所得補償保険と就業不能保険の違いとは?迷ったときの判断ポイント

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況により最適な判断は異なります。必要に応じて公的情報や専門家へご確認ください。

この記事で分かること
  • 働けなくなったときの保険を検討する際の疑問
  • 所得補償保険と就業不能保険の基本的な違い
  • 支払条件と保障内容の違い

働けなくなったときの保険を検討する際の疑問

働けなくなったときの保険を検討する際の疑問

病気やケガで働けなくなったときの収入減少に備える保険を調べていると、「所得補償保険」「就業不能保険」という似た名前の保険が出てきて、どちらを選べばよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。

どちらも働けなくなったときの収入をカバーする保険ですが、保障の内容や仕組みには違いがあります。この記事では、所得補償保険と就業不能保険の基本的な違いと、どのような観点で比較検討すればよいかを整理します。

ただし、保険商品は年齢・職業・家族構成により適した選択肢が変わります。ここでは一般的な考え方をお伝えしますが、個別の状況により判断は異なることをご理解ください。

所得補償保険と就業不能保険の基本的な違い

それぞれの基本的な仕組み

まず、それぞれの保険の基本的な仕組みを整理しましょう。

所得補償保険は、主に損害保険会社が販売する商品で、病気やケガで働けなくなった場合に、従前の所得に応じた保険金を受け取れる保険です。一般的に1年更新の定期保険として販売されることが多く、保険料は毎年見直されます。

就業不能保険は、主に生命保険会社が販売する商品で、病気やケガで長期間働けない状態が続いた場合に、毎月一定額の給付金を受け取れる保険です。長期間の保障を前提とした商品設計で、保険期間も10年20年、または60歳65歳までといった長期間で設定されることが一般的です。

主な違いを比較する際の視点表で整理

項目 所得補償保険 就業不能保険
販売会社 主に損害保険会社 主に生命保険会社
保険期間 1年更新が中心 長期間(10年〜終身)
支払条件 医師の診断による就業不能 各社の定める就業不能状態
免責期間 7日間が一般的 60日〜180日が中心
保険料 年齢とともに上昇 契約時の年齢で固定
税制上の扱い 損害保険料控除 生命保険料控除

※上記は一般的な傾向です。商品により詳細は異なります

支払条件と保障内容の違い

支払条件と保障内容の違い

就業不能状態の定義

両者で大きく異なるのが、保険金が支払われる「就業不能状態」の定義です。

所得補償保険では、**医師の診断**に基づいて就業不能と判断されれば保険金の支払い対象となることが一般的です。比較的客観的な基準で判断されるため、支払い要件は明確といえます。

一方、就業不能保険では、各保険会社が独自に定める「就業不能状態」に該当する必要があります。例えば「入院中、または医師の指示により自宅療養中」「国民年金法に定める障害等級2級以上に該当」といった具体的な条件が設定されています。各社で定義が異なるため、約款の確認が重要です。

免責期間の設定

免責期間(保険金が支払われない期間)にも大きな違いがあります。

所得補償保険は**7日間**の免責期間が一般的で、比較的短期間の就業不能にも対応できます。

就業不能保険は**60日90日180日**といった長期の免責期間が設定されています。これは短期間の就業不能による頻繁な請求を防ぎ、保険料を抑えるためです。免責期間が長いほど保険料は安くなりますが、その期間中は他の方法で収入をカバーする必要があります。

会社員の場合、傷病手当金により**標準報酬月額の30分の1の3分の2**(おおよそ給与の3分の2程度)が**通算1年6ヶ月間**支給されます。2022年1月の改正により、復職期間は支給日数にカウントされなくなったため、途中で復職しても残りの期間を受給できるようになりました。このため、就業不能保険の60〜90日の免責期間でも実用上問題ないケースが多いといえます。

精神疾患の扱い

精神疾患による就業不能については、多くの商品で対象外または支払期間に制限(例:通算2年まで)があります。一方で、近年は精神疾患も同条件で保障する商品も登場しています。精神疾患のリスクを重視する場合は、加入時に約款・特約の保障範囲を確認しましょう。

保険料と保障期間の考え方

保険料の仕組みと水準

保険料の仕組みにも違いがあります。

所得補償保険は1年更新のため、更新のたびに年齢に応じて保険料が上昇します。30歳男性で月額10万円保障の場合、年間保険料は**2万〜4万円程度**が目安ですが、40歳50歳と年齢が上がるにつれて保険料も上昇していきます。

就業不能保険は長期契約のため、契約時の年齢で保険料が固定されます。30歳男性、月額10万円保障、65歳満了の場合、月額保険料は**3,000〜5,000円程度**が目安です。ただし、これらはあくまで参考値で、実際の保険料は喫煙の有無・健康状態・職業・保険会社の商品設計により異なります。

保障期間の設定

保障期間の考え方も大きく異なります。

所得補償保険は通常1年更新で、最長5年程度まで更新できる商品が一般的です。短期〜中期の就業不能リスクに対応する設計といえます。

就業不能保険は**歳満了**(60歳満了、65歳満了など)で設定されることが多く、長期間の保障を前提としています。歳満了とは、被保険者が一定の年齢に達したら保障が終了する仕組みです(例:30歳で加入、65歳満了 → 65歳で保障終了)。復職後に再び働けなくなった場合も、免責期間を満たせば再度給付金を受け取れます。

税制上の取り扱いと受取方法

税制上の取り扱いと受取方法

生命保険料控除の適用

税制上の取り扱いにも違いがあります[1]

所得補償保険は損害保険料控除の対象となり、年間保険料に応じて所得控除を受けられます[1]

就業不能保険は生命保険料控除の対象となり、介護医療保険料控除の枠(年間最大4万円の所得控除)を利用できます[1]

保険金の受取方法

保険金の受取方法にも特徴があります。

所得補償保険は、就業不能期間中に毎月保険金を受け取る形が一般的です。保険金額は従前の所得に応じて設定され、実際の収入減少分を補填する考え方です。

就業不能保険は、契約時に定めた一定額を毎月受け取ります。従前の所得に関係なく、契約で定めた金額が支払われるため、収入減少分の補填というよりは、生活費の確保という性格が強いといえます。

前提・注意
  • 必要性は家計・家族状況・価値観で変わります。
  • 制度や税制は変更される可能性があります。
  • 具体的な判断は公的情報や契約条件の確認が前提です。

どちらを選ぶかの判断ポイント

保障期間と年齢による考え方

**短期〜中期の保障**を重視する場合は所得補償保険、**長期間の安定した保障**を重視する場合は就業不能保険という考え方があります。

20代〜30代前半の方で、まだ家族構成やライフプランが変化する可能性が高い場合は、所得補償保険で当面の保障を確保し、ライフプランが固まってから就業不能保険を検討するという段階的なアプローチも考えられます。

一方、30代後半以降で家族構成が安定している場合は、長期間の保障を前提とした就業不能保険の方が、保険料の上昇リスクを避けられるメリットがあります。

職業と収入の安定性

**会社員**の場合は傷病手当金により一定期間の収入保障があるため、就業不能保険の免責期間(60日180日)でも実用上問題ないケースが多いといえます。

**自営業者**の場合は傷病手当金がないため、短期間の就業不能にも対応できる所得補償保険の7日間免責期間は魅力的です。ただし、長期間働けなくなるリスクを考えると、就業不能保険との組み合わせも検討の価値があります。

組み合わせでの活用

所得補償保険と就業不能保険は、多くの場合しもどちらか一方を選ぶ必要はありません。

例えば、**短期間の就業不能**には所得補償保険で対応し、**長期間の就業不能**には就業不能保険で対応するという組み合わせも考えられます。この場合、所得補償保険は最長5年程度、就業不能保険は免責期間を長めに設定することで、保険料を抑えながら幅広いリスクをカバーできます。

ただし、両方に加入する場合は保険料負担が重くなるため、家計とのバランスを考慮する必要があります。

まとめ

まとめ

所得補償保険と就業不能保険は、どちらも働けなくなったときの収入減少に備える保険ですが、保障期間・免責期間・保険料の仕組みに大きな違いがあります。

所得補償保険は短期間の免責期間で比較的短期〜中期の就業不能に対応する一方、就業不能保険は長期間の保障を前提とした設計です。どちらが適しているかは、年齢・職業・家族構成・ライフプランにより変わります。

状況によって考え方は変わりますし、組み合わせでの活用という選択肢もあります。より具体的な比較検討の方法は、別の記事で詳しく解説しています。