- 地震保険と火災保険、どちらも必要なのか迷う方へ
- 基本的な仕組みと役割の違い
- 補償内容と保険金額の考え方
地震保険と火災保険、どちらも必要なのか迷う方へ

「地震保険と火災保険、どちらも入るべきなのか」「違いがよくわからない」という声をよく聞きます。特に、保険料の負担を考えると、本当に両方必要なのか悩ましいところです。
実は、地震保険と火災保険は**補完し合う関係**にあり、単純にどちらか一つを選ぶものではありません。それぞれが異なる災害リスクをカバーしているためです。
この記事では、地震保険と火災保険の基本的な違いから、ご自身の状況に合わせた判断のポイントまで整理します。両者の特徴を理解することで、より納得のいく選択ができるでしょう。
基本的な仕組みと役割の違い
火災保険の基本的な役割
火災保険は、住宅や家財を**火災・風災・水災など**から守る保険です。補償範囲は商品によって異なりますが、一般的には以下のような災害が対象となります。
- 火災・落雷・破裂・爆発
- 風災・雹災・雪災
- 水災(台風・豪雨による洪水など)
- 盗難・水濡れ・騒擾など
ただし、火災保険には重要な**免責事項**があります[1]。地震・噴火・津波による損害は、火災保険では補償されません。これは、これらの災害が甚大な被害をもたらす可能性があり、通常の保険の仕組みでは対応が困難なためです。
地震保険の基本的な役割
地震保険は、**地震・噴火・津波**による建物や家財の損害を補償する保険です。火災保険では補償されない災害リスクを専門的にカバーします。
地震保険には、他の保険にはない特徴があります[2]。政府と民間保険会社が共同で運営する制度であり、保険料率や補償内容は法令によって統一されています。そのため、どの保険会社で加入しても基本的な条件は同じです。
また、地震保険は**単独では加入できません**。多くの場合火災保険とセットで加入する必要があります。これは、地震保険が火災保険の特約として位置づけられているためです。
補償内容と保険金額の考え方

火災保険の保険金額設定
火災保険の保険金額は、**再調達価額**(同等の建物を新築するのに必要な金額)を基準に設定するのが一般的です。建物の構造や築年数、所在地などにより保険料が決まります。
補償範囲も選択できることが多く、基本的な火災・落雷から、より幅広いリスクをカバーするプランまで、ニーズに応じて調整可能です。保険料は補償範囲が広いほど高くなります。
地震保険の保険金額設定
地震保険の保険金額は、火災保険の**30%〜50%の範囲内**で設定します。建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限です。
保険金の支払いは、損害の程度に応じて以下の4段階で判定されます:
| 損害の程度 | 建物の支払割合 | 家財の支払割合 |
|---|---|---|
| 全損 | 保険金額の100% | 保険金額の100% |
| 大半損 | 保険金額の60% | 保険金額の60% |
| 小半損 | 保険金額の30% | 保険金額の30% |
| 一部損 | 保険金額の5% | 保険金額の5% |
この仕組みにより、完全に元通りに建て直すというよりも、**当面の生活再建資金**としての役割が強いといえます。
保険料負担と加入率の現状
保険料水準の違い
一般的に、**火災保険の方が地震保険より保険料は安い**傾向があります[1]。これは、火災などの災害と比べて、地震による被害は広範囲かつ甚大になりやすいためです。
地震保険の保険料は、建物の構造(木造・鉄骨造など)と所在地の地震リスクによって決まります。同じ保険金額でも、地域によって保険料に大きな差が生じることがあります。
地震保険の加入状況
全国の地震保険加入率は約35%程度となっています[3]。火災保険の加入率と比べると、まだ低い水準です。地域別では、東海・関東・東北地方で加入率が高く、九州・中国地方で相対的に低い傾向があります。
加入率が低い理由として、保険料負担の重さや、補償内容への理解不足などが挙げられます。
税制上の優遇措置

地震保険には、火災保険にはない**地震保険料控除**があります[4]。年間保険料の全額(最大5万円)が所得控除の対象となり、所得税・住民税の軽減効果があります。
この控除は、地震保険への加入を促進する政策的な意図があります。火災保険の保険料は控除の対象外ですので、税制面では地震保険の方が有利といえます。
どのような場合にどちらを重視するか
火災保険を重視したい場合
以下のような状況では、火災保険の充実を優先的に検討する余地があります:
- 台風や豪雨による水災リスクが高い地域にお住まいの場合
- 木造住宅で火災リスクへの備えを重視したい場合
- 盗難や設備の故障など、日常的なリスクもカバーしたい場合
- 保険料負担を抑えつつ、基本的なリスクには備えたい場合
火災保険は補償範囲を調整できるため、ご自身の住環境やリスクの優先度に応じてカスタマイズしやすいという特徴があります。
地震保険を重視したい場合
以下のような状況では、地震保険への加入をより積極的に検討する価値があります:
- 地震発生確率が高いとされる地域にお住まいの場合
- 住宅ローンが多く残っており、建物損失時の経済的影響が大きい場合
- 貯蓄が少なく、災害時の生活再建資金に不安がある場合
- 税制上の控除メリットを活用したい場合
地震保険は生活再建のための資金確保という側面が強いため、経済的な備えの一環として考える視点も重要です。
両方加入する場合の考え方

実際には、**火災保険と地震保険の両方に加入**している方も多くいます。これは、それぞれが異なるリスクをカバーしており、日本の自然災害の多様性を考えると合理的な選択ともいえます。
両方加入する場合のポイントは以下の通りです:
- 火災保険の補償範囲を調整して保険料負担をコントロールする
- 地震保険は火災保険金額の範囲内で必要な分だけ設定する
- 家計の保険料負担全体を考慮して保険金額を決める
- 定期的に補償内容を見直し、ライフステージに合わせて調整する
- 必要性は家計・家族状況・価値観で変わります。
- 制度や税制は変更される可能性があります。
- 具体的な判断は公的情報や契約条件の確認が前提です。
まとめ
地震保険と火災保険は、それぞれ異なる災害リスクをカバーする保険です。火災保険は日常的な住宅リスク全般を、地震保険は地震・噴火・津波という特殊なリスクを専門的に補償します。
どちらを重視するかは、お住まいの地域の災害リスク、住宅ローンの残高、貯蓄状況、保険料負担の許容範囲など、個人の状況により異なります。重要なのは、それぞれの特徴を理解した上で、ご自身のリスクと経済状況に合わせて判断することです。
**今すぐ結論を出す必要はありません**。まずは、お住まいの地域の災害リスクや、現在の家計状況を整理してみてください。その上で、焦らずに、ご自身のペースで検討してください。
**FPへの相談は情報収集であり、その場で決める必要はありません**。相談してみて、「違うな」と感じたら断って構いません。**複数の保険相談窓口に相談して比較する際の視点することで、より納得した選択ができます**。
次のステップとしては、地域の災害ハザードマップを確認する、現在の貯蓄と住宅ローン残高を整理する、保険の専門家に具体的な保険料を試算してもらう、などの方法があります。ご自身にとって最適な備え方を見つけていただければと思います。
※個別の状況により最適な選択は異なります。詳細な検討の際は、保険の専門家にご相談ください。