年金保険料控除について知りたいけれど、何から調べればいいのか分からない

年金保険料控除について知りたいけれど、何から調べればいいのか分からない

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況により最適な判断は異なります。必要に応じて公的情報や専門家へご確認ください。

確定申告や年末調整の時期になると「年金保険料控除」という言葉を目にする。控除証明書が届いても、どう使えばいいのか、そもそも自分に関係あるのか、はっきりしない。

調べようとしても専門用語が多くて、結局「まあいいか」と後回しにしてしまう。でも本当は、損をしているかもしれないという気持ちもある。

こういった状態で、何となくモヤモヤしたまま過ごしている方は少なくありません。税金の仕組みは複雑で、自分の状況に当てはめて考えるのは簡単ではないのです。

年金保険料控除とは何を指しているのか

年金保険料控除とは何を指しているのか

「年金保険料控除」という言葉は、実は2つの異なる制度を指している場合があります。

1つは、国民年金や厚生年金といった公的年金の保険料を支払ったときに受けられる社会保険料控除です。もう1つは、民間の保険会社が販売する個人年金保険に加入している場合に受けられる個人年金保険料控除です。

この2つは名前が似ていますが、控除の枠組みや手続きが異なります。

社会保険料控除の場合

国民年金保険料を自分で納めている方(自営業者やフリーランス、学生など)の場合、支払った保険料の全額が所得から控除される仕組みになっています。

たとえば、令和6年度の国民年金保険料は月額16,980円です。年間では203,760円を支払うことになりますが、この金額がそのまま所得から差し引かれます。

会社員の方は、給与から厚生年金保険料が天引きされているため、通常は自分で手続きをする必要はありません。年末調整で自動的に処理されています。

個人年金保険料控除の場合

民間の個人年金保険に加入している場合は、生命保険料控除の一部として扱われます。

控除額には上限があり、新制度(平成24年1月1日以降の契約)では年間の支払保険料が80,000円を超えると、所得税で40,000円、住民税で28,000円が上限となります。

旧制度(平成23年12月31日以前の契約)では、年間100,000円を超えると所得税で50,000円、住民税で35,000円が上限です。

どのような人が控除を受けられるのか

社会保険料控除は、実際に保険料を支払った方が対象になります。

自分の保険料だけでなく、生計を一にする配偶者や親族の分を支払った場合も控除の対象になります。たとえば、親が国民年金保険料を滞納していて、子どもがまとめて支払った場合、子どもの所得から控除できます。

学生の国民年金保険料を親が支払っているケースも同様です。親の確定申告や年末調整で控除を受けることができます。

個人年金保険料控除については、契約者本人が保険料を支払い、かつ一定の条件を満たす契約である必要があります。

個人年金保険料控除の主な条件
  • 年金の受取人が契約者または配偶者であること
  • 保険料払込期間が10年以上であること
  • 年金の受取開始が60歳以降で、受取期間が10年以上であること

これらの条件を満たさない場合、一般の生命保険料控除の枠で処理されることになります。

控除を受けるための手続きはどうすればいいのか

控除を受けるための手続きはどうすればいいのか

会社員の場合

年末調整で手続きができます。

国民年金保険料を自分で支払っている場合は、日本年金機構から送られてくる社会保険料(国民年金保険料)控除証明書を会社に提出します。この証明書は、毎年11月頃に届きます。

個人年金保険に加入している場合は、保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書を提出します。こちらは10月頃から順次届き始めます。

自営業者やフリーランスの場合

確定申告で手続きを行います。

申告書の「社会保険料控除」の欄に、国民年金保険料として支払った金額を記入します。控除証明書を添付するか、電子申告の場合は証明書の内容を入力します。

個人年金保険料は「生命保険料控除」の欄に記入します。

よくある見落とし

年の途中で退職した方や、複数の収入源がある方の場合、確定申告が必要になる場合があります。年末調整だけでは控除を受けきれないこともあるため、自分の状況を確認しておくことができます。

控除を受けるとどのくらい税金が変わるのか

控除を受けることで、所得税と住民税が軽減される仕組みになっています。

ただし、控除額がそのまま戻ってくるわけではありません。控除額に税率をかけた金額が、実際の減税額になります。

具体例で見てみる

年収400万円の会社員の方が、国民年金保険料を年間203,760円支払った場合を考えてみます。

所得税率が10%、住民税率が10%とすると、

  • 所得税の減税額:203,760円 × 10% = 約20,000円
  • 住民税の減税額:203,760円 × 10% = 約20,000円
  • 合計:約40,000円

このように、年間で約4万円の税金が軽減されることになります。

個人年金保険料控除の場合は、上限額までの控除となるため、実際の減税額は所得税で最大4,000円から8,000円程度、住民税で最大2,800円から5,600円程度になることが多いです。

控除証明書を紛失した場合はどうすればいいのか

控除証明書を紛失した場合はどうすればいいのか

控除証明書は再発行が可能です。

国民年金の控除証明書は、ねんきん加入者ダイヤル(0570-003-004)に連絡するか、年金事務所の窓口で再発行の手続きができます。電子版(電子的控除証明書)をダウンロードすることもできます。

個人年金保険の控除証明書は、契約している保険会社のコールセンターやWebサイトから再発行の依頼ができます。

再発行には1週間から2週間程度かかることがあるため、年末調整や確定申告の期限に間に合うよう、早めに手続きをしておくこともできます。

過去の分を申告し忘れていた場合

年末調整や確定申告で控除を受け忘れていても、後から申告することができます。

これを更正の請求といい、法定申告期限から5年以内であれば手続きが可能です。

たとえば、令和5年分の確定申告で控除を受け忘れた場合、令和6年中であれば更正の請求ができます。

手続きは税務署で行います。当時の控除証明書や源泉徴収票などが必要になるため、書類は保管しておくこともできます。

この記事のまとめ
  • 「年金保険料控除」には社会保険料控除と個人年金保険料控除の2種類がある
  • 国民年金保険料は支払った全額が控除対象、個人年金保険料は上限がある
  • 会社員は年末調整、自営業者は確定申告で手続きを行う
  • 控除証明書は再発行できる
  • 過去5年分まで遡って申告できる

税金の仕組みは複雑で、自分の状況に当てはめて考えるのは簡単ではありません。すぐに全てを理解する必要はなく、必要なときに必要な部分だけ確認していく、というやり方もあります。

分からないことがあれば、税務署の相談窓口や、年金事務所に問い合わせることもできます。ご自身のペースで、少しずつ整理していくこともできます。

最終判断はご自身の状況に合わせて行い、不安がある場合は公的機関や有資格者へご相談ください。