- 新卒で保険加入を検討する前に
- 新卒世代が知っておくべき保険の基本知識
- 新卒で保険を検討する際の判断ポイント
新卒で保険加入を検討する前に

新卒で社会人になったタイミングで、保険の加入を検討する方は多くいます。「まだ若いから必要ない」「何かあったときのために入っておくべき」など、さまざまな考え方があり、どう判断すべきか迷うのは自然なことです。
この記事では、新卒の方が保険の必要性を判断する際に知っておきたい基本的な考え方と判断のポイントを整理します。年齢や家族構成、収入状況により適切な判断は変わるため、まずは基本的な考え方を理解することから始めましょう。
新卒世代が知っておくべき保険の基本知識
保険の基本的な仕組み
保険は「万が一のリスクに備えて、少額の保険料で大きな保障を得る仕組み」です。病気やケガ、死亡といったリスクが現実になったとき、経済的な損失をカバーする役割を持ちます。
新卒世代が検討することの多い保険には、以下のようなものがあります:
- 医療保険:病気やケガで入院・手術をした際の医療費を保障
- 生命保険(死亡保険):死亡時に遺族に保険金を支給
- 就業不能保険:病気やケガで働けなくなった際の収入減少を保障
- がん保険:がんに特化した治療費・収入減少を保障
公的保障との関係性
民間保険を検討する前に、まず公的保障でどこまでカバーされるかを理解することが重要です。
高額療養費制度
医療費が高額になった場合、月の自己負担額には上限があります[1]。たとえば、年収約370万円以下の方の場合、月の自己負担上限は約5万7,600円です。100万円の医療費がかかっても、実際の自己負担は約6万円程度に抑えられます。
傷病手当金
会社員や公務員(健康保険加入者)が病気やケガで働けなくなった場合、標準報酬月額の30分の1の3分の2(おおよそ給与の3分の2程度)が支給されます[2]。支給期間は通算1年6ヶ月です。
2022年1月の改正により、支給期間が「通算制」に変更されました。改正前は支給開始から暦で1年6ヶ月経過すると終了でしたが、現在は復職期間はカウントされません。これにより、復職後に再び働けなくなっても、残りの支給期間を受給できるようになりました。
なお、自営業者(国民健康保険加入者)は傷病手当金の対象外です。
新卒で保険を検討する際の判断ポイント

- 家族構成による考え方の違い
- 独身である
- 実家からの経済的支援が期待できるか
- 貯蓄額で医療費をカバーできるか
- 公的保障(高額療養費、傷病手当金)で十分か
当てはまるほど、必要性が高くなる可能性があります。
家族構成による考え方の違い
独身の場合
独身の方の場合、死亡時に経済的に困る家族がいないため、生命保険の優先度は一般的に低くなります。一方で、医療保険や就業不能保険については、以下の視点で検討します:
- 実家からの経済的支援が期待できるか
- 貯蓄額で医療費をカバーできるか
- 公的保障(高額療養費、傷病手当金)で十分か
結婚している場合
配偶者がいる場合は、自分に万が一のことがあった際の配偶者の生活費を考慮する必要があります。特に配偶者が専業主婦(主夫)の場合や、収入に大きな差がある場合は、生命保険の検討も必要になります。
収入と貯蓄による判断
新卒世代の収入水準
新卒の平均年収は約250〜300万円程度とされています[1]。手取り額では月20万円前後になることが多く、生活費を除いた余裕資金は限られています。
この収入水準を踏まえると:
- 保険料は月収の5〜10%程度(月1〜2万円)が目安
- 貯蓄が少ない間は最低限の保障から検討
- 年収増加に合わせて保障内容を見直す
貯蓄額による判断
貯蓄額が少ない場合は、医療費の自己負担部分をカバーできない可能性があります。目安として:
- 貯蓄100万円未満:医療保険の優先度が高い
- 貯蓄100〜300万円:医療保険と就業不能保険を検討
- 貯蓄300万円以上:保険の必要性は相対的に低下
職業・雇用形態による考え方
正社員の場合
正社員は傷病手当金や有給休暇があるため、短期間の休職に対する保障は比較的充実しています。会社の福利厚生制度(団体保険、医療費補助など)も確認しておきましょう。
非正規雇用の場合
契約社員や派遣社員の場合、雇用の安定性や福利厚生が正社員と異なります。特に:
- 傷病手当金の対象かどうか(健康保険の加入状況による)
- 有給休暇の取得しやすさ
- 契約更新への影響
これらの要因により、保険の必要性が高くなる場合があります。
具体的な保険商品の比較する際の視点ポイント
医療保険の検討ポイント
| 項目 | 終身型 | 定期型 |
|---|---|---|
| 保険料 | 加入時から変わらない | 更新時に上がる |
| 保障期間 | 一生涯 | 一定期間(10年など) |
| 若い時の保険料 | やや高め | 安い |
| 総支払額 | 長期では割安 | 短期では割安 |
※保険料は年齢、性別、保障内容により異なります
保険料の目安
25歳男性、入院給付金日額5,000円、手術給付金10万円の場合:
- 終身型:月額1,500〜2,500円程度
- 定期型:月額800〜1,500円程度
上記はあくまで目安です。実際の保険料は、喫煙の有無・健康状態・職業・保険会社の商品設計により異なります[3]。
生命保険の検討ポイント
必要保障額の考え方
生命保険の保障額は、遺族の生活費から遺族年金などの収入を差し引いて計算します。新卒で独身の場合、必要保障額は以下程度になることが多いです:
- 葬儀費用:200〜300万円
- 整理資金:100〜200万円
- 合計:300〜500万円程度
保険料の目安
25歳男性、保障額500万円、65歳満了の場合:
- 定期保険:月額800〜1,200円程度
- 収入保障保険:月額600〜1,000円程度
- 終身保険:月額8,000〜12,000円程度
生存保障(医療保険など)と比べて、死亡保障は保険料が安い傾向にあります。これは支払い確率が相対的に低いためです。
- 必要性は家計・家族状況・価値観で変わります。
- 制度や税制は変更される可能性があります。
- 具体的な判断は公的情報や契約条件の確認が前提です。
新卒で保険に加入する場合の注意点

保険料控除の活用
生命保険料控除により、年間の所得税・住民税を軽減できます[4]。控除額の上限は:
- 所得税:最大12万円(一般・介護医療・個人年金各4万円)
- 住民税:最大7万円(一般・介護医療・個人年金各2.8万円)
新卒の収入水準では、年間8万円程度の保険料で控除上限に達することが多く、実質的な保険料負担を軽減できます。
健康状態による加入タイミング
保険加入時には健康状態の告知が必要と感じる人もいます。若い間は一般的に健康状態が良好で、保険料も安く設定されています。将来の健康リスクを考慮すると、必要と判断した場合は早めの加入が有利です。
ライフステージの変化への対応
新卒から数年間は、結婚・転職・収入増加などライフステージが変化しやすい時期です。保険選択時は以下を考慮しましょう:
- 保障内容の変更が可能か
- 保険料の払込期間を調整できるか
- 特約の追加・削除ができるか
まとめ
新卒で保険が必要かどうかは、家族構成・収入・貯蓄・職業などの個人的な状況により大きく変わります。
重要なポイントは:
- 公的保障でカバーされる範囲を理解する
- 現在の収入・貯蓄水準で対応できないリスクを特定する
- 保険料が家計に与える影響を慎重に検討する
- ライフステージの変化に対応できる商品を選ぶ
状況によって考え方は変わりますし、一般論だけでは決めきれない部分もあります。ご自身の年齢・家族構成に当てはめた具体的な検討方法は、次のステップで整理してみましょう。
個別の状況により判断は異なりますので、必要に応じて専門家への相談も検討してください。