- 終身保険を解約するかどうか
- 終身保険の解約に関する基本知識
- 解約タイミングを判断するポイント
終身保険を解約するかどうかで悩んでいませんか?

終身保険に加入しているものの、「保険料が家計の負担になっている」「もっと良い運用方法があるのでは?」「本当に必要なのか分からない」といった理由で、解約を検討される方は少なくありません。
一方で、「せっかく続けてきたのに解約するのはもったいない」「解約するタイミングを間違えて損をしたくない」という不安もあるでしょう。
この記事では、終身保険の解約を検討する際に知っておきたい基本的な仕組みと、判断するための考え方を整理します。ただし、最適なタイミングは個人の状況により大きく異なるため、一般的な考え方の入口として参考にしてください。
終身保険の解約に関する基本知識
解約返戻金の仕組み
終身保険を解約する際に受け取れるお金を「解約返戻金」と呼びます。この金額は契約からの経過年数によって変動し、一般的には以下のような特徴があります。
- 契約初期:解約控除(手数料)により、払込保険料を大きく下回る
- 10年前後:解約控除がなくなり、返戻率が改善
- 払込完了後:返戻率が100%を超えることが多い
- 長期継続:時間経過とともに返戻金が増加
解約控除とは、契約初期の一定期間(多くの場合10年程度)に解約した場合に差し引かれる手数料のことです。保険会社の契約獲得コストや初期費用を回収するための仕組みで、早期解約時の返戻金が少なくなる主な要因です。
解約以外の選択肢
終身保険では、完全に解約する以外にも以下の選択肢があります。
| 選択肢 | 内容 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 払済保険 | 保険料支払いを停止し、解約返戻金を原資として小額の終身保険を継続 | 保険料負担がなくなる一定の保障は維持 | 保障額が大幅に減額される |
| 延長保険 | 解約返戻金を原資として、同額の定期保険に変更 | 保障額は維持される保険料負担がなくなる | 保障期間が限定される解約返戻金はなくなる |
| 契約者貸付 | 解約返戻金の一定範囲内で資金を借りる | 契約は継続まとまった資金を確保 | 利息が発生返済義務あり |
※各制度の詳細な条件は保険会社や商品により異なります
税務上の取扱い
解約返戻金を受け取る際の税務上の扱いも理解しておく必要があります。
所得税の課税対象となるのは、解約返戻金から払込保険料総額を差し引いた「利益部分」です[1]。この利益は一時所得として扱われ、50万円の特別控除があります。
また、解約により生命保険料控除の対象からも外れるため、翌年の所得税・住民税に影響する可能性があります[2]。
解約タイミングを判断するポイント

経済的な観点からの判断
返戻率を確認する
まず現在の解約返戻金額と、今後の推移を確認しましょう。一般的に以下の時期が検討ポイントとなります。
- 解約控除がなくなる時期(多くの場合10年前後)
- 払込完了時期(返戻率が100%を超える時期)
- 返戻率がピークとなる時期(商品により異なる)
他の運用方法との比較する際の視点
終身保険の予定利率と、他の金融商品の利回りを比較する際の視点することも重要です。ただし、以下の点に注意が必要と感じる人もいます。
- 終身保険には生命保険料控除のメリットがある
- 他の運用には元本割れのリスクがある
- 保障機能がなくなることの影響を考慮する
保障ニーズからの判断
現在の保障の必要性
終身保険の主な目的を改めて確認してみましょう。
- 遺族保障:家族の生活費や教育費をカバーする目的
- 相続対策:相続税の非課税枠活用や納税資金準備
- 老後資金:将来の生活費や医療費への備え
これらの目的が現在も重要であれば、継続を検討する価値があります。一方で、「子どもが独立して遺族保障の必要性が下がった」「他の方法で老後資金を準備できた」という場合は、解約も選択肢となります。
他の保険との重複
会社の団体保険や他の生命保険との重複がないかも確認しましょう。保障が重複している場合は、より効率的な保障に見直すことで、家計負担を軽減できる可能性があります。
ライフステージからの判断
人生の各段階で保険ニーズは変化します。
| ライフステージ | 保障ニーズの変化 | 検討ポイント |
|---|---|---|
| 独身時代 | 遺族保障の必要性は限定的 | 老後資金としての活用を重視するか |
| 結婚・出産期 | 遺族保障のニーズが高まる | 保障額の妥当性を確認 |
| 子育て期 | 教育費などで家計が圧迫されがち | 保険料負担と保障のバランス |
| 子どもの独立期 | 遺族保障の必要性が減少 | 老後資金への転換を検討 |
| 老後期 | 医療費・介護費への備えが重要 | 流動性の確保を重視 |
家計状況からの判断
保険料負担の妥当性
一般的に、保険料は手取り収入の5〜10%程度が目安とされています。終身保険の保険料が家計を圧迫している場合は、以下を検討してみましょう。
- 払済保険への変更で保険料負担をなくす
- 解約して、より保険料の安い定期保険に切り替える
- 保障額を見直して、保険料を抑制する
緊急時の資金ニーズ
まとまった資金が必要になった場合、契約者貸付制度を活用することも可能です。ただし、利息負担が発生するため、長期間の借入には注意が必要と感じる人もいます。
- 必要性は家計・家族状況・価値観で変わります。
- 制度や税制は変更される可能性があります。
- 具体的な判断は公的情報や契約条件の確認が前提です。
解約手続きの流れと注意点
実際に解約を決断した場合の手続きについても理解しておきましょう。
必要な書類と手続き
一般的に以下の書類が必要になります。
- 解約請求書(保険会社指定の書式)
- 保険証券
- 本人確認書類
- 印鑑証明書(金額により必要)
手続きから解約返戻金の受取まで、通常1〜2週間程度を要します。
解約時の注意点
解約のタイミング
- 月の途中で解約しても、その月の保険料は満額かかる場合が多い
- 年単位で保険料を支払っている場合、未経過分は返還される
保障の空白期間
- 新しい保険に加入する場合は、解約前に契約を完了させる
- 健康状態によっては新規加入が困難な場合もある
まとめ

終身保険の解約タイミングを判断する際は、以下のポイントを総合的に検討することが重要です。
- 経済的観点:解約返戻金の返戻率と他の運用方法との比較する際の視点
- 保障ニーズ:現在の保障の必要性と他の保険との重複確認
- ライフステージ:人生の段階に応じた保険ニーズの変化
- 家計状況:保険料負担の妥当性と緊急時の資金ニーズ
また、完全な解約以外にも、払済保険や延長保険への変更、契約者貸付の活用など、複数の選択肢があることも理解しておきましょう。
状況によって考え方は変わります。特に、税務上の影響や相続対策としての活用については、個別の状況により判断が大きく分かれる部分でもあります。
より具体的な比較検討の方法は、別の記事で詳しく解説しています。個別の状況により判断は異なるため、重要な決断の際は専門家への相談も検討してください。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況により最適な判断は異なります。