自動車保険を使うと等級が下がって保険料が上がることは知っていても、「どんな事故で何等級下がるのか」「保険料はどの程度上がるのか」といった具体的な条件について、詳しく把握している方は多くないかもしれません。
この記事では、自動車保険の等級が下がる条件と、等級ダウンが保険料に与える影響について整理します。事故の種類による等級の下がり方の違いや、等級ダウンを避ける方法についても解説していきます。
- 自動車保険の等級制度の基本
- 等級が下がる事故の種類
- 等級ダウンによる保険料への影響
自動車保険の等級制度の基本

等級制度の仕組み
自動車保険の等級制度(ノンフリート等級制度)は、1等級から20等級までの20段階で構成されています。等級が高いほど保険料の割引率が大きくなり、等級が低いほど割増率が高くなります。
新規契約時は通常6等級からスタートし、1年間無事故で過ごすと翌年の更新時に1等級上がります。一方、保険を使う事故があった場合は、事故の種類に応じて等級が下がります。
事故有係数と無事故係数
2013年の制度改正により、同じ等級でも「無事故係数」と「事故有係数」という2つの係数が設けられました。保険を使った事故があった場合、一定期間は事故有係数が適用され、同じ等級でも保険料が高くなります。
事故有係数適用期間は、3等級ダウン事故の場合は3年間、1等級ダウン事故の場合は1年間です。この期間中は、無事故の場合と比べて保険料が高く設定されています。
等級が下がる事故の種類
自動車保険の事故は、等級への影響によって3つに分類されます。
3等級ダウン事故
最も等級への影響が大きいのが3等級ダウン事故です。対人・対物賠償や車両保険を使う一般的な事故が該当します。
主な3等級ダウン事故の例:
- 他人への賠償が必要な事故(対人・対物賠償保険の使用)
- 自分の車の修理で車両保険を使用(衝突、接触、盗難など)
- 当て逃げされた場合の車両保険使用
- 自損事故での車両保険使用
3等級ダウン事故を起こすと、翌年の更新時に等級が3つ下がり、さらに3年間は事故有係数が適用されます。
1等級ダウン事故
比較的軽微とされる事故で、等級が1つ下がります。
主な1等級ダウン事故の例:
- 車両保険での火災・爆発
- 盗難(車両本体の盗難)
- 台風・洪水・高潮などの自然災害
- 落書き・いたずら
- 飛び石によるフロントガラスの損傷
1等級ダウン事故の場合、翌年の等級は1つ下がり、1年間事故有係数が適用されます。
ノーカウント事故
保険を使っても等級に影響しない事故をノーカウント事故と呼びます。
主なノーカウント事故の例:
- 人身傷害保険のみの使用
- 搭乗者傷害保険のみの使用
- 弁護士費用特約のみの使用
- ロードサービスのみの利用
これらの保険を単独で使用した場合、翌年の等級は通常通り1等級上がります。
| 事故の種類 | 等級への影響 | 事故有係数適用期間 |
|---|---|---|
| 3等級ダウン事故 | 3等級下がる | 3年間 |
| 1等級ダウン事故 | 1等級下がる | 1年間 |
| ノーカウント事故 | 影響なし(1等級上がる) | 適用なし |
等級ダウンによる保険料への影響

等級による保険料の割増・割引率
等級ダウンは保険料に直接影響します。特に事故有係数が適用される期間中は、保険料の負担が大きくなります。
等級別の保険料係数(一例):
- 10等級:無事故係数45%割引、事故有係数19%割引
- 9等級:無事故係数43%割引、事故有係数22%割引
- 8等級:無事故係数40%割引、事故有係数25%割引
- 7等級:無事故係数30%割引、事故有係数14%割引
同じ10等級でも、無事故係数と事故有係数では26%もの差があります。
具体的な保険料増加の例
10等級で年間保険料10万円の契約者が3等級ダウン事故を起こした場合を考えてみます。
事故前: 10等級(無事故係数45%割引)→ 年間保険料10万円
事故後: 7等級(事故有係数14%割引)→ 年間保険料約13万円
この場合、年間で約3万円の保険料増加となり、事故有係数適用期間の3年間で約9万円の追加負担となります。
等級ダウンを避ける方法
保険を使わない選択
軽微な事故の場合、保険を使わずに自己負担で修理する選択肢があります。修理費用と等級ダウンによる保険料増加を比較検討することが重要です。
判断の目安:
- 修理費用が10万円以下の場合:保険を使わない方が得になることが多い
- 修理費用が30万円以上の場合:保険を使った方が得になることが多い
- 10〜30万円の場合:個別の等級や保険料によって判断が分かれる
等級プロテクト特約
一部の保険会社では、初回の事故に限り等級ダウンを防ぐ「等級プロテクト特約」を提供しています。
等級プロテクト特約の特徴:
- 初回の3等級ダウン事故のみが対象
- 1等級ダウン事故やノーカウント事故は元々影響が小さいため対象外
- 特約保険料が必要(年間数千円程度)
- 2回目以降の事故では通常通り等級ダウンする
ただし、特約の適用条件や制限事項は保険会社により異なるため、契約前に詳細を確認する必要があります。
等級の回復と継承について

等級の回復
下がった等級は、無事故で契約を継続することで徐々に回復します。1年間無事故であれば1等級上がり、事故有係数適用期間も1年短縮されます。
等級回復の例(10等級から7等級に下がった場合):
- 1年後:8等級(事故有係数、残り適用期間2年)
- 2年後:9等級(事故有係数、残り適用期間1年)
- 3年後:10等級(事故有係数、残り適用期間0年)
- 4年後:11等級(無事故係数)
等級の継承
等級は一定の条件下で家族間で継承することができます。
等級継承の条件:
- 配偶者への継承
- 同居の親族への継承
- 別居の未婚の子への継承
また、契約を一時的に中断する場合は中断証明書を発行してもらうことで、最大10年間等級を保持できます。
- 必要性は家計・家族状況・価値観で変わります。
- 制度や税制は変更される可能性があります。
- 具体的な判断は公的情報や契約条件の確認が前提です。
まとめ
自動車保険の等級が下がる条件は事故の種類によって決まり、3等級ダウン事故、1等級ダウン事故、ノーカウント事故の3つに分類されます。等級ダウンは保険料に大きな影響を与え、特に事故有係数が適用される期間中は保険料負担が重くなります。
軽微な事故では保険を使わない選択肢も検討でき、等級プロテクト特約による保護も可能です。ただし、状況によって考え方は変わります。
ご自身の等級や保険料、運転状況に当てはめた具体的な判断については、より詳しい記事をご覧ください。