保険料が値上げされる理由──通知を見て、何が変わったのか気になっているあなたへ

保険料が値上げされる理由──通知を見て、何が変わったのか気になっているあなたへ

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況により最適な判断は異なります。必要に応じて公的情報や専門家へご確認ください。

保険料の値上げ通知が届いたとき、「なぜ今?」「何が理由なんだろう」と気になるのは、ごく自然なことです。

今まで払ってきた金額が変わることへの戸惑いもあるでしょうし、「自分が何か間違ったことをしたのか」「保険会社が勝手に決めているだけなのか」と、理由がわからないままでは納得しづらいかもしれません。

値上げの理由を知りたいと思うのは、「このまま続けていいのか」を自分で判断したいからではないでしょうか。急いで決める必要はありません。まずは、何が起きているのかを整理してみることから始めても遅くはないはずです。

保険料が値上げされる背景にあるもの

保険料が値上げされる背景にあるもの

保険料の値上げは、保険会社が自由に決めているわけではないという考え方があります。背景には、保険のしくみそのものが関係しています。

保険は、多くの人が少しずつお金を出し合って、万が一のときに大きな保障を受けられるようにする制度です。そのため、保険金を支払う頻度や金額が増えれば、集めるお金(保険料)も調整する必要が出てきます。

保険料が決まるしくみ

保険料は「予定利率」「予定死亡率」「予定事業費率」という3つの要素をもとに計算されています。このうちどれかが変われば、保険料も変わる傾向があります。

たとえば医療保険の場合、医療技術の進歩によって治療費が高額になったり、入院日数が短くなっても通院が増えたりすると、保険会社が支払う保険金の総額が変わる可能性があります。このような変化が積み重なると、保険料の見直しが検討される傾向にあります。

同じように考える人は少なくありません。値上げの通知を受け取って「理由がよくわからない」と感じるのは、あなただけではないのです。

生命保険の値上げ──「標準生命表」の改定が影響する理由

生命保険の保険料が値上げされる大きな理由のひとつに、「標準生命表」の改定があります。

標準生命表とは、日本人の平均寿命や死亡率をまとめた統計データです。この表は定期的に見直され、最新の実態に合わせて更新されます。

平均寿命が延びると、保険会社が保険金を支払う時期が遅くなる傾向があるため、死亡保険の保険料は下がる傾向にあります。一方で、長生きするほど医療費がかかる期間も長くなるため、医療保険や介護保険の保険料は上がりやすくなる傾向があります。

実際に、2018年の標準生命表改定では、死亡保険料は平均で約1〜2%値下げされた一方、医療保険や介護保険は5〜10%程度値上げされたケースもありました。

この改定は、保険会社が任意で行うものではなく、金融庁の指導のもとで業界全体に適用されるものです。そのため、複数の保険会社で同時期に値上げが起きることもあります。

医療保険の値上げ──医療環境の変化が反映される

医療保険の値上げ──医療環境の変化が反映される

医療保険の保険料が上がる理由には、医療技術の進歩と医療費の増加が関係しているという考え方があります。

たとえば、がん治療では従来の手術・放射線・抗がん剤に加えて、免疫療法や遺伝子治療といった新しい治療法が登場しています。これらの治療は効果が高い反面、1回数百万円という高額な費用がかかることも珍しくありません。

また、入院日数が短縮される一方で、通院治療が増えたことで、保険金の支払い対象が広がっています。以前は「入院したときだけ」だった保障が、「通院でも支払われる」ように変わったことで、保険会社の支払い総額が増えた傾向があります。

注意

新しい治療法が保険の対象になるかどうかは、契約内容によって異なります。値上げの理由を確認するときに、自分の契約がどこまでカバーしているかを見直すきっかけにもなる可能性があります。

こうした医療環境の変化は、保険料に反映されざるを得ない部分があります。保険会社が利益を増やすためというよりも、「実際に支払う保険金が増えている」ことが背景にあるという考え方があります。

予定利率の引き下げ──運用環境の変化が保険料に影響する

保険料が値上げされるもうひとつの大きな理由が、「予定利率」の引き下げです。

予定利率とは、保険会社が契約者から預かった保険料を運用して得られると見込んでいる利回りのことです。この利率が高ければ、保険料は安く設定できます。逆に、利率が下がると、保険料を上げなければ保障を維持できなくなる傾向があります。

日本では1990年代後半から長く低金利が続いており、保険会社が資産を運用しても大きな利益を得にくい状況が続いています。そのため、予定利率は段階的に引き下げられてきました。

1990年代には5〜6%だった予定利率は、現在では1%前後まで下がっています。この変化が、特に貯蓄性のある保険(終身保険や養老保険など)の保険料を押し上げる要因となっています。

この状況は、あなたが何かを間違えたわけでも、保険会社が不当に値上げしているわけでもないという考え方があります。経済環境全体の変化が、保険料に反映されているのです。

保険料の値上げは「契約者全体」に影響する

保険料の値上げは「契約者全体」に影響する

保険料の値上げは、個人の契約内容や年齢だけで決まるわけではありません。多くの場合、新規契約者や更新時期を迎える契約者に対して適用される傾向があります

すでに契約している保険については、契約時の保険料がそのまま続くことがほとんどです。ただし、更新型の保険や、契約内容の見直しを行った場合には、新しい料率が適用されることがあります。

また、保険会社によっては、契約者全体に対して保険料の改定を行うこともあります。この場合、事前に通知が届き、一定期間内に契約を見直すか、そのまま続けるかを選べるようになっています。

  • 値上げの対象になるのは、新規契約や更新のタイミングが多い傾向があります
  • 既存契約の保険料は、原則として変わらないことが多いです
  • 契約内容を変更すると、新しい料率が適用される場合があります

こうした情報は、契約時の書類や保険会社のウェブサイトで確認できます。通知が届いたときに、「どのタイミングで、どの契約に適用されるのか」を確認しておくと、自分の状況を整理しやすくなります。

値上げの理由を知ったうえで、どう考えるか

保険料の値上げには、さまざまな背景があります。それは、保険会社の都合だけで決まるものではなく、社会全体の変化や統計データの更新、経済環境の影響を受けて調整されるものです。

値上げの通知を受け取ったとき、「このまま続けるべきか」「見直しという選択肢もあるか」と考えるのは自然なことです。ただ、その判断は急ぐ必要はありません。

まずは、自分の契約がどのような内容で、どのタイミングで値上げが適用されるのかを確認してみることをご検討ください。それだけでも、次に何をするかを考える材料が揃います。

この記事のまとめ
  • 保険料の値上げは、標準生命表の改定、医療環境の変化、予定利率の引き下げなどが理由とされています
  • 値上げは保険会社が自由に決めるのではなく、統計や経済環境の変化に基づいて調整される傾向があります
  • 既存契約の保険料は原則変わらず、新規契約や更新時に新しい料率が適用されることが多いです
  • 通知が届いたら、まずは自分の契約内容と適用時期を確認することから始めることをご検討ください

何をどう決めるかは、あなたのペースでご検討ください。情報を整理して、自分の状況に合わせて判断する。それで十分です。