- 遺族年金の受給期間について知りたい妻の疑問
- 遺族年金の基本的な仕組みと種類
- 遺族基礎年金の受給期間(子どもの年齢が重要)
遺族年金の受給期間について知りたい妻の疑問

夫を亡くした妻にとって、遺族年金がいつまで受け取れるかは生活設計に関わる重要な問題です。「子どもが成人したら終了するの?」「再婚したらどうなる?」「一生涯もらい続けられる?」といった疑問を抱く方は少なくありません。
遺族年金の受給期間は、妻の年齢や子どもの有無、家族構成によって大きく異なります。また、遺族基礎年金と遺族厚生年金では終了条件が違うため、正確な理解が必要と感じる人もいます。
この記事で分かること:
- 遺族年金の種類別受給期間
- 妻の年齢による受給条件の違い
- 受給が終了するケースと継続するケース
- 中高齢寡婦加算の仕組み
遺族年金の基本的な仕組みと種類
遺族年金は2つの制度から構成される
遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2つに分かれています。受給できる年金の種類は、亡くなった夫の加入していた年金制度によって決まります。
| 夫の加入制度 | 受給できる遺族年金 | 支給元 |
|---|---|---|
| 国民年金のみ(自営業者など) | 遺族基礎年金のみ | 国 |
| 厚生年金(会社員・公務員) | 遺族基礎年金+遺族厚生年金 | 国+厚生年金基金等 |
※厚生年金加入者の遺族は、両方の年金を受給できる可能性があります
受給要件の基本
遺族年金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります:
- 保険料納付要件:亡くなった夫の保険料納付期間が一定以上あること
- 生計維持要件:夫によって生計を維持されていたこと
- 遺族要件:法律で定められた遺族の範囲に該当すること
遺族基礎年金の受給期間(子どもの年齢が重要)

受給期間は子どもの年齢で決まる
遺族基礎年金の受給期間は、子どもの年齢によって決まります。妻の年齢は直接的な終了条件にはなりません。
受給が終了するのは、以下のいずれかに該当したときです[1]:
- 子どもが18歳に達した年度末(3月31日)を迎えたとき
- 障害等級1級・2級の子どもの場合は20歳に達したとき
- 子どもが結婚したとき
- 子どもが養子縁組されたとき
子どもがいない妻は受給できない
遺族基礎年金は「子のある配偶者」または「子」に支給される年金です。そのため、子どもがいない妻は遺族基礎年金を受給できません。
ここでいう「子」とは、以下の条件を満たす人を指します:
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子
- 20歳未満で障害等級1級・2級の子
- 婚姻していない子
受給額の目安
遺族基礎年金の年額は、子どもの人数によって決まります(令和5年度)[2]:
- 子ども1人:年額約102万円(月額約8.5万円)
- 子ども2人:年額約128万円(月額約10.7万円)
- 子ども3人:年額約135万円(月額約11.2万円)
遺族厚生年金の受給期間(妻の年齢が重要)
妻の年齢によって受給期間が大きく異なる
遺族厚生年金の受給期間は、夫が亡くなったときの妻の年齢によって決まります。子どもの有無も影響しますが、遺族基礎年金とは異なる仕組みです。
| 夫死亡時の妻の年齢 | 子どもの有無 | 受給期間 |
|---|---|---|
| 30歳未満 | 子どもなし | 5年間のみ |
| 30歳未満 | 子どもあり | 子どもの遺族基礎年金受給期間中は継続 |
| 30歳以上 | 子どもの有無問わず | 終身(一生涯) |
※30歳未満で子どもがいない妻は5年間で受給終了となります[2]
30歳未満の妻は要注意
夫が亡くなったときに妻が30歳未満で子どもがいない場合、遺族厚生年金は5年間で受給終了となります[2]。これは、若い妻の再就職や再婚の可能性を考慮した制度設計によるものです。
ただし、受給中に子どもが生まれた場合は、その子どもが18歳に達する年度末まで受給を継続できます。
中高齢寡婦加算という上乗せ給付
40歳以上65歳未満の妻には、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が上乗せされます[2]。
加算の条件と金額:
- 対象:夫死亡時に40歳以上65歳未満の妻(子どもがいない場合)、または遺族基礎年金が終了したときに40歳以上65歳未満の妻
- 加算額:年額約58万円(月額約4.8万円)[2]
- 期間:65歳になるまで[2]
遺族年金の受給が終了するケース

- 共通の終了事由
- 再婚したとき(事実婚を含む)
- 直系血族・直系姻族以外の人と養子縁組をしたとき
- 妻が死亡したとき
- 再婚時の注意点
当てはまるほど、必要性が高くなる可能性があります。
共通の終了事由
遺族基礎年金・遺族厚生年金ともに、以下の場合は受給権が消滅します[3]:
- 再婚したとき(事実婚を含む)
- 直系血族・直系姻族以外の人と養子縁組をしたとき
- 妻が死亡したとき
再婚時の注意点
再婚により遺族年金の受給権を失った場合、その後に離婚や死別があっても遺族年金は復活しません[3]。これは制度上の重要なポイントです。
事実婚(内縁関係)についても、法律婚と同様に受給権消滅の対象となります。同居や生計の状況から総合的に判断されるため、注意が必要と感じる人もいます。
請求期限について
遺族年金には請求期限があります[3]:
- 遺族基礎年金:夫が亡くなってから5年以内
- 遺族厚生年金:夫が亡くなってから5年以内
期限を過ぎると、それまでの分は時効により受給できなくなります。ただし、請求した日の翌月分からは受給できるため、気づいた時点で速やかに請求手続きを行うことが大切です[3]。
ケース別の受給期間シミュレーション
ケース1:30歳の妻、子ども2人(10歳、8歳)
- 遺族基礎年金:下の子が18歳になる年度末まで(約10年間)
- 遺族厚生年金:妻が生きている限り終身
- 中高齢寡婦加算:遺族基礎年金終了後、40歳から65歳まで上乗せ
ケース2:45歳の妻、子どもなし
- 遺族基礎年金:受給対象外(子どもがいないため)
- 遺族厚生年金:妻が生きている限り終身
- 中高齢寡婦加算:65歳まで上乗せ
ケース3:25歳の妻、子どもなし
- 遺族基礎年金:受給対象外(子どもがいないため)
- 遺族厚生年金:5年間のみ(30歳未満のため)
- 中高齢寡婦加算:対象外
- 必要性は家計・家族状況・価値観で変わります。
- 制度や税制は変更される可能性があります。
- 具体的な判断は公的情報や契約条件の確認が前提です。
受給期間を考慮した生活設計のポイント

遺族年金だけでは不十分なケースが多い
遺族年金の平均受給額は月額10〜15万円程度です[2]。これだけで生活を維持するのは現実的ではないケースが多く、以下の準備が重要になります:
- 就労による収入確保:パート・正社員としての復職
- 貯蓄の活用:生活費の補填や子どもの教育費
- 民間保険:収入保障保険や団体信用生命保険
- 親族からの支援:実家への同居や経済的援助
年齢別の注意点
30歳未満の妻の場合:
- 子どもがいない場合は5年間で受給終了
- 早期の就労準備や職業訓練が重要
- 再婚を検討する場合のタイミング
30歳以上の妻の場合:
- 遺族厚生年金は終身受給
- 子どもの教育費確保が課題
- 老齢年金との調整を考慮
65歳以降の年金との関係
妻が65歳になると、自分の老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給が始まります。この際、遺族年金との調整が行われ、有利な方を選択することになります。
一般的には以下のパターンが多くなります:
- 老齢基礎年金+遺族厚生年金
- 老齢基礎年金+老齢厚生年金+遺族厚生年金の差額
まとめ
遺族年金の受給期間は、年金の種類と妻の状況によって大きく異なります:
- 遺族基礎年金:子どもが18歳になる年度末まで(子どもがいない場合は受給不可)
- 遺族厚生年金:30歳以上なら終身、30歳未満で子どもなしなら5年間
- 中高齢寡婦加算:40歳以上65歳未満の期間に上乗せ
- 再婚時:すべての遺族年金が受給権消滅
状況によって考え方は変わりますが、遺族年金だけで生活を維持するのは困難なケースが多いのが実情です。就労収入や貯蓄、民間保険などを組み合わせた総合的な生活設計が必要になります。
より具体的な受給額の計算方法や、他の社会保障制度との組み合わせについては、別の記事で詳しく解説しています。
※個別の状況により受給条件や金額は異なります。具体的な手続きについては、年金事務所や年金相談センターにお問い合わせください。