住宅ローンを完済すると、それまで加入していた団体信用生命保険(団信)の保障が終了します。「これまで団信があったから生命保険は最低限にしていたけれど、完済後はどうすればいいの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
この記事では、住宅ローン完済後に保険を見直すべき理由と、どのような観点で検討すればよいかを整理します。年齢や家族構成によって考え方は変わりますが、基本的な判断軸を理解しておくことで、ご自身の状況に合った選択ができるようになります。
- 住宅ローン完済後に保険見直しが必要な理由
- 完済後の保険で検討すべき保障の種類
- 年代別の保険見直しの考え方
住宅ローン完済後に保険見直しが必要な理由

- 団体信用生命保険の保障終了
- 住宅ローン完済時期と保険見直しのタイミング
- 子どもの独立・教育費負担の軽減
- 退職・年金生活への準備
- 健康面での不安増加
当てはまるほど、必要性が高くなる可能性があります。
団体信用生命保険の保障終了
住宅ローンに付帯する団体信用生命保険は、ローン完済と同時に保障が終了します[1]。これまで団信が「万が一の際に住宅ローンが完済される」という大きな保障を提供していたため、その分を考慮して生命保険を抑えめにしていた場合、保障に空白が生まれる可能性があります。
団信の保障額は、残債と同額です。例えば、住宅ローン残高が2,000万円ある時期に万が一のことがあれば、2,000万円相当の保障を受けられていたことになります。この保障がなくなることの影響を、改めて整理する必要があります。
住宅ローン完済時期と保険見直しのタイミング
住宅ローンの完済時期は、借入時の年齢や返済期間によって異なります。一般的に、完済時の年齢は50代後半から60代前半が多く[1]、この時期は以下のようなライフステージの変化も重なります:
- 子どもの独立・教育費負担の軽減
- 退職・年金生活への準備
- 健康面での不安増加
- 相続対策への関心
これらの変化を踏まえ、保険の役割や必要性を再検討することが重要です。
完済後の保険で検討すべき保障の種類
死亡保障の見直し
団信終了後の死亡保障を考える際は、必要保障額の再計算が必要と感じる人もいます。一般的な必要保障額の算出方法は、「遺族の生活費 – 遺族年金などの収入」で計算されます[1]。
住宅ローン完済後の特徴として、以下の点が挙げられます:
| 項目 | 完済前 | 完済後 |
|---|---|---|
| 住居費負担 | ローン返済あり | 管理費・税金のみ |
| 団信保障 | 残債分の保障あり | 保障なし |
| 家族構成 | 子育て世代が多い | 子ども独立が多い |
| 必要保障額 | 比較的高額 | 減少傾向 |
※上記は一般的な傾向であり、個別の状況により異なります
住宅ローンが完済されることで、遺族の住居費負担が大幅に軽減されるため、必要な死亡保障額は従来より少なくなるケースが多いと考えられます。
医療・介護保障の重要性増加
住宅ローン完済時期の年代では、医療・介護リスクが高まります。公的保障として高額療養費制度や介護保険制度がありますが、自己負担部分や公的保障でカバーされない費用への備えを検討する必要があります。
医療保険の支払条件は商品により異なりますが、入院日数や手術要件などの基準があります[2]。年齢とともに保険料は上昇するため、健康なうちに長期保障を確保するという考え方もあります。
年代別の保険見直しの考え方

50代での完済の場合
50代で住宅ローンを完済した場合、まだ現役世代であることが多く、以下の観点で検討します:
- 死亡保障:子どもの教育費や配偶者の生活費を考慮し、一定の保障を維持
- 医療保障:健康リスクの増加に備え、医療保険の充実を検討
- 老後資金:退職までの期間を活用した資産形成の検討
60代での完済の場合
60代での完済では、退職・年金生活が近いため、考え方が変わります:
- 死亡保障:葬儀費用や配偶者の当面の生活費程度に縮小
- 医療・介護保障:リスクの高まりに対応した保障の確保
- 相続対策:生命保険の非課税枠活用などの検討
保険見直しの具体的な手順
現在の保障内容の整理
まず、現在加入している保険の保障内容を整理します:
- 生命保険の保障額と保険期間の確認
- 医療保険の保障内容と支払条件の確認
- その他の保険(がん保険、介護保険など)の確認
- 保険料負担の総額確認
必要保障額の再計算
住宅ローン完済後の状況に基づいて、必要な保障額を再計算します。遺族年金の受給見込額や、住居費負担の軽減分を考慮することが重要です。
保険料負担と保障のバランス検討
年代別の生命保険料水準を参考に[1]、保険料負担が家計に与える影響を検討します。退職後は収入減少が予想されるため、保険料負担の持続可能性も重要な判断要素です。
- 必要性は家計・家族状況・価値観で変わります。
- 制度や税制は変更される可能性があります。
- 具体的な判断は公的情報や契約条件の確認が前提です。
保険見直し時の注意点

健康状態と加入タイミング
年齢が上がると、健康状態の変化により新たな保険への加入が困難になる場合があります。住宅ローン完済を機に見直しを検討する場合は、健康状態が良好なうちに手続きを進めることが重要です。
税制上の取り扱い
生命保険料控除制度により、支払った保険料の一定額が所得控除の対象となります[3]。保険見直しの際は、控除額への影響も考慮に入れる必要があります。
既契約の解約タイミング
現在の保険を解約して新しい保険に加入する場合は、新契約の成立を確認してから既契約を解約することが重要です。解約と加入の順序を間違えると、保障の空白期間が生じるリスクがあります。
まとめ
住宅ローン完済後の保険見直しは、団信終了による保障の変化と、ライフステージの変化を踏まえて検討する必要があります。完済時期の年代によって、重視すべき保障の種類や保険料負担の考え方は変わります。
死亡保障は住居費負担の軽減により必要額が減少する傾向がある一方、医療・介護保障の重要性は高まります。また、健康状態の変化により新たな加入が困難になる前に、適切なタイミングで見直しを行うことが大切です。
ただし、家族構成や資産状況、健康状態など、個人の状況によって最適な選択は大きく変わります。一般論だけでは決めきれない部分もあります。
より具体的な保障額の算出方法や、年代別の詳しい検討ポイントについては、別の記事で詳しく解説しています。