「また火災保険が値上げされた」というニュースを見るたび、なんとなくモヤモヤしていませんか。
毎年のように値上げの話を聞くけれど、自分の家が火事になったわけでもないし、何か特別なことをしたわけでもない。それなのに、なぜ保険料だけが上がっていくのか。納得できないような、でも文句を言っていいのかもわからないような、そんな気持ちのまま更新の案内を受け取っている人は少なくありません。
「保険料が上がるのは仕方ない」と思おうとしても、家計のことを考えると素直に受け入れられない。かといって、保険をやめるわけにもいかない。そんな板挟みの状態で、ただ毎年の値上げを受け入れ続けている――そんな状況に、自分だけが置かれているような気がしてしまうかもしれません。
でも、その感覚は特別なものではありません。同じように「なぜ?」と思いながらも、理由がよくわからないまま更新している人は多くいます。
火災保険の値上げが続いている背景

火災保険の保険料は、ここ数年で何度も値上げされています。2015年以降、ほぼ毎年のように改定が行われ、10〜30%程度の値上げが繰り返されてきました。地域や建物の構造によって幅はありますが、「以前より高くなった」と感じている人がほとんどでしょう。
この値上げは、保険会社が利益を増やそうとしているわけではありません。保険料は「将来支払う保険金の総額」を予測して決められるため、支払いが増えれば保険料も上がる仕組みになっています。
つまり、火災保険の値上げが続いているということは、保険金の支払いが増え続けているということです。
自然災害による保険金支払いの増加
火災保険という名前ですが、実際には火災だけでなく、台風・水害・雪害・地震(地震保険部分)など、さまざまな自然災害による損害もカバーしています。
そして近年、自然災害による被害が急激に増えています。
2018年の台風21号と西日本豪雨では、合計で約1兆円を超える保険金が支払われました。2019年の台風15号・19号でも、約5,000億円以上の支払いが発生しています。
これらの災害は特定の地域だけの問題ではありません。全国どこでも、以前は「まさかここで」と思われていた地域で、大きな被害が出るようになっています。
災害の頻度と規模の変化
「昔もこういう災害はあった」と思う人もいるかもしれません。たしかに、台風や大雨は以前からありました。
ただ、その頻度と規模が変わってきています。
気象庁のデータによると、1時間に50mm以上の豪雨の発生回数は、1976〜1985年の平均と比べて約1.4倍に増加しています。「数十年に一度」と言われる規模の災害が、数年おきに起きるようになっているのが現状です。
こうした変化は、保険会社にとって「予測していた以上に保険金を支払う」状況を生み出しています。そして、その分を次の保険料に反映せざるを得なくなっているわけです。
地域や建物による保険料の違い
火災保険の値上げは、すべての地域で同じ割合というわけではありません。災害リスクが高い地域ほど、値上げ幅が大きくなる傾向があります。
都道府県別の料率区分
保険料は、建物がある都道府県によって異なります。たとえば、台風被害が多い沖縄県や、水害リスクが高い地域では、保険料が高く設定されています。
これまでは全国を3区分程度に分けていましたが、最近では10区分以上に細分化されるようになりました。つまり、地域ごとのリスクがより正確に反映されるようになったということです。
自分の住んでいる地域が「リスクが高い」と判定されれば、それだけ保険料は上がります。逆に、比較的災害が少ない地域では、値上げ幅が小さいこともあります。
建物の構造による違い
建物の構造も保険料に大きく影響します。
- 鉄筋コンクリート造(マンションなど):燃えにくく、災害にも強い
- 木造(一戸建てなど):火災や風災の被害を受けやすい
同じ地域に住んでいても、木造の一戸建てとマンションでは保険料が2〜3倍違うこともあります。これは「リスクに応じた負担」という考え方に基づいています。
築年数と保険料の関係

以前は、築年数が古くても新しくても保険料にそれほど差はありませんでした。しかし最近では、築年数が保険料に反映されるようになってきています。
築10年以内の建物は割引が適用されることがある一方で、築30年以上の建物では保険料が高くなるケースも増えています。古い建物ほど、災害時の被害が大きくなりやすいというデータが背景にあります。
自分の家が古いからといって、それが悪いわけではありません。ただ、保険料の計算上、そうした要素が考慮されるようになったというだけのことです。
保険料が上がり続ける今後の見通し
「これ以上、値上げは続くのか」という疑問は当然出てきます。
短期的には値上げ傾向が続く可能性があると考えられています。気候変動による災害の増加は、今後も続くと予測されているからです。
保険料の改定は通常1〜2年に一度のペースで行われます。次回の改定でも、全国平均で10%前後の値上げが見込まれているという見方もあります。
ただし、これは「保険に入らないほうがいい」という話ではありません。むしろ、災害リスクが高まっているからこそ、保険の必要性は増しているとも言えます。
問題は、その保険料をどう考えるかです。
自分の保険を見直す視点

値上げが続くなら、せめて自分の保険が適切かどうかは確認しておきたいところです。
ただ、「見直す」といっても、何をどう見ればいいのかわからない人も多いでしょう。保険の補償内容は複雑で、そもそも自分が何に入っているのかもよくわからないまま更新している人も少なくありません。
補償内容の確認
まず確認したいのは、自分の保険がどこまでカバーしているかです。
火災保険には、基本補償に加えて、さまざまなオプション(特約)があります。たとえば、水災補償・風災補償・盗難補償など。これらすべてに入っている場合もあれば、一部だけの場合もあります。
もし、自分の住んでいる地域が水害リスクの低い高台にあるなら、水災補償を外すことで保険料を抑えられる可能性があります。逆に、川や海の近くに住んでいるなら、水災補償は外さないほうがいいかもしれません。
保険金額の設定
保険金額(建物の評価額)が適切かどうかも重要です。
契約時に設定した金額が、今の建物の価値と合っているとは限りません。築年数が経てば建物の価値は下がりますが、保険金額がそのままになっていることもあります。
過大な保険金額で契約していれば、その分保険料も高くなります。
複数の保険会社を比較する際の視点
同じ補償内容でも、保険会社によって保険料は異なります。
「今の保険会社を変えるのは面倒」と思うかもしれません。たしかに、手続きは必要です。でも、年間数千円〜数万円の差が出ることもあります。
ただし、安ければいいというわけでもありません。保険は「いざというとき」に使うものなので、補償内容や保険会社の対応力も含めて考える必要があります。
値上げの理由を知ることの意味
火災保険の値上げには、明確な理由があります。
それは、災害が増えているという現実です。保険会社が勝手に決めているわけでも、利益を増やそうとしているわけでもありません。
とはいえ、理由がわかったからといって、納得できるかどうかは別の話です。家計に影響する以上、「仕方ない」と割り切れないのも当然です。
ただ、少なくとも「なぜ値上げされるのか」がわかれば、自分の保険をどう考えるかの判断材料にはなります。
まとめ|自分のペースで確認すればいい

火災保険の値上げは、今後も続く可能性がある状況です。それは、災害リスクが高まっているという現実の反映でもあります。
ただ、何かを決めるのは、ご自身のペースで構いません。
- 火災保険の値上げは、自然災害による保険金支払いの増加が主な理由
- 地域や建物の構造、築年数によって保険料は大きく異なる
- 補償内容や保険金額が適切かどうかを確認する視点がある
- 保険会社によって保険料に差があることもある
自分の保険が今のままでいいのか、それとも見直したほうがいいのか。それを考えるのは、焦る必要のないことです。
情報を整理して、自分の状況に合っているかを確認する。それだけでも、十分意味があります。その結果、何も変えないという選択をしてもいいし、変えてみようと思ってもいい。
どちらを選んでも、それはあなたが決めたことです。