保険の名義変更 必要書類|基礎知識と考え方
保険の名義変更を考えているけれど、何を準備すればいいのかわからない

保険の名義変更が必要になったとき、「何から始めればいいんだろう」「どんな書類を用意すればいいの」と手が止まってしまうことがあります。
契約者の変更、受取人の変更、被保険者の変更――それぞれで必要な手続きが違うと聞いて、「自分のケースは何が必要なんだろう」と迷ってしまう。保険会社に問い合わせようと思っても、「まず何を聞けばいいのかもわからない」という状態になることもあるかもしれません。
こうした状況で立ち止まるのは、決して珍しいことではありません。保険の名義変更は頻繁に行うものではないため、多くの人が「初めて」の経験として向き合っています。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の契約内容や状況によって必要な手続きは異なる場合があります。具体的な手続きについては、ご契約の保険会社に直接ご確認ください。
名義変更の種類によって必要書類は変わる
保険における「名義変更」には、大きく分けて3つのパターンがあります。それぞれで必要となる書類や手続きの内容が異なるため、まずは自分がどの変更を行うのかを確認しておくと、準備を進めやすくなります。
契約者の変更
契約者とは、保険料を支払い、契約上の権利を持つ人のことです。離婚や相続、生前贈与などで契約者を変更する場合、以下のような書類が一般的に必要とされます。
- 契約者変更請求書(保険会社所定の用紙)
- 現契約者の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 新契約者の本人確認書類
- 保険証券(紛失している場合は保険会社に相談)
- 印鑑(契約者双方の印鑑が必要な場合もある)
契約者変更は、保険の権利そのものが移るため、税務上の扱いに影響する場合があります。そのため、保険会社によっては変更理由を確認されたり、追加の書類提出を求められることもあります。
受取人の変更
死亡保険金や満期保険金の受取人を変更する場合、比較的シンプルな手続きで済むことが多いです。
- 受取人変更請求書(保険会社所定の用紙)
- 契約者の本人確認書類
- 新受取人の本人確認書類(氏名・生年月日・続柄の確認)
- 保険証券
受取人の変更は契約者の権利として認められている場合が多いため、契約者本人の意思確認ができれば手続き可能です。ただし、新しい受取人が配偶者や子ども以外の場合、保険会社によっては変更理由を尋ねられることがあります。
被保険者の変更
被保険者(保険の対象となる人)の変更は、原則として認められていないケースが多いです。なぜなら、保険契約は被保険者の健康状態や年齢をもとに保険料が決まっているためです。
ただし、契約の種類によっては例外もあります。たとえば、法人契約の一部や、特定の団体保険などでは、一定の条件下で被保険者の変更が可能な場合があります。この場合は保険会社との個別相談が必要になります。
状況によって追加で必要になる書類

名義変更の理由や状況によっては、基本的な書類に加えて追加の書類が求められることがあります。
相続による名義変更の場合
契約者が亡くなり、相続人が契約を引き継ぐ場合は、以下の書類が追加で必要になることが一般的です。
- 死亡診断書または死亡届の写し
- 戸籍謄本(相続関係を証明するため)
- 相続人全員の同意書(相続人が複数いる場合)
- 遺産分割協議書(保険契約の帰属を明確にする場合)
相続の場合、手続きには1〜2ヶ月程度かかることもあります。保険会社によって必要書類が異なるため、手続きを進める際には問い合わせて確認しておくと、後の流れを把握しやすくなります。
離婚による名義変更の場合
離婚に伴って契約者や受取人を変更する場合、以下の書類が求められることがあります。
- 離婚届受理証明書または戸籍謄本
- 財産分与に関する合意書(契約者変更の場合)
離婚後も元配偶者が受取人のままになっているケースは少なくありません。変更を忘れていると、万が一の際に意図しない相手に保険金が支払われる可能性があるため、確認しておくことができます。
法人契約の場合
法人が契約者となっている保険で名義変更を行う場合、以下のような書類が必要になります。
- 法人の登記簿謄本
- 代表者の印鑑証明書
- 取締役会議事録(変更の決議を証明する場合)
法人契約の場合、税務処理にも関わるため、顧問税理士に相談しながら進めるケースが多いです。
手続きの流れと知っておくと役立つこと
名義変更の手続きは、おおむね以下のような流れで進みます。
まず、契約している保険会社のコールセンターや担当者に連絡し、「名義変更をしたい」旨を伝えます。このとき、以下の情報を手元に用意しておくと話がスムーズに進みます。
- 証券番号
- 契約者名
- 変更したい内容(契約者・受取人など)
- 変更の理由(相続・離婚・生前贈与など)
保険会社から、必要な書類や手続きの流れについて案内があります。
案内された書類を準備し、保険会社に提出します。郵送での手続きが一般的ですが、保険会社によっては窓口での対応や、担当者が訪問して手続きをサポートしてくれる場合もあります。
書類に不備があると、再提出が必要になり、手続きが遅れることがあります。記入漏れや押印忘れがないか、提出前に確認しておくと手間が省けます。
保険会社が書類を確認し、問題がなければ名義変更が完了します。通常、1〜2週間程度で手続きが完了し、変更内容を記載した通知書が送られてきます。
名義変更の手続き中も、保険の保障は継続されます。手続きが完了するまでの間に万が一のことがあった場合でも、保険金は支払われます。
知っておくと役立つこと
名義変更を行う際、いくつか知っておくと役立つ点があります。
税金の問題
契約者を変更する場合、贈与税や相続税が関係することがあります。特に、契約者と保険料負担者が異なる状態で名義変更を行うと、税務上の扱いが複雑になることがあります。
保険会社は税務の専門家ではないため、税金に関する具体的な相談は、税理士に確認することもできます。
保険料の支払い方法
契約者が変わると、保険料の引き落とし口座も変更する必要があります。名義変更と同時に口座変更の手続きも行っておくと、後で慌てることがありません。
保険の内容は変わらない
名義変更を行っても、保険の保障内容や保険金額、保険期間などは変わりません。あくまで「誰が契約者か」「誰が受取人か」という立場が変わるだけです。
書類が揃わない場合や不明な点がある場合

「必要な書類が手元にない」「どう準備すればいいかわからない」という状況もあるかもしれません。
たとえば、保険証券を紛失している場合でも、保険会社に連絡すれば再発行や、証券番号の確認をしてもらえます。また、戸籍謄本などの公的書類は、市区町村の窓口やコンビニ交付サービスで取得できます。
相続の場合など、関係者が複数いて書類の準備が難しいときは、保険会社の担当者に相談すると、手続きの進め方をサポートしてもらえることもあります。
保険の名義変更は、契約者の意思確認が重要です。本人の同意なく勝手に名義変更を行うことはできませんし、書類の偽造などは犯罪行為にあたります。手続きは必ず正規の方法で行いましょう。
まとめ
- 名義変更には「契約者」「受取人」「被保険者」の変更があり、それぞれ必要書類が異なる
- 基本的には本人確認書類と保険会社所定の請求書が必要
- 相続や離婚など、状況によって追加書類が求められることがある
- 手続きは保険会社への連絡から始まり、通常1〜2週間程度で完了する
- 税金の問題が関わる場合は、専門家への相談もできる
保険の名義変更について考えるタイミングや、どう進めるかは、人それぞれです。今すぐすべての書類を揃える必要はありませんし、わからないことがあれば保険会社に問い合わせながら、ご自身のペースで一つずつ確認していくこともできます。
手続きを進めるかどうか、いつ始めるかは、あなたが決めることです。この記事が、あなたが自分のペースで必要な情報を整理していくきっかけになれば幸いです。