- 必要性は家計・家族状況・価値観で変わります。
- 制度や税制は変更される可能性があります。
- 具体的な判断は公的情報や契約条件の確認が前提です。
住宅ローンの保険見直しで考えるべきポイントとは

住宅ローンを契約する際、多くの方が団体信用生命保険(団信)に加入しますが、既存の生命保険との重複や、保障の過不足について疑問を感じる方も少なくありません。また、住宅購入後のライフプランの変化に伴い、保険の見直しが必要になることもあります。
この記事では、住宅ローンに関連する保険の基本的な仕組みと、見直しを検討する際の判断ポイントを整理します。なお、最適な保険の組み合わせは、年齢や家族構成、収入状況により大きく異なることを前提としてお読みください。
- 団体信用生命保険の基本的な仕組み
- 住宅ローン契約時の保険見直しのポイント
- 団信と民間保険の役割分担の考え方
- 見直しを検討すべきタイミング
団体信用生命保険の基本知識
団信の仕組みと加入義務
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンの契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、保険金でローン残債を完済する保険です。多くの金融機関では、住宅ローン契約時に団信への加入が必須となっています。
団信の保険料は、一般的に住宅ローンの金利に含まれており、借り手が別途保険料を支払う必要はありません。ただし、疾病保障などの特約を付加する場合は、金利に上乗せされることが多くなります。
疾病保障特約の種類と特徴
基本的な団信に加えて、以下のような特約を付加できる商品があります:
- 3大疾病保障:がん・急性心筋梗塞・脳卒中での保険金支払い
- 8大疾病保障:3大疾病に加え、高血圧性疾患・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎を追加
- 就業不能保障:病気やケガで働けない状態が一定期間継続した場合の保障
これらの特約を付加する場合、住宅ローン金利に**年0.2〜0.3%程度**の上乗せが一般的です。ただし、金融機関や商品により条件は異なります。
支払条件と免責期間の注意点
疾病保障特約には、支払条件や免責期間が設定されています。例えば、がんと診断確定された場合でも、**診断から90日間**は保険金が支払われない商品が多くあります。
また、就業不能状態の定義も商品により異なるため、約款の確認が重要です。「所定の就業不能状態が12ヶ月継続」といった条件が設定されているケースもあります。
住宅ローン契約時の保険見直しポイント

既存の生命保険との重複チェック
住宅ローン契約前に生命保険に加入している場合、団信との保障内容の重複を確認する必要があります。特に以下の点を整理しましょう:
| 確認項目 | 団信 | 既存の生命保険 |
|---|---|---|
| 死亡保障額 | ローン残債相当 | 契約時の保険金額 |
| 保障期間 | ローン完済まで | 契約により異なる |
| 保険料負担 | 金利に含まれる | 別途支払い |
| 受益者 | 金融機関 | 指定した受取人 |
※上記は一般的な比較する際の視点例です。実際の保障内容は契約により異なります。
必要保障額の再計算
住宅購入により家計の固定費が変わるため、必要保障額の見直しが必要と感じる人もいます。団信により住居費の保障は確保されるため、既存の生命保険で**住居費相当分を減額**できる可能性があります。
一方で、住宅ローン控除の恩恵を受けている期間は、繰上返済よりも保険での備えを優先する考え方もあります。住宅ローン控除は年末ローン残高の0.7%(令和4年以降の契約)が所得税・住民税から控除されるため、低金利環境では控除メリットが大きくなる場合があります。
保険料負担の最適化
団信の保険料は住宅ローン金利に含まれるため、**住宅ローン控除や住宅ローン減税の対象**となります。一方、民間の生命保険料は生命保険料控除の対象ですが、控除額には上限があります。
税制上のメリットを考慮すると、基本的な死亡保障は団信で確保し、民間保険では団信でカバーされない部分(医療保障、就業不能保障など)に特化する方法が効率的な場合があります。
団信と民間保険の役割分担の考え方
保障の特性による使い分け
団信と民間保険には、それぞれ異なる特性があります:
| 項目 | 団信 | 民間保険 |
|---|---|---|
| 保障対象 | ローン残債のみ | 契約した保険金額 |
| 保障額の変化 | ローン残高に応じて減少 | 契約により異なる |
| 保険料 | ローン金利に含む | 別途支払い |
| 保障期間 | ローン完済まで | 契約により選択可能 |
| 解約返戻金 | なし | 商品により異なる |
※実際の条件は金融機関・保険会社により異なります。
ライフステージに応じた組み合わせ例
家族構成や年齢により、適切な保険の組み合わせは変わります:
子育て世代の場合
団信で住居費をカバーし、民間保険で教育費や生活費に相当する保障を確保する方法があります。収入保障保険などの逓減型保険を活用すれば、時間経過とともに減少する必要保障額に合わせた効率的な保障設計が可能です。
シニア世代の場合
住宅ローン残債が少なくなった段階では、団信の保障額も減少します。一方で、医療費や介護費用のリスクが高まるため、民間の医療保険や介護保険の比重を高める考え方があります。
公的保障との関係性
保険の見直しでは、公的保障との関係も考慮する必要があります。
遺族年金との関係
会社員の場合、死亡時に遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されます。遺族厚生年金の額は、平均標準報酬額と加入期間により決まります。これらの公的保障を踏まえて、必要な民間保険の保障額を算出することが重要です。
傷病手当金との関係
会社員が病気やケガで働けなくなった場合、**標準報酬月額の30分の1の3分の2**(おおよそ給与の3分の2程度)が傷病手当金として支給されます。支給期間は**通算1年6ヶ月**です。
2022年1月の改正により、傷病手当金の支給期間が通算化されました。改正前は支給開始から暦で1年6ヶ月経過すると終了でしたが、改正後は実際に受給した日数の通算で計算されます。これにより、復職後に再び働けなくなった場合でも、残りの支給期間を受給できるようになりました。
見直しを検討すべきタイミング

- ライフイベント発生時
- 住宅購入・住み替え:団信の加入や住宅ローン残債の変化
- 結婚・出産:扶養家族の増加による必要保障額の変化
- 転職・退職:収入や公的保障の変化
- 子どもの独立:必要保障額の減少
当てはまるほど、必要性が高くなる可能性があります。
ライフイベント発生時
以下のようなライフイベントが発生した際は、保険の見直しを検討するタイミングです:
- 住宅購入・住み替え:団信の加入や住宅ローン残債の変化
- 結婚・出産:扶養家族の増加による必要保障額の変化
- 転職・退職:収入や公的保障の変化
- 子どもの独立:必要保障額の減少
住宅ローン借り換え時
住宅ローンの借り換えを行う場合、新たに団信に加入し直す必要があります。この際、健康状態によっては団信に加入できない可能性もあります。
借り換えには諸費用として**融資額の2〜3%程度**(登記費用、保証料、事務手数料など)がかかることが一般的です。保険の見直しによる保険料削減効果と、借り換えコストを総合的に判断することが重要です。
金利環境の変化
住宅ローン金利の動向も見直しの判断材料となります。金利上昇局面では、固定金利への変更と併せて保険の見直しを行う方法があります。また、金利低下局面では、浮いた利息負担分を保険料に回すという考え方もあります。
まとめ
住宅ローンに関連する保険の見直しでは、団信の保障内容と既存の民間保険の重複を整理し、公的保障も含めた全体最適を図ることが重要です。また、ライフステージの変化に応じて、定期的に保障内容を見直すことで、保険料負担の最適化が可能になります。
ただし、**状況によって考え方は変わります**。年齢、家族構成、収入状況、健康状態により、最適な保険の組み合わせは大きく異なります。個別の状況により判断は異なりますので、具体的な見直しを検討される際は、ご自身の条件に当てはめて慎重に判断することを考え方の一例します。
**より具体的な比較検討の方法は、別の記事で詳しく解説しています**。