- 住宅ローン完済で生命保険の状況が変わる
- 団体信用生命保険の終了で何が変わるか
- 完済後の生命保険を考える判断ポイント
住宅ローン完済で生命保険の状況が変わる

住宅ローンを完済すると、それまで加入していた団体信用生命保険(団信)は自動的に終了します。これまで団信で死亡保障をカバーしていた方にとって、完済後の生命保険をどうするかは重要な判断ポイントです。
住宅ローン完済のタイミングで生命保険を見直す世帯は全体の約65%に上り、多くの方が保障の再検討を行っています。一方で、年齢が上がってからの新規加入や見直しには、保険料の上昇や健康告知の問題もあります。
この記事では、住宅ローン完済後の生命保険について考える際の基本知識と判断ポイントを整理します。ただし、必要な保障額や保険の選び方は、年齢・家族構成・資産状況により大きく異なることを前提としてお読みください。
団体信用生命保険の終了で何が変わるか
団信の保障内容と終了タイミング
団体信用生命保険は、住宅ローン契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、残債務を保険金で完済する仕組みです。保障額はローン残高と連動するため、返済が進むにつれて保障額は減少し、完済と同時に保障は終了します。
団信の特徴は以下の通りです:
- 保険料は金利に含まれるため、別途保険料負担は発生しない(一般的な団信の場合)
- 健康告知は住宅ローン契約時のみで、継続時の再告知は不要
- 保障額はローン残高に連動し、完済で自動終了
- 受益者は金融機関で、遺族が保険金を受け取ることはない
完済後の保障不足リスク
団信終了により、これまでカバーされていた死亡保障がなくなります。特に以下のケースでは保障不足のリスクが高くなります:
- 他に生命保険に加入していない場合
- 配偶者や子どもなど、経済的に依存する家族がいる場合
- 住宅ローン以外の債務(教育ローンなど)が残っている場合
- 葬儀費用や相続税の準備ができていない場合
一方で、完済時期は一般的に50代後半〜60代が多く、子どもの独立や退職により必要保障額が減少している場合もあります。
完済後の生命保険を考える判断ポイント

必要保障額の算出方法
完済後に生命保険が必要かどうかは、現在の必要保障額を算出することから始まります。一般的な計算方法は以下の通りです:
| 項目 | 内容 | 金額例 |
|---|---|---|
| 遺族の生活費 | 配偶者・子どもの月額生活費×必要年数 | 月20万円×20年=4,800万円 |
| 教育費 | 子どもの進学にかかる費用 | 大学まで1人500万円 |
| 住居費 | 賃貸の場合の家賃、持家の維持費 | 月10万円×20年=2,400万円 |
| その他費用 | 葬儀費用、債務返済など | 300万円 |
| 遺族年金 | 公的保障による収入(差し引く) | ▲2,000万円 |
| 貯蓄・資産 | 既存の貯蓄や資産(差し引く) | ▲1,500万円 |
※金額は一例です。実際の必要額は家族構成や生活水準により大きく異なります
年齢による加入条件の変化
住宅ローン完済時期の50〜60代で生命保険に新規加入する場合、以下の点に注意が必要と感じる人もいます:
- 健康告知の厳格化:過去の病歴や現在の健康状態により加入を断られる場合がある
- 保険料の上昇:年齢が上がるほど死亡リスクが高まるため、保険料は高くなる
- 加入限度額の制限:高齢になるほど加入できる保険金額に上限が設けられる
- 保険期間の制約:終身保険の新規加入年齢に上限がある商品が多い
保険種類別の特徴比較する際の視点
完済後に検討する生命保険の主な選択肢は以下の通りです:
| 保険種類 | 保障期間 | 保険料 | 適用場面 |
|---|---|---|---|
| 定期保険 | 一定期間(10年、20年など) | 比較的安い | 一定期間の保障を安く確保したい |
| 終身保険 | 一生涯 | 高い | 生涯にわたる保障と貯蓄性を重視 |
| 収入保障保険 | 年金形式で受取期間まで | 安い | 遺族の生活費を年金形式で準備 |
※保険料は同条件での一般的な傾向です。具体的な金額は年齢・保障額・保険会社により異なります
保険料の目安と負担感
完済後に新規加入する場合の保険料例(60歳男性、死亡保障1,000万円の場合):
- 定期保険(10年更新):月額8,000〜12,000円程度
- 終身保険:月額25,000〜35,000円程度
- 収入保障保険(月額10万円×10年):月額4,000〜6,000円程度
これらの金額はあくまで目安です。実際の保険料は、喫煙の有無・健康状態・職業・保険会社の商品設計により大きく異なります。特に非喫煙者割引がある商品では、喫煙者と非喫煙者で保険料に大きな差が生じます。
- 必要性は家計・家族状況・価値観で変わります。
- 制度や税制は変更される可能性があります。
- 具体的な判断は公的情報や契約条件の確認が前提です。
生命保険料控除による税制メリット
所得控除の仕組み
生命保険料を支払うことで、所得税と住民税の軽減効果があります[1]。控除額は以下の通りです:
| 年間払込保険料 | 所得税控除額 | 住民税控除額 |
|---|---|---|
| 20,000円以下 | 払込保険料の全額 | 払込保険料の全額 |
| 20,001円〜40,000円 | 払込保険料×1/2+10,000円 | 払込保険料×1/2+10,000円 |
| 40,001円〜80,000円 | 払込保険料×1/4+20,000円 | 払込保険料×1/4+17,500円 |
| 80,001円以上 | 40,000円(上限) | 28,000円(上限) |
※新契約(平成24年1月1日以後契約)の場合
実際の節税効果
年間保険料10万円を支払った場合の節税効果例:
- 所得税控除額:40,000円(上限)
- 住民税控除額:28,000円(上限)
- 所得税率20%の場合の節税額:40,000円×20%+28,000円×10%=10,800円
ただし、節税効果は控除額に税率をかけた金額であり、保険料そのものが戻ってくるわけではありません。保険選びの主要な判断材料とするのではなく、付随的なメリットとして考えることが重要です。
代替手段との比較検討

- 貯蓄での準備
- 既存資産の活用
- 緊急時資金の積み増し
- 老後資金の準備(iDeCo、NISA等の活用)
- 生命保険料の支払い
当てはまるほど、必要性が高くなる可能性があります。
貯蓄での準備
生命保険以外の選択肢として、貯蓄での準備があります。それぞれの特徴を比較する際の視点すると:
| 項目 | 生命保険 | 貯蓄 |
|---|---|---|
| 即効性 | 加入直後から保障開始 | 目標額まで時間が必要 |
| 確実性 | 保険金額が確定 | 貯蓄継続の意志に依存 |
| 流動性 | 解約時に元本割れリスク | いつでも引き出し可能 |
| コスト | 保険料(保障コスト含む) | 機会コスト |
既存資産の活用
住宅ローン完済により、これまでの返済額を他の用途に回せるようになります。月額返済額が10万円だった場合、年間120万円の資金を以下のように活用できます:
- 緊急時資金の積み増し
- 老後資金の準備(iDeCo、NISA等の活用)
- 生命保険料の支払い
- 介護や医療に備えた資金準備
どの選択肢を重視するかは、現在の資産状況や将来への不安の度合いにより判断が分かれます。
まとめ
住宅ローン完済後の生命保険については、以下のポイントで整理できます:
- 団信の終了により死亡保障が不足する可能性がある
- 必要保障額は家族構成や資産状況により大きく異なる
- 年齢が上がってからの新規加入は保険料上昇と健康告知のハードルがある
- 生命保険以外にも貯蓄や資産活用という選択肢がある
- 生命保険料控除による税制メリットも考慮要素の一つ
完済のタイミングは人生設計の大きな節目でもあり、状況によって考え方は変わります。ご自身の年齢・家族構成・資産状況を踏まえた具体的な検討方法については、より詳しい記事で解説しています。