方

保険料の増加はどれくらいか
通院保障を付加すると、月々の保険料は500円から1,500円程度上がることが一般的です。年間では6,000円から18,000円程度の負担増となります。
この金額を「貯蓄できる余裕がある金額」と見るか、「保険でカバーしておきたい金額」と見るかは、個々の家計状況や考え方によって変わってきます。
治療スタイルの変化を考慮する
現在のがん治療は通院中心にシフトしており、この傾向は今後も続くと見られています。特に以下のような状況にある方は、通院保障について検討する材料として考えることもあります。
- 貯蓄に余裕があまりなく、通院費用の積み重ねが家計を圧迫する可能性がある
- 仕事を続けながら治療を受ける可能性が高く、通院の頻度が多くなりそう
- 家族の通院サポートが必要になった場合の費用も考えておきたい
既存の保障との重複確認
すでに加入している医療保険に通院保障が含まれていないか確認することも、判断材料のひとつになります。医療保険の特約として通院保障がついている場合、がん保険で追加する必要性は低くなるかもしれません。
ただし、医療保険の通院保障は「すべての病気・ケガ」を対象としている一方で、給付日数や給付額ががん保険より少ないこともあります。保障内容を比較する際の視点としてみることで、自分にとって必要な保障が見えてくることもあります。
通院保障以外の選択肢
診断給付金の活用
がん保険には「がんと診断されたときに一時金が支払われる」診断給付金という保障があります。この一時金は使い道が自由で、通院費用にも充てることができます。
診断給付金が100万円や200万円といったまとまった金額であれば、通院費用だけでなく、収入減少への備えや生活費の補填にも使えます。通院保障をつけるかわりに、診断給付金を手厚くするという選択肢もあります。
貯蓄との組み合わせ
通院費用をすべて保険でカバーしようとすると、保険料が高くなりすぎることもあります。「ある程度は貯蓄で対応し、長期化した場合に保険でカバーする」という考え方もあります。
たとえば、半年分の通院費用は貯蓄で賄えるように準備しておき、それ以上長引いた場合に備えて保険をかけるという方法もあります。
まとめ

- がん治療は入院から通院へとシフトしており、通院期間が長くなるケースも増えている
- 通院保障は入院前後の通院を対象とするものが多く、商品によって保障範囲が異なる
- 通院1回あたりの自己負担は治療内容によって大きく変わり、高額療養費制度でカバーされない費用もある
- 通院保障をつけるかどうかは、保険料の増加額と貯蓄状況、既存の保障内容を踏まえて考える材料になる
通院保障が必要かどうかは、あなたの家計状況や治療に対する考え方、すでに持っている保障内容によって変わってきます。「つけておけば安心」という面もあれば、「その分の保険料を貯蓄に回す」という選択もあります。
保険について考えるタイミングや方法は、人それぞれです。情報を整理しながら、ご自身のペースで考えていくことができます。
もし迷いが消えないようであれば、それは慎重に考えている証拠でもあります。焦る必要はありません。あなたが納得できる形で判断を進めていく際の参考に、この記事がなれば幸いです。気になることがあれば、またいつでもこのページに戻ってきてください。
この記事で扱った内容は一般的な情報であり、個々の状況によって適切な判断は異なります。最終的な保険の選択は、ご自身の状況に合わせて行っていただくものです。