本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談や申告代行を行うものではありません。実際の控除額や申告方法は、ご自身の状況や法改正により異なる場合があります。具体的な判断が必要な場合は、税務署や税理士にご相談ください。
確定申告の時期になると、医療保険の控除をどう書けばいいのか、そもそも自分は対象なのか、書類が足りないのではないか、と頭の中がぐちゃぐちゃになることがあります。
会社員なら年末調整で済ませているはずだけど、途中で保険に入った場合はどうなるのか。医療費控除と生命保険料控除は何が違うのか。書類を出し忘れたらどうなるのか。
そういう細かい疑問が積み重なって、結局「よく分からないからいいや」となってしまう。でも本当は少しでも還付があるなら受け取りたい。そう思いながらも、調べるのが面倒で先延ばしにしている状態かもしれません。
この記事では、医療保険の控除と確定申告の関係について、何をどう整理すればいいのかを見ていきます。
医療保険の控除は「生命保険料控除」に含まれる

医療保険の保険料は、確定申告や年末調整で「生命保険料控除」として申告できます。医療費控除とは別のものです。
生命保険・医療保険・個人年金保険などの保険料を支払った場合に、一定額を所得から差し引ける制度です。所得税と住民税が軽減されます。
医療保険は「介護医療保険料控除」という区分に該当します。この区分では、年間の支払保険料に応じて、所得税で最大40,000円、住民税で最大28,000円の控除が受けられます。
たとえば、年間80,000円以上の医療保険料を払っている場合、所得税の計算では40,000円分が所得から差し引かれます。実際に戻ってくる金額は、この控除額に税率をかけた額です。
年収や家族構成によって異なりますが、仮に所得税率が10%なら、4,000円程度が還付される計算になります。住民税も合わせると、年間で6,000〜7,000円ほど負担が軽くなる可能性があります。
会社員でも確定申告が必要になるケース
年末調整で生命保険料控除を申告していれば、基本的に確定申告は不要と考える人もいます。ただし、以下のような場合は確定申告をすることで控除を受けられます。
- 年末調整で保険料控除証明書を提出し忘れた
- 年の途中で医療保険に加入し、証明書が年末調整に間に合わなかった
- 複数の職場で働いていて、まとめて申告する必要がある
- 医療費控除など、他の控除と合わせて申告したい
年末調整を済ませた後でも、確定申告をすれば追加で控除を受けられます。期限は翌年の2月16日から3月15日までです。
ただし、還付申告(税金を返してもらうための申告)であれば、5年以内ならいつでも申告できます。今年の分を忘れていても、来年や再来年にまとめて申告することも可能です。
確定申告で必要な書類と記入方法

確定申告で生命保険料控除を受けるために必要な書類は以下の通りです。
保険料控除証明書
保険会社から毎年10月〜11月頃に送られてくる書類です。この証明書には、その年に支払った保険料の金額が記載されています。
証明書を紛失した場合は、保険会社に連絡すれば再発行してもらえます。多くの保険会社では、オンラインでも再発行の手続きができるようになっています。
確定申告書
確定申告書には「第一表」と「第二表」があります。生命保険料控除は第二表の「生命保険料控除」欄に記入し、控除額を第一表に転記します。
記入する際は、保険料控除証明書に記載された金額をそのまま書き写します。介護医療保険料の欄に、医療保険の年間支払額を記入してください。
控除額の計算は、国税庁のウェブサイトにある計算ツールを使うと簡単です。e-Taxを使えば、金額を入力するだけで自動的に控除額が計算されます。
医療費控除と生命保険料控除は別々に申告できる
「医療保険」という名前から、医療費控除と混同されることがありますが、この2つは全く別の制度です。
生命保険料控除:保険料を払ったことに対する控除
医療費控除:実際に医療機関で支払った医療費に対する控除
医療費控除は、年間10万円を超える医療費を支払った場合に受けられる控除です。医療保険に加入していても、実際に病院で治療を受けて費用を払えば、医療費控除の対象になります。
つまり、医療保険の保険料で生命保険料控除を受けながら、同時に医療費控除も申告することができます。両方を同時に申告しても問題ありません。
ただし、医療保険から給付金を受け取った場合は、その分を医療費から差し引く必要があります。たとえば手術で20万円かかり、医療保険から15万円の給付金を受け取った場合、医療費控除の対象になるのは5万円です。
申告し忘れても、後から手続きできる

年末調整で保険料控除証明書を出し忘れた、確定申告の期限を過ぎてしまった、という場合でも、還付申告は5年間さかのぼって行えます。
たとえば2024年分の控除を忘れていても、2029年12月31日までなら申告できます。複数年分をまとめて申告することも可能です。
手続きは通常の確定申告と同じです。必要な書類を揃えて、税務署に提出するか、e-Taxで電子申告します。
還付金は、申告から1〜2ヶ月程度で指定した口座に振り込まれます。
確定申告の仕組みや控除の種類を完璧に理解する必要はありません。
自分の状況で何ができるのか、どの書類があればいいのか、それが分かれば十分です。全部を一度に理解しようとすると、かえって混乱することもあります。
申告の期限はありますが、還付申告であれば5年間の猶予があります。書類を整理するだけでも、少し頭の中がすっきりするかもしれません。何も決めないまま放置しておくのが不安なら、まずは自分の状況を確認してみるだけでもいいと思います。
確定申告の手続きそのものは、一度やってみると思ったより単純です。ただ、最初の一歩を踏み出すまでが重たい。それは誰でも同じです。
自分のペースで、できる範囲で整理していけば大丈夫です。
- 医療保険の保険料は「生命保険料控除」として申告できる
- 年末調整を忘れても、確定申告で控除を受けられる
- 還付申告は5年間さかのぼって可能
- 医療費控除と生命保険料控除は別々に申告できる
- 必要な書類は保険料控除証明書と確定申告書
本記事で紹介した内容は、あくまで一般的な情報です。実際にどの控除を使うか、どのタイミングで申告するかは、ご自身の収入や家族構成、加入している保険の内容によって異なります。最終的な判断は、ご自身の状況に合わせて行ってください。